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パンツを脱ぎたまえ! 【パンツォヌゥゲ異世界物語】  作者: ゆむ
第二章 格差の拡がる救世主
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01 魔物退治

 第五級パーティー『ヤマト』の四人は東門を出ると、畦道を通って一路北を目指す。畦道は路面の状態があまり良くなく、土魔法で地均しをしながら荷車を引いていく。

 少々時間がかかるが、次に通ることを考えると、通りやすくしておくに越したことはない。という判断だ。

 畑を抜けると、レベル三の地均し魔法で草原に一気に道を作りながら進んでいく。この魔法は移動がメインなのか、地均しがメインなのか分からない。半径三メートルくらいの地面が上に乗った人ごと真っ直ぐに前に進んでいき、後には綺麗に均された道が残る。

 魔法による移動中、伊藤芳香は周囲を警戒し、敵の姿を探し続ける。

 二度目のレベル三地均し移動中に、芳香が声を上げる。


「左前方に発見、三匹!」

「周囲警戒。他の奴らの奇襲に気を付けつつ近づきます。荷車はここに。」


 碓氷優喜が指示を出し、山口茜が魔法を解除して停止する。魚の頭の魔物も接近する優喜たちに気付いたようで、耳障りな叫び声を上げて威嚇し始めた。


「寺島さんは左端、山口さんは右端狙いで、二人同時に。」


 優喜の合図で、寺島理恵と山口茜がそれぞれファイヤービームとウォータービームの魔法を放つ。狙い違わず魚獣の頭を貫き、同時に芳香が地を蹴り一気に距離を詰める。その勢いをそのまま乗せて槍を突き、最後の一匹を一撃で仕留めた。


「私の出番が無いじゃないですか。」


 優喜が文句を言いながら、仕留めた魚獣の首を切り落としていく。この魚獣の角や牙はハンター組合での買取対象のため、首を切り落として持ち帰る。要らない胴体や六肢は火魔法を放って焼き払う。

 魚獣の首を荷車に積むと、四人は再び魚獣を探して歩き出そうとして、やっぱり止めた。


「こういう奴らって、悲鳴に寄って来そうじゃ無いですか?」


 なんか、そんな気がしなくもないが、優喜は唐突な提案をした。


「そうなの?」

「あー、確かに。こいつらって肉食っぽいもんね。」

「試してみる?」

「やってみましょう。ただし、他のハンターの方に誤解を与えないようお願いします。」



 そして、優喜が土魔法で周囲を大きく隆起させると、四人は叫び出す。


「きゃああああ! 魔物の退治中!」

「いやあああ! 助けに来ないで!」

「魔物よ! 魔物よおおおおおお! 来るが良い!」

「殺されなさい! 殺されなさいいいいい!」


 キャーキャーと騒いでいると、本当に魚獣がやって来た。


「北から四、東からも七くらい」

「寺島さんと山口さんは東を。伊藤さん、北の四匹行きますよ!」


 言われた二人が素早く詠唱すると二条のビームが奔り、まとめて魚獣を貫く。優喜と芳香は駆け下りて北の四匹に向かう。

 先頭の魚獣Aを芳香の槍が貫き、足が止まったところに残り三匹が襲いかかる。芳香は慌てて槍を引き抜いて、後ろに下がると同時に、優喜の光の盾が間に割り込み、魚獣の突撃を妨害する。

 光の盾はあっさり砕かれるものの、芳香の体勢を立て直すには十分で、横薙ぎに振るった槍が魚獣Bを打ち据える。

 さらに芳香の左側から横に回り込もうとしていた魚獣Cの腹に優喜の槍が突き刺さる。


「伏せて!」


 優喜は叫ぶと身を屈めた芳香を跳び越えて、芳香に襲いかかろうとしていた魚獣Dに飛び蹴りを叩き込む。芳香が体勢を崩した魚獣Dの首を薙ぎ切り、魚獣Bを石突で突き飛ばす。

 その間に体勢を立て直した優喜は槍を引き抜いて、魚獣Bに突き立てる。直後、芳香の槍が魚獣Bの頭を貫いた。

 と、ウォータービームが奔り、さらに北側より迫ってきていた魚獣二匹を貫く。


「西からも三匹来てるよ!」


 茜が叫ぶと同時に、理恵のファイヤービームがそのうちの一匹を貫く。

 さらに茜もウォータービームを放ち、再度、理恵のファイヤービームが疾る。

 優喜と芳香は、魚獣の首を切り落として二人のところに戻る。


「他にもまだ来ますか?」

「今のところは見当たらないよ。」

「寺島さんと山口さんはそこで周囲の警戒を続けてください。私と伊藤さんで死体の処理をしてきます。」

「了解!」



 優喜が切り落とした首を運んでいる間に、芳香は魚獣の死体に火魔法を放つ。優喜が土魔法で延焼防止の壁を作ったうえで立て続けに何発も火魔法を重ねて、念入りに焼き尽くしていく。


「ここまでする必要あるの?」


 燃え尽きていく魚獣を見ながら芳香は複雑な表情をする。


「放置された死体ってのは、疫病や災厄を呼ぶものと相場が決まっています。町の近くで死体を放置するのは避けた方が無難なんですよ。火葬だと思ってやっちゃってください。」


 全ての死体が燃え尽きると、荷車を引いて西へと向かう。荷車には早くも二十の魚獣の首が積まれており、あと十程度しか乗らないだろう。これ以上北に行くと積みきれなくなる可能性が高いので、少し西に回りつつ町に戻る方向で狩をすすめていくことにした。

 魚獣は思っていたよりも簡単に見つかり、ビーム魔法で駆逐していく。何匹かが魔法に体を貫かれながらもしつこく食い下がり、襲い掛かろうとしてくるものもいたが、それは芳香と優喜の槍によってあっさり撃沈した。


「何? こいつら。今までのとは向かってくる感じが違ったけど。」

「何か必死っていうか、死に物狂いっていうか、すごい迫力だったよ。」


 前衛陣は即座にそれを上回る気迫で叩きつぶしたが、茜と理恵は魚獣の勢いに気圧され気味だ。優喜は魚獣の首を刈り取りながら注意深く当たりを見回し、いくつかのウサギの死体を見つけた。


「食事の邪魔をしたからでしょうか?」


 優喜は難しい顔をして、十秒ほど考え込む。


「寺島さん、最大火力で速やかに焼いちゃってください。一度、急いで町に戻ります。」

「了解!」


 急いで残りの首を落とし、土魔法で魚獣の死体を跳ね飛ばして集めると、理恵はレベル三の火魔法を放ち魚獣を一気に焼き尽くす。火が消えたことを確認してから地均し移動魔法を使って一気に町を目指して移動する。

 町に戻ると急いでハンター組合に行き、芳香たちに換金を任せて優喜は二階の受付に向かった。



「すみません、いま、魔物の討伐についての情報って何かありますか? どのあたりに多いとか。どれくらい狩ったとか。」

「いや、そういった情報は特にないな。」

「思っていた以上の数が、町に接近している可能性が高いです。今後さらに一気に増える可能性があるので、各方面に注意を呼び掛けてもらえますか?」

「ちょっと待て。それはどういうことだ?」

「ウサギが魔物に襲われているのを見ました。魔物もウサギを獲物と認識しているようです。で、ウサギたちは町の北西に大量に生息しているのですが、そこを北から魔物が襲ったら、ウサギたちは南の方へ、つまり、町の方へ逃げます。その後を魔物たちが追ってくる。」

「つまり、ウサギが奴らを引き寄せてしまうと言うことか?」

「そうです。私たちも、朝から今までで既に二十九匹の魔物を狩ってます。今までのウサギ狩よりもハイペースで狩っているんですよ。それだけ町の周辺に魔物がいるってことです。」


 優喜はコピー用紙を一枚出すと、簡単な町周辺地図を描く。紙の下側に直径五センチメートル程度の円。それが町のようだ。その3センチメートルほど右上にバツ印を付け、『ヤマト』、二十九匹、と付記する。


「他の方が戻ってきたら、どこでどれくらい狩ったのか書いてもらってください。あ、上が北です。」


 優喜が受付の男に紙を渡すと、カナフォスが入って来た。


「おい、ウスイ。こんなところで何をモタモタしてるんだ! さっさと狩に行くぞ! やつらいつの間にかウジャウジャ来てるぞ」

「ちょっと待ってください。っていうか、良いところに。カナフォスさんは何所で何匹くらい狩りました?」

「ん? 西門から出てちょっと北に行った辺りだな。五十六は狩ったぞ。っていうか、思った以上に大量いやがる。お前も来い!」

「だからちょっと待ってくださいってば。」


 優喜は受付に向き直り、地図の町の北西を指して言う。


「やっぱり、ウサギが多いところに集まっているようです。六級と七級には北西のウサギの狩場には行かないよう注意を促しておいてください。」

「早くしろ! 行くぞ!」


 急かすカナフォスに引っ張られて優喜はハンター組合を出て行った。

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