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関羽に会いに旅立つ章

前回のあらすじ

関羽の息子、関索として三国志の時代に転生した俺。私に勝った男としか結婚しないという鮑三娘ほうさんじょうという少女との勝負に勝ち、その気はないのに鮑三娘ほうさんじょうと結婚してしまう。これからどうなる俺!

「どうなさいましたか関索様。疲れている様ですが」

「そりゃ疲れたっーの。寄ってたかって酒ばっか飲ませやがって。俺酒なんか飲んだことないってのに。3日たったのにまだ二日酔いが残ってるよ。あー気持ち悪ぃ」

歩きながら鮑三娘ほうさんじょうが心配そうに俺の背中をさする。鮑三娘ほうさんじょうとの結婚式の宴は三日三晩続いた。心配していたじゃじゃ馬娘の結婚式。父である鮑員外ほういんがいの喜びもひとしおだったのだろう。

ようやく宴が終わり、俺達は父である関羽に会うべく、関羽がいるという四川へと向かっている。すでに村を出て、3日たとうとしていた。

「関索様は関羽様に会ったら、まずどうなさいますか?」

「関羽に会ったら……か。とりあえず一発ぶん殴んなきゃ気がすまない」

「え? それは何故です?」

「だっておかしいじゃねえか。母上が言っていたろ? 関羽は天下のため働くから、憂いを断つために嫁と子供を殺そうとしたって。自分勝手すぎんだろ。そんな奴を俺の親父と、英雄と認めたくない」

「しかし、親のために妻や子が犠牲になるのは仕方ないことでございます」

「わかってるよ。この時代の道徳じゃそうなんだろうさ。でも、そんなもん糞くらえだ。俺は納得できない」

「関索様はお優しいのですね。そういうところも好きだぞ、関索。あっ」

鮑三娘ほうさんじょうははたと気づき、

「好きですよ。関索様」

と言い直した。

「なあ鮑三娘ほうさんじょう。かしこまって無理な敬語使わなくていいよ?」

「しかし、関索様にふさわしい理想の妻としてですね」

「いいっていいって。それに、鮑三娘ほうさんじょうのイメージと理想の妻ってイメージがかけ離れすぎてて、その、なんだ。違和感が」

「お前はひどいことを言うな。まあいい。実際どうもこの妻っぽい言葉使いは慣れんと思っていたところだ。私も助かる」

「そっちのが鮑三娘ほうさんじょうらしくていいよ。しっくりくる」

「誉めてるのかバカにしてるかわからんが、誉め言葉として受け取っておくよ」

そういうと鮑三娘ほうさんじょうは照れ隠しのように竹筒でつくった作った水筒の口を空け、水を飲み干した。

「水筒の水も終わっちゃったみたいだし、次の村で水と食料を補給していこうか。次の村までは何日くらい歩くの?」

「なに、あと半日も歩けば着く。ところで関索、次の村に立ち寄った時、お前に会ってもらいたい人がいるんだ。構わないか?」

「いいけど、どんな人?」

はくちゃんという娘でな。私の幼馴染みで親友だ。4年前、今向かっている村の男と結婚してからずっと会っていないんだ。お前と結婚したことを報告したいと思ってな」

「そりゃぜひお会いしたい。お前の子供の頃のトンデモエピソードがたっぷり聞けそうだ」

「馬鹿者! 私とて子供の頃はそれはかわいい女の子だったぞ。大した悪さはしていない。せいぜい5才の頃にはくちゃんをいじめた村のクソガキ共を10人ぶちのめして木に縛り付けて一晩放置したら、村の大人達からものすごく怒られたくらいだ」

「……。期待を裏切らないエピソードが聞けそうで楽しみだよ」


それから半日歩き続けると、日も傾いた夕方、はくちゃんがいるという村に到着した。

「んーと、この村で間違いないんだよね?」

「そのはずなんだが……」

俺と鮑三娘ほうさんじょうは唖然として村の入り口に立っていた。この時代の村など、平成の日本と比べるべくもないが、それにしても村はすっかり荒れ果てていた。関索の家があった村だってきれいとは言えないが、それでも人の営みを感じる活気はあった。ところがこの村はどうだ。家々は民家というより壊れかけのあばら家といったほうが正しいだろう。壁には穴が開き、修繕すらされていない。そしてなにより、家の外に人の気配がない。

「本当にここがはくちゃんがいる村なの? なんか廃村みたいな村じゃん」

「間違いないはずだが、段々自信がなくなってきた」

鮑三娘ほうさんじょうも辺りを見回して困惑している。

「とりあえず、そのはくちゃんとやらの家まで案内してくれよ」

「ああ、わかった」

鮑三娘ほうさんじょうについていき村の中を歩く。歩きながら、家々の窓や壊れた穴から俺達を覗き見る視線を感じる。なるほど。まるっきり人がいない廃村というわけでもないようだ。しかし、こっそり監視されているようで気味が悪い。

一件の家の前で鮑三娘ほうさんじょうの足が止まる。

「ここがはくちゃんの家だ」

「まずは呼んでみろよ」

鮑三娘ほうさんじょうは息を吸うと大声で叫んだ。

はくちゃーん! 私だ! 鮑三娘ほうさんじょうだ!」

よく通る大声が静かな村に響く。だが、人が出てくる気配はない。

「むぅ、留守か。畑にでも行っているのか?」

「もう一度呼んでみろよ」

「おーいはくちゃーん! 鮑三娘ほうさんじょうだ! 結婚したのでな、夫を紹介に来た!」

すると、ゆっくりとドアが空き、中からボロを着た痩せた少女が出てきた。

「え…? ほうちゃん?」

はくちゃん!」

「本当にほうちゃんだ! 久しぶり! 会いたかった!」

「ああ私だ! 私も会いたかったぞはくちゃん! 」

二人は4年ぶりの再開を抱き合ってよろこんだ。

「久しぶりだねほうちゃん。元気にしてた?」

「ああもちろんだ。かわいそうに。白ちゃんはすっかり痩せてしまってからに。これは旦那にお灸を据える必要がありそうだな」

「あはは。それはホラ、色々あったから」

はくは目を伏せて言葉を濁す。

「それより、ほうちゃん、結婚したの?」

「ああ、つい3日前だがな。紹介しよう、私の旦那、関索だ」

「こんにちは、関索って言います。よろしく」

俺はペコリと頭を下げる。

「そうだったんだ。素敵な旦那さんでよかったね」

「ああ。私の自慢の旦那だ」

「来てくれてありがとう。本当に良かった。最後にほうちゃんと会えたから」

「最後? それはどういう意味だ?」

ほころんでいた 鮑三娘ほうさんじょうの顔が曇る。

「私ね……。山賊の所に捧げ物として連れていかれるんだ」

「なんだと!?」

次回 関索の新たな嫁、登場

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