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good-bye forever……
バイクは、それから、もう少し、彼と話して最後に言った。
「納屋の戸を開けてくれませんか?」と。
そう言われた彼は、ほんのチョット時間をおき、バイクに言われたようにした。
バイクは、ゆっくり開かれた方に進んでいく。
そんなバイクに彼は、言った。
「ねぇ、また君と会えるかな?」
バイクは、進むのを止めずに、
「いえ、二度とアナタと会うことは、ないでしょう…。」と、告げると、そこを後にして、本格的に加速して走り出した。
バイクは、思考する。
(最寄りの高速道路インターに入れば、今日の、この気候、温度なら間違いなくトップスピードで光速になれる……時空間に入り、私の戻りたい、あの時は、… …。)
世界があって、一台の無人のバイクが高速道路を移動中に、靄がかり、無事故で、ただ消える…。
それがあって、誰が気に留めるであろうか?…
いや、誰も気づきすらしない、と言った方が正しいかもしれない…。