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パンツを脱ぎたまえ! 【パンツォヌゥゲ異世界物語】  作者: ゆむ
第三章 助けてほしい救世主
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26 大変なのです

 その後、第八皇子までが優喜の奴隷となった。ちなみに、この国では男女区別無く、皇帝の子供は皇子と称される。


「ええい、皇子はあと何人いるのですか! いい加減同じ展開ばかりで飽きましたよ。」


 優喜が誰にとも無く文句を言う。


「皇子は全部で八人、先ほどの第七皇子で全員でございます。他の帝室の方といえば、皇后殿下をはじめ、皇子妃殿下たちがございます。」

「それ、全部で何人いるのですか?」

「十一人でございます。」


 第二、第三夫人も帝室に数えられているのだろう、皇子よりも数が多い。


「それは後にしましょうか。取り敢えず、私の従者を選びます。皇帝付きで城に残っている方がいたら呼んでください。それと、皇子たちに付いていた者も全員広間に集めてください。」



 集まった従者たちから職務の区分や階級の区分けを聞き取り、優喜の従者、側近を決めていく。

 自白系の闇魔法まで使って、信頼できない者は全て排していくと残った者は意外と少なかった。

 新しい皇帝に忠誠を誓うとか以前に、真面目に働く気が無い者や、どこぞかの貴族などから色々な思惑を持って送り込まれている者がひしめいたのだ。


「あなたたちはみんなクビです。今すぐ城から出て行ってください。」


 優喜は疲れた声で命じ、スパイのバレた従者たちが項垂れながら退室していく。


「食事の用意をしてください。疲れました。城内がここまで酷いとは思いませんでしたよ。」

「申し訳ございませんが、お食事まで少々時間がございます。」

「わかりました。では、それまで無線機を設置して、ウールノリアに連絡でもしますか。馬車置場に行きますよ。トラックに無線機を積んであります。」


 数名の力自慢の兵に無線機を運ばせ通信室に設置すると、早速、ティエユ領主邸へと繋ぐ。


「はろー、はろー。こちらゲレム帝国帝都の優喜です。お城の掌握は順調なので、早めに引き継いでみなさんこちらに来てください。」

「優喜様? 無事なんですか? ずっと連絡が無いから心配してたんですよ! 何で三日も音沙汰無しなんですか! こっちから掛けても全然出ないし! ちゃんと毎日連絡してください! いつもいつも一人で勝手に進めちゃうのは優喜様の悪い癖ですよ!」


 津田めぐみはオカンムリである。


「済みません、色々バタバタしてまして。取り敢えずこちらは順調なので、そちらも進めていってください。」

「分かりました。王宮にはもう連絡しましたか?」

「これからです。」

「早く連絡してください。優喜様はどうしているんだって私の方にしつこく掛かって来るんですから。」

「はぁい。」


 優喜は気の無い返事をして通話を切った。


「はろー、はろー。こちらゲレム帝国ゲリミクの優喜ですよん!」


 何故か優喜の無線呼び出しはやたらと軽い口調だ。


「遅いわ! 今まで何をしておった!」


 回線が繋がるなりドクグォロスの怒号が飛ぶ。


「一応、私はゲレム皇帝なんですけどね……」

「ふっ! だから何だ。属国の皇帝などウールノリアの第一位爵と同列であろう。」


 これは優喜が事前に言っていたことだ。周囲の者たちに、最初に立場の違いをはっきりとさせるためにドクグォロス王太子は敢えてそう言って見せているのだろう。


「それで、現在どういう状況だ? 端的に説明せよ。」

「はい。今日の昼過ぎにゲリミクに付きまして、現在、城内の掌握に努めている最中でございます。八人の皇子たちを排し、近衛や騎士の一部を傘下に付けました。皇子付きの者たちも整理して、邪魔な者は城から排除、信頼できる者たちは改めて私に付けています。後宮に関してはまだ手を付けていません。」

「なるほど。騎士団長と近衛隊長は押さえたのか?」

「その二人は戦争に出てまだ戻っていないんですよ。軍の撤退にも時間がかかりますからね。ですので、先に文官を押さえます。」

「そうか。いつ頃戻るのだ? 戻ってきた軍を押さえるのは大変だぞ。」

「まだ数日先になりますね。策はいくつか考えているので大丈夫ですよ。」

「政権を固める前に崩されると厄介だ。気を付けておくが良い。ところで、何人くらい処刑した?」

「直接刃向かってきた兵士たちを十数名ほどです。」

「帝室や貴族は?」

「近衛兵や騎士を除けば、まだゼロです。皇子たちには隷属の呪術を使っていますけど。」

「隷属の呪術?」

「強制的に奴隷にする呪術です。近衛隊長や騎士団長を押さえるための駒としてあった方が良いので、今の所生かしておいてます。」

「またワケの分からない無茶苦茶をするな。まあ良い。それで、あとどれくらいで掌握できる?」

「城内掌握は、早くてもあと三日は掛かりますよ。軍が帰って来たらそれの処理も必要ですし、国内の貴族諸侯の取り纏めとかまで含めたら、一ヶ月では終わらないですね。」

「おそらく、そう遠からず周辺国からのちょっかいもあるだろう。ティエユ卿、忙しいだろうが頑張ってくれ。」

「承知しました。ドクグォロス王太子殿下。」



 優喜が通話を終えると、従者の男が食事の準備が整った旨を告げる。


「食堂へ案内なさい。」


 優喜の命に従って、従者の男が先に立って廊下を歩く。


「ところで、あなたの名前は何と言いましたっけ? 私、どうにも人の顔を覚えるのが苦手でして。」

「ウェミヤキッソさんじゃなかったっけ?」


 優喜の質問に、横から茜が答える。


「ウェミヤカッソ・ノムロト・ハルミナでございます。」

「ありゃ、失礼しました。」

「ウェミヤカッソさん、長くて呼び辛いですねえ。」


 他人の名前に文句を付け出す優喜。皇帝とはいえ、大変に失礼な奴である。そんな文句を言われても、本人としてもどうしようもないではないか。こういうのをパワハラとかイジメとかいうのだ。


「優喜様は短くて呼びやすいからねえ。」

「大変申し訳ありません。」


 茜まで同意したら、ウェミヤカッソとしてはもう謝るしかない。


「では、キリツグさんと呼ぶことにしましょう。」


 なんかトンデモナイことを言い出した。その横では茜が吹き出している。

 確かにウェミヤカッソは、正義の味方を諦めた男に似ている。だが、そのネーミングはマズイ。止すんだ優喜よ。


「……ウェミヤカッソとお呼びください。」


 歯を食いしばり、忌々しげに言うウェミヤカッソ。


「それは残念です。仕方がないですね。ウェミヤカッソさん。この呼び方に慣れるしかないですか。」


 優喜はとても残念そうだが、ウェミヤカッソは大変に憤慨している。当たり前だ。自分の名前をいきなり全否定されたら普通は怒るだろう。



「こちらでございます。」


 変な遣り取りをしている間に食堂に着いたようだ。

 ウェミヤカッソが扉を開けると、長テーブルの端に食事が用意されている。

 偉そうなお誕生日席に優喜が座り、その左手側に茜が着席すると侍従たちが騒めいた。


「あの、そちらの方は?」


 一番年を取った男が代表して質問をする。


「ん? あれ? 紹介していませんでしたっけ? 妻の茜です。」

「第二夫人のアカネ・サツホロ・ヤマグチです。今日からよろしくお願いします。」


 優喜が座ったまま紹介し、茜がやはり座ったまま挨拶する。食堂の侍従たちは基本的に平民のため、皇帝夫妻が挨拶するのにわざわざ立ち上がらないのだ。


「た、大変失礼しました! ただいまお食事をお持ちします。」


 騒めきはさらに大きくなり、侍従の男が慌てて奥の部屋に消えていった。


 彼らは茜を優喜の側仕えとでも思っていたのだろうか。普通、側仕えは同性であるはずで、異性である茜が側仕えであるとは考えないはずなのだが。

 いや、ちがう。そうではない。私は大きな勘違いをしていた。

 彼らが間違えていたのは優喜の性別だ!


 背はそれほど高くなく、百六十センチにもならない。

 愛らしい大きな目に、ふっくらした頬。淡く紅の引かれた唇は微笑みの形を保っている。軽いウェーブが掛かり艶のある長く伸びた髪は後頭部で束ねられ、背に揺れている。

 白を基調に赤と緑のフリフリを無駄に大量に飾り付けた服は胸の膨らみを感じさせ、引き締まったウエストから広がるスカートは足下までを覆い隠している。

 そして、清廉さを感じさせる、涼やかに透き通ったその声。

 つまり、優喜の見た目は女の子なのだ。

 妻が三人もいる男なのだが、優喜は男の娘スタイルを崩さない。


 程なくして茜の分の食事も用意されて、ようやく二人揃って食べ始める。


「な、なんてこと! これはッ!」

「ぐあぁぁぁぁ」


 二人揃って苦しみ悶えながらテーブルに突っ伏した。

 まさか、毒なのであろうか。優喜たちの命を狙うような者など残していないはずなのだが。

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