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パンツを脱ぎたまえ! 【パンツォヌゥゲ異世界物語】  作者: ゆむ
第四章 思い上がり甚だしい救世主
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12 爵位授与

 津田めぐみたちはたっぷりの夕食とふかふかの布団を与えられ、一晩ゆっくりと休養を取る。

 そして、ぐっすりと寝ている早朝、日の出前から起こされた。


 まだ暗い中、眠い目を擦りながら着替えると、皇帝の執務室に連れて行かれる。

「それでは、既に決定している方の辞令を申し渡します。呼ばれた方は前に出てきてください。」

 一同が緊張した面持ちで身を固くする。


「まず、出席番号一番、リンタロウ・アイ。あなたには貴族院にて、教育・研究に携わっていただきます。魔法薬に魔法陣、通信機やテレビ電話の魔法道具の研究など、色々としていただきたい事も多いので頑張ってください。」

 辞令書を渡しながら言う。

「次、七番トモエ・オクダ 。中央省配属、まあ、めぐみの部下の官吏ですね。」

 そして、どんどんと発表されていく。


 八番、ヒジリ・カトウ、貴族院

 九番、ジュン・キムラ、宮省

 十番、アツシ・クドウ、貴族院

 十一番、アキナ・コジマ、魔導士団

 十二番、タカヨシ・サトウ、宮省

 十六番、アイリ・ソノダ、魔導士団

 十九番、メグミ・ツダ、宰相

 二十六番、タクミ・ネガミ、中央省

 二十七番、チヅル・ノムラ、皇帝直属料理長

 三十三番、カイト・マスダ、貴族院

 三十五番、フウ・ムラタ、副宰相

 三十八番、ユウスケ・ユウキ、宮省


 十四人の生徒たちの就職が決まった。高校一年の秋で上級公務員にこれだけ採用されているのは凄い。

 ちなみに官吏とは、上級文官のことで、貴族しかなれない。中級は役人で、これは貴族も平民もいる。下級は平民のみで構成される職員だ。この三つは明確に分類されている。

 尚、宮省ぐうしょうとは、皇后や皇子妃の事業を統括する省庁である。

 そんなもの聞いたことない? 知らんよ。この国にはあるんだよ。日本や中国、ヨーロッパとは全く違う文化なんだから、聞いたことがない省庁や役職だってあるだろう。

『皇子妃』だって他に言葉が無いからそう言っているだけで、別に女性配偶者に限っていない。

 皇帝の子は男女関係なく皇子だし、その配偶者は皇子妃なのだ。

 これは日本やヨーロッパでは全く見られない、信じられないレベルの男女平等からくるものだ。


 中央省とは、行政の中核的な実務を担う部門である。所属する文官はほぼ全てが貴族かその子弟である。


 今回の辞令は官職の任命が殆どだが、例外が一人だけいる。

 皇帝直属料理長は最高級の権威と栄誉を持つ職人、即ち平民である。

 平民としてはこれ以上の階級は存在しないが、逆に、この地位に就いている者は、貴族爵位を受けることは無い。

 まあ、本人が大喜びしているのだから、その辺は気にしなくても良いのだろう。


 貴族院とは、その名の通り教育機関であり、また、研究機関でもある。教科書作りは今後はこちらが主導していくことになるだろう。


「ああ、忘れてました。マサミ・オノデラ。あなたは貴族院です。元々教師なのですから、生徒たちに負けぬよう頑張ってください。」

 優喜は教師をオマケのように扱う。


「以上、十四人は貴族になって頂きます。チヅル以外。」

「ええ? 私だけ仲間はずれ? ぶぅぶぅ。」

 千鶴は頬を膨らませて文句を言う。ぶぅぶぅ。

「だって、料理人は貴族がなるものじゃないんですもの。仕方がないじゃないですか。貴族は料理人に料理を作らせるんです。ともあれ、爵位授与を行いますので、みなさん広間に移動してください。さっさとしないと朝食を食べられませんよ。」


 優喜の脅しが効いたのか、みんな大人しく案内に従って移動していく。

 やはり、優喜や芳香たちは別行動である。


 広間には既に爵位授与の準備ができていた。

 儀礼用の飾り付けがなされ、正面の壇の傍には大臣たちが並んでいる。


「まず、裁定の決まりました懲罰から執り行います。ヴェニアミス宰相、前へ。」

 優喜が壇上に立つと、芳香がよく通る声で宰相を呼ぶ。

「其方は先の戦争に際し、資金や糧食の手配、支援をしたので間違いないですね?」

「はい。相違ありませぬ。」

「では、爵位の二位降格、及び、宰相職の罷免を言い渡します。今後は中央省の文官として新しい宰相を支えるように。」

「謹んで、お受けいたします。」

 ヴェニアミスは恭しく頭を下げると、杖を差し出した。

 芳香がそれを受け取ると、優喜が新たな杖を渡す。

 それが終わると、ヴェニアミスは一礼して脇へと下がって行った。


「それでは、爵位授与を執り行います。メグミ・ツダ、前へ。」

 芳香の司会に従って、めぐみが皇帝の前に進み出る。

「あなたに第一位爵を授けます。爵位名はスピニア、新しい家名としてフェクスタを与えます。」

 宣言が終わると、優喜はナイフを渡す。

 その横で茜が「返事は、謹んでお受けします」だの「横にして受け取った後、半分鞘から出して、そのまま縦にしてから収める」だの小声で指示を出している。

 めぐみは言われた通りに返事をし、ナイフを受け取った、

 更に優喜が儀式杖を差し出す。

 すかさず横から茜に「右手で受け取って」と言われる。

「次、フウ・ムラタ。前へどうぞ。」

 楓が前に歩み出ると同時に、めぐみは三歩ほど後ろに下がる。


「フウには第二位爵を授けます。爵位名はバルエト、家名にイングスタを与えます。」

 楓にも同様にナイフと杖を渡す。

 ナイフは貴族当主の証で、杖は爵位を示すものだ。

 めぐみと楓でナイフには差がないが、杖はサイズからして全然違う。


 以降は、相凛太朗から順に呼ばれて十二人に第七位爵が授けられた。

 第七位爵には杖は無い。最下位を示すものは無いのだ。

 そして、爵位名も無い。

 大臣クラスでもないただの文官に、爵位名なんてものは無いのだ。


「以上で、爵位授与の式を終了する。」

 芳香が宣言すると、大臣たちがそれぞれの側仕えたちを率いてゾロゾロと退席していく。

「それじゃ、朝食にしましょうか。」

 大臣たちが出て行ったのを見計らって、茜が言う。


「めぐみと楓の側仕えや側近を早々に選ばねばなりません。側近秘書官はともかく、側仕えは男性は嫌でしょう。他の方も、従者二、三名が必要ですね。」

 朝食は貴族と平民で分かれて別の部屋で摂ることになった。

 貴族には貴族の話があるのだ。


「側仕えって何する人?」

 初歩的な質問が出てくるほど、めぐみは貴族社会に疎いようだ。

「身の回りのお世話です。寝室の掃除や洗濯とか、食事やお茶の用意に給仕。それと、着替えや湯浴みでもお世話になります。」

「着替えくらい自分でするよ?」

「いや、無理。」

 大真面目な顔で言うのは茜だ。彼女は、一人でできるもん、と言い張って結局できなかったのだ。

「これ、マジで和服の着付より難しいよ。」

「TPO的に、ちゃんとした服を着ないって選択肢は無いよ。少なくとも、優喜様の政権が安定するまでは、その辺はこの国の文化に合わせないとまずいから。」

 理恵も溜息を吐きつつ、同意する。

「政治でも宮廷文化でも変えるところは凄くいっぱいあるからね。服装とか見た目で分かりやすい所で、私たちがこの国に合わせている所を見せておくのが無難なのよ。何もかもを変えちゃうと、特に年取った人たちからは反感しか買わないから。あんな人たちでも利用しないと人が足りないからね。」

 芳香としても我慢しているようだ。メリット・デメリットを考えると、その結論にしかならないのだろう。

「ティエユの町は私たちしかいませんでしたから、相当に好き勝手やらせてもらいましたけど、さすがに今ここでは無理ですよ。諦めてこちらの貴族の風習にある程度従ってください。」


「従者は何する人?」

「雑用。お手紙出したり、受け取ったり、食べ物とか消耗品の買ったり。掃除や洗濯は側仕えと分担してだね。」

「七位だと側仕えはいないのが通常らしいので、掃除洗濯は従者の仕事ですね。あと、料理人も広義の従者ですね。」

「私たちに料理人って必要?」

「七位だと要らないんじゃないですかね。貴族を呼び集めてパーティーとかしないですから。」

「七位だとって、私たちはパーティーするの?」

 めぐみは嫌そうに言う。

「今すぐは無いですが、冬はパーティーの時期です。宰相が一度も主催しないわけにはいかないでしょう。」

「ちょっと待ってよ。私そんなのできないよ。」

「だから、側近や従者が必要なんです。第一位爵の宰相様は偉そうにしていれば良いんですよ。場所を押さえたり、食べ物やお酒を用意したり、招待状を書いたりするのは下に任せておくんです。」

「そんなんで大丈夫なの?」

「めぐみは人の使い方と言うものを学ぶべきです。何でも自分でやらなくて良いのですよ。」


「と言うことで、エイネゼミ、彼女らの側近や側仕えとして相応しい者を探してもらえますか? 処刑となる予定の大臣に雇われていた者で使えそうな人とかいないですかね。あるいは、私や芳香たちの従者で、誰か紹介できる者がいないかなど、ちょっと急ぎでお願いします。」

 優喜の指示を受け、従者エイネゼミが急ぎ足で部屋を出て行った。


「ねえ、あの人たちも食事じゃないの?」

 楓が心配そうに訊く。

「従者は主人とは時間をずらして交代で食事を摂るんですよ。休憩もバラバラです。食事などは適当に時間を交代して摂りますから大丈夫ですよ。」

「従者って大変なんだね。」

「基本、雑用ですからね。ラクじゃないですよ。食事の質なんかも主に依りますし。」

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