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パンツを脱ぎたまえ! 【パンツォヌゥゲ異世界物語】  作者: ゆむ
第二章 格差の拡がる救世主
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23 戦力強化

 今にも雨が降り出しそうな曇天の下を、優喜と茜は形振り構わず連続で地均し移動を使い続け、昼前には王都に到着した。土属性増幅効果のある槍を使ってはいるものの、レベル三の魔法の四十連発はさすがにきつかったようで、二人とも疲労困憊の様相である。

 依頼票に護衛任務完了のサインをして『翠菖蒲』に渡し、さらに駄賃を渡して前触れを頼み、優喜たちは城へと向かう。

 イリーシャの町の生存者九名全員を養うほどの余裕は優喜には無い。そもそも、邸の部屋に余裕が全くないので、泊めることすらできないのだ。王太子に頼んで、王都にあるイリーシャ邸を開けてもらうのが良いだろうという話になっている。

 門は速やかに通ることができたが、小一時間ほど待合室で待たされてから、いつもの会議室に通された。

 連れてきた生存者の中で、会議室に呼ばれたのはイリーシャ卿の妻、ランシェミだけだ。幼い子どももいるため、それ以外の者は待合室で待機である。まあ、呼ばれることは多分ないんだろうけれど……

 ランシェミは会議室に通されると、貴族らしい挨拶を述べ、王都の邸宅の開放を願い出る。


「イリーシャの者がイリーシャの邸を使うのに、別に私の許可は要らないのではないか?」


 ドクグォロスは首を傾げるが、宰相が説明をする。


「イリーシャ卿からの音信が途絶えて既に一ヶ月。大変残念ではございますが、町は領主共々亡くなっており、イリーシャの財産は王族管轄になっていると考える者がいても不思議ではないかと思います。」

「イリーシャの住民だと言い張る者が勝手に占拠している、などと言われても困るのです。それに、私が関わっているのが問題なんです。私のことを快く思わない者はそれなりに居るはずですから。無駄に攻撃できるような隙は与えたくないのです。」

「そこまで気にする程のことか? まあ、許可を与えるだけならばこちらに何の問題も無いが。」


 ドクグォロスは、優喜の言い分を気にしすぎだとしながらも、快くイリーシャ邸の使用許可を出す。


 従者たちに指示を出して紙を持ってこさせると許可証を書き、ランシェミに渡す。

 ランシェミは緊張した面持ちで畏まりつつ受け取ると後ろに下がる。


「今日の用件はそれだけか?」

「魔物について幾つか報告と、ご相談があります。」

「手短にして貰えるかな?」

「はい。まず、強力な魔法を使う魔物を確認しました。あれと正面から戦って勝てる気がしません。」

「なんだと? それはどこに、どれだけいるのだ?」

「以前の大規模戦があったあたりです。そこに中型の魔物が数十、大型の魔物が一匹いました。いずれも魔法を使う個体です。そこにいたやつらは、私たちの卑怯なる攻撃によって殲滅しましたが、他にどれだけいるかは分かりません。」

「要するに戦術次第では何とかなるということだな? 具体的な方法を教えろ。」

「現状では、おそらく私と同じ戦術を取れる者がいません。土魔法の使い手は殆どいないというではないですか。」

「土魔法だと? 魔導士団にいなくはないはずだぞ。」

「分かりました。後ほど魔導士団、王国軍の方とお話させて頂ければと思います。」

「今日は皆立て込んでいる。明日以降で日程を調整して邸に使いをだそう。」

「承知いたしました。」



「他はもう無いか?」

「あと一つだけ。今回、イリーシャで発見した生存者を連れ帰ることを優先したため、ダンジョンの探索は全くできていません。途中で確認できた魔物への対策もしたいため、次の出発は五、六日程度先にしたいと思っております。私からは以上でございます。」

「分かった。」


 ドクグォロスは一言だけ返事をして、挨拶もせずに部屋を出て行った。


 優喜は家に帰ると、湯浴みを済ませて芳香とのイチャイチャタイムに入る。魔力は尽きても、精力は余っているらしい。芳香は口では嫌だイヤだと言いながらも、すんなりと優喜を受け入れている。

 なんだかんだ言いながらも、芳香にとっても優喜は初恋の相手だったらしい。

 新婚夫婦は、その後は寝ていたようで、夕食に呼ばれて寝起き顔で出てきた。


「優喜様にお願いがあります!」


 食事が終わると、茜が意を決したように言う。


「なんですか?」

「私もお嫁さんにしてください!」

「いやいや、私には芳香という奥さんがちゃんといますから。」

「この国では一夫多妻も多夫一妻も認められているんだよ。私も立候補しちゃおうかな。」


 理恵まで参加してきた。

 なに? 優喜ってモテるの?


「ちょっと、困ります! 芳香も何か言ってやってください。」

「どっちが第二夫人なのかしら?」

「ちょっと?」

「私は茜と理恵なら構わないけど……」

「えええええええええええええええええ?」



 結局三人に押し切られ、優喜は茜と理恵も娶ることになった。ちなみに、公正なるジャンケンの結果、茜が第二夫人となることになった。

 しかし、優喜は二人とは子どもができるような行為はしないことだけは譲らなかった。倫理観の問題とかではなく、単に三人同時に妊娠されては非常にマズイということである。

 男子たちからは「なんで碓氷ばっかり」という声が出るが、こればかりはどうにもならない。

 過去は変えられないのだ。全員が生活する基盤を作り、前を目指すことを示し続けたのは紛れもなく優喜なのだ。

 なんやかんやありつつも、優喜は今夜は新しい妻二人に挟まれて寝るらしい。男子たちが泣いて羨ましがっているが、優喜はそんな事には目もくれない。


 翌朝から、優喜は魔導杖の作成に取り掛かる。

 幸一に杖の本体となる真っ直ぐで硬い木の枝の採集を頼み、優喜は魔物の角の加工をしていく。

 まず、ハンマーで適当に砕いて水で洗い、さらにお湯で煮沸する。キレイになったら、さらに砕き細かくし、最終的には粉末にする。

 ひたすら石で叩いて叩いて叩いて叩いて叩いて粉々にしたら、再び鍋に入れて煮込む。『イナミネA』が大量に採集してきている木の実や葉を幾つか入れて、魔力を込めつつ煮込んでいく。

 一時間程煮込んだら布に漉し取り、擂り潰した薬草と混ぜ合わせて乾燥させる。

『イナミネ』が持って帰って来た枝を角の煮汁で洗って、火と水の混成魔法で強制乾燥させてからナイフで適当なサイズに削り出す。

 直径二センチ弱、長さは約四十センチ。ワンドというよりバトンだろう。これに魔術で紋様を刻んでいく。紋様の形は、魔法増幅の力を持つ槍と同じ。

 火、風、土の三属性が既に手に入っている。優喜はこの機能をコピーするつもりでいるらしい。

 優喜としては、四属性のうち三つまで手に入っているのだから、最後の水属性の槍も手に入れたいようだ。まあ、優喜でなくても欲しいだろうけど。

 そのために戦力強化はしておかなければならないと言うのが優喜の弁である。


 魔導杖作成の最後の工程として、刻んだ紋様に粉末にした魔物の角を押し込んでいく。紋様は内部にも立体的に刻み込まれており、そこに魔力を込めつつ角粉末を押し込んでいくのは大変らしい。

 この作業は最初の一本に一日が掛かった。

 そして、出来上がった土属性の魔導杖を手に、優喜は町の外へと向かう。

 試しに使ってみたところ槍と同等の効果を発揮し、優喜は満足顔で邸に帰ると火属性の魔導杖の製作にとりかかる。


 火属性の魔導杖は、魔導士団長、王国軍団長との会談の直前に完成し、優喜は火と土の二つの魔導杖を持って、城へと向かった。

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