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ポートレイト  作者: 岸田龍庵
暑い夏とわたし
44/68

その44

アオヤマ・スミレという謎の外国人が再登場します

よく考えれば、この人は、投稿済みの短編「海の絵がある部屋」にも出ておりました。

書いている本人もすっかり忘れておりました

「適当にかけてちょうだい」

 今日のアオヤマ・スミレは真っ赤なノースリーブのチャイナドレス姿。金と銀の竜が体に巻き付いたようなド派手なデザイン。

 足下の方から金と銀の竜が交互に体に巻き付いていて肩口で龍が口を開けているようになっている。

()()()()()()()()()()()」って感じ。

 ド派手なチャイナドレスのわりには彼女が着ると不思議と下品に見えない。じゃあ上品か、というとこれまた違うのだけれども、白い肌に真っ赤なチャイナドレスがとても良く合っている。

 おまけに金髪と赤ってあまりケンカしないのね。

 加えて彼女は背が高い(身長は180センチはあると思う)し、ものすごいグラマーというわけではないが、スタイル抜群だからとても決まっている。

 スリットからチラ見する脚がほどよくセクシーだ。




 年はいくつなんだろうか?若くはないはず。

 良くわからないけど異国の地でビジネスマンをしているわけだから、そこそこの経験はあるはず。かといって、おばさんという見た目でもない。三十代前半?ビジネスマンじゃなくてモデルさんみたい。

「今日はヤムチャです」アオヤマ・スミレは中国風の茶器とセイロを持ってきた。

 白磁に青色で水墨画みたいな竜が描いてある茶器はとても高そうに見える。

 セイロに入っているのは中華のお菓子、ゴマだんご。中華街で食べたことがあるけど控えめな甘さでおいしい。

「さ、いただきましょう」と差し出された箸は韓国の鉄箸。

「いただきます」は手を合わせた日本風。

 食事のスタイルは中華の点心。食器は韓国のお箸。それを行っているのは金髪の外国人。

 国際的なのかちぐはぐなのか。日本と中国と韓国をごっちゃにしているのがいかにも欧米の人らしい。なんかの映画でチャイナドレスの女の人が、お寿司を持ってくるシーンがあったけど、あんな感じ。

 とはいえ中身はどれも本格的。ジャスミンの香りがするお茶も、サクサク歯ごたえのゴマだんごもどれも上品な味だ。




「ヒロミに色々聞きました。謎の組織だと思っていたけど、結構しっかりしているって、私たちのことを誉めていたということを」

 うわちゃ~。広海、余計なこと言って。なんか変な汗が出て来ちゃった。

「組織の実体が見えていても、的はずれなことをしている団体はたくさんあるものです」アオヤマ・スミレはニコリと笑った。彼女が笑うと周りの空気がパッと明るくなる感じ。こういうのを本場のスマイルっていうんだろうな。

 広海に言ったことじゃないけど、こうしてキチンと話して見ると、アオヤマ・スミレはたまに変な日本語を操るけども、中身はかなりまともな人物なんじゃないかと思えてきた。




「最近はどうですか?」

 ええ?なんか、いきなりビジネスマン同士みたいな会話が炸裂。

「あなたが私の所に来ると言うことは、何かお願いがあるからでしょう?」などとズバリ言ってのけた。ギクリとしたのは私。当然、何かお願いがなければ、ここに、アオヤマ・スミレの所に足を運ぶ用事がない。ちょっと鼓動が苦しくなってきたみたい。

 反対にアオヤマ・スミレはお茶を楽しんで涼しい顔をしている。

 絵描きでもない一般人の私が絵のディーラーのアオヤマ・スミレの画廊にきたのは、恭一の事で聞きたい事があったからだ。



 アオヤマ・スミレの画家養成組織(とでも言うのだろうか)の留学生の試験を受けられるように頼むのが私がここに来た目的。




 前に恭一に沖田広海の事を話して聞かせた。

 私の友達、沖田広海はアオヤマ・スミレの組織の方針に従って海外で絵の勉強をしている。費用は全部アオヤマ・スミレの組織持ち。

 どんなプランがあって、どんな講師がいてとかは何もしらないけど、ともかく沖田広海は海外で絵描きの勉強をしている。

 その仲間に加わりたい、海外で絵の勉強を続けたい、というのが恭一の希望。

 で、アオヤマ・スミレの組織の奨学生というのかなになるための試験について「色々聞いて欲しい君は顔見知りだから」、と恭一に言われてこの画廊に来た。





 まあ、うまい話ではあると思う。

 大学を出た後でも絵の勉強が出来るわけだから。

 バイトをしながらとかではなく(広海はしっかりバイトをさせられていたけど)後ろ盾もあって、しかも海外で絵の勉強ができるなんて話がたくさんあるわけじゃない。

 絵描きを目指して勉強をしている美大生にしてみれば、とてもうまい話に聞こえて当然だと思う。それに恭一には私がスカウターのアオヤマ・スミレと知り合いだ、ということに希望を持っているらしい。




 試験を通るのは簡単じゃないのか。

 どうやら恭一は、そう思っているらしい。

 いわゆるコネだ。

 日本じゃコネがあるのとないのじゃ全然違う。就職活動をしている私が言うのだから間違いはないと思うのだけれど、世の中コネがどれだけ重要かがイヤというほどわからされた。

 コネがある人は早々と内定を取ってしまって、今頃は遊び放題で、反対にコネがない人は毎日毎日、蒸し暑い中をリクルートスーツで歩き回っている。それほど世の中コネが物を言う。



 でも、



 アオヤマ・スミレは名前こそどうして日本風の名前を名乗っているけれども、間違いなく外国人だ。彼女がいかに妥協をしない人間かということも知っている。

 私は外国のビジネスというものを知らないけれども、多分、日本のビジネス理論みたいなものや、日本人が持っている特有の曖昧(あいまい)な部分は彼女には通用しないのではないかと思っている。

 その前例が広海だ。

読了ありがとうございました。


今後もごひいきによろしくお願いします。

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