表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/145

思いついてしまった神

 酒の臭いが充満する部屋の中、パソコンの画面の前に一人の男が座っている。彼が見ているのは、有名小説投稿サイト。ランキング一位の作品を最新話まで一気に読み終わったところだ。全二百話を越え、なかなかに読み応えのある作品だった。


「異世界ファンタジーって、そんな上手く行くのかなあ。俺もやってみるか。」


 Web小説も異世界ファンタジーというだけで人気が出るほど甘くはないのだが、この男は、自分もできる気になってしまったようだ。

 男は顔を上げて、何もない空間を見つめる。


「魔法があって、文明レベルはあまり高くない世界は…… お、ここなんか良さそうだ!」


 舞台とする世界を見つけたようで、一人喜んでいる。地球とほぼ同じヒト型の知的生物、そして、そのさまざまな亜種。極めつけは、異世界からやってきた種族が定着しているということ。まさにファンタジーの舞台にふさわしいといえる世界だ。


「主人公はどうしようかなあ…… ベタに高校生でいくか。男にするか、女にするか。面倒だから、一クラス纏めて送ってみるか。」


 彼は、無作為に高校を決めて、授業中のクラス全員を一気に異世界に転送する。何らかの能力を与えるのが王道とのことなので、それぞれに魔法の資質を与えてみる。ただし、あまりチート突出してしまわないようにである。チート能力を与えてしまっては、そこらの小説となんら変わり映えはしない。オリジナリティは大切である。


 特別な装備は特に無し。だが、何にもなかったら可哀想だからと、教室の中にある荷物もまとめて送っている。

 転送する子供たちへの説明は面倒だから省略。転送先の世界に救世主を願っている奴がいるから、そいつの前に出してやれば上手くいくだろう。


 かくして、神、パンツォヌゥゲ・ウースリキアの個人的な気分によって異世界への転送が行われることになった。彼の名前は二度と出てくることは無いだろうが、この物語の主役である。

 何しろ、ここ以降の地の文は全て彼のセリフなのだから。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ