第一話 僕 の紋章
今回は割込み投稿です。
これから書いていったものを3000~6000文字程までまとめさせてもらいます。
投稿、遅くなりすみませんでした。
乱切りされた野菜のミルクスープ、丸ごと一匹焼かれた鶏肉、少し硬いが良い匂いのするパンなどはもうほとんどが食べつくされていた。
この目の前のグラスを除けば・・・
「マサ、グーと一口でいくんだ。飲めないようじゃ真の大人になれないぞ!」
15歳から大人と認められるので大半の家では、この日に初のお酒に手を出すのだが僕はこの鼻の奥にくるお酒の匂いが苦手で、好きではないのだ。
しかし、逃げてはいけないとコップを口に近づけて一気に煽る。
何だか胸が温かい。ポカポカしてくるし、意識が朦朧としてしまう。
「マサ、これ噛みくだいて」
ミルさんから黒い果実のようなものを口に入れられる。
張った実に噛むと、とても強い酸味の果肉が出てきた。
酔い止めのようで、頭が覚めてくる。少しだが頭も冷たくなる。
「よし!マサ、もう昼になるな。外に行くぞ」
差し込む陽光は窓枠のみを照らしており、太陽が僕らの真上にあることを表していた。
朝だと思っていたらいつの間にか昼になってしまった時間の流れは不規則的だ。
僕は決意を込めて頷き、伯父さんの背を追ったのだった。
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15歳の誕生日は、大人になれる日 いや、大人の証が得られる日 だ。
人が生きる理由それは怪物を滅ぼすこと。その助力を渡された証が紋章なのだ。
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少し酔いにふらつきながらも外に出る。サンサンと輝く太陽が今日は眩しく感じる。
人によって紋章の形は変わり
コールル叔父さんは首の裏に獅子の紋章が
ケルツ伯父さんは背中に龍の紋章が
ミルさんはももの前に兎の紋章がある。
僕には何の紋章がつくのか、不安はあれども楽しみであった。
不意に酔いとは違う眩みをする。膝に手を置いて辛うじて踏みとどまるが、脳裏に何かが 走ったようなピリッとした痛みが現れて全身から力が抜けてしまう。
視界の暗転
心臓が大きく脈打つ
血が沸き立つ
血管の破裂するような痛み
左手への収束
手の甲から浮かび上がる・・・それは紋章。
半身が悪魔、半身が天使の異形。天使は悪魔に持つ剣を突き付け、対する悪魔は手を蛇と成し天使に絡みつく・・・
再度、ピリッと痛みが走ると目の前が明るくなった。苦しさは感じない、ただ左手に存在するであろう紋章に恐れを感じる。
「ん?マサどうかしたのか・・・紋章か!ケルツ、ミル 見ろ!」
「どれ」「はいはい」みんなが僕の紋章を見る。
「センスのある紋章だな。中々に美しい」
「天使と悪魔か、かっこいいと思うぞ!マサ!」
「適性は何だったの?」
皆バラバラなことを聞く。 それはいいとして僕は多少怯えながらも教教えてもらった通りに紋章に触れて「ウィンドウ」と言う。 すると目の前に音もなくウィンドウが現れた。
マサ・ラクエル 〔E〕
種類;人間
HP;45/45
MP;42/42
WP;91/100
特性(スキル)
・光属性魔法 LV1(適性) ・聖属性魔法 LV1(適性)
・闇属性魔法 LV1(適性) ・邪属性魔法 LV1(適性)
天性(ナチュレ)
・はんぶんこ
「・・・えーっと特性は光と聖と闇と邪で全部適正?だよ。」
「「「ええっ!?」」」
「それと天性って言うのがあるけど・・・」
「「「えええっ!!??」」」
「・・・なんでそんなに驚くの?」
「「「それは・・・」」」
三人が手で 待て の手振りをする。そして誰が教えるか話し合いを始めてしまった。
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「まず、適性が4つあることよ」
話し合いの末、ミルさんが話し始める。
「普通は2つ、今王都にいる大神官のマッちゃんだって3つなのよ」
ちなみにマッちゃんとは元ランク〔S〕の冒険者であるマークさんのことだ。
何故マッちゃんなのかは後に語られる。
「しかも、どちらも対属性なのも興味深い」
そこにケルツ伯父さんが被せてくる。
「属性の相性は円で見るんだが・・・ほら、これを見ろ」
どこからか取り出した本の一ページを見せてきた。
そこにはいくつかの円に火や水などの文字が書かれていた。
「火属性なら熱気属性、融属性が近属性で冷気や泥が遠、そして水が対」
また違う円を指さして、
「同じように光の対が闇なんだが」
「統合するはずなんだ。対属性は・・・」
次にコールル叔父さんが言った。
「対はお互いくっついて運が良ければ新属性、悪かった無くなる」
新属性というのは爆(火+水)や砂嵐(風+土)、という風なかんじだ。
「あとは天性ね」
「で、でもおじさん達みんな持ってるから・・・」
「特別だからな!」
「天性なんて1000人に1人いるぐらいなのよ。誇っていいわ」
「名前はなんて言うんだ?」
「えーと、『はんぶんこ』って名前だけど知ってる?」
「知らんな!」「知らないわ」「知らん」
「まあ、何はともあれ、おめでとう!マサ!」
知らないか。というか今日のことで自分がどれだけ無知なのか悟った。まあ幼いころから戦闘とサバイバルの英才教育以外ほとんど何も教わらなかったからだろう。辛うじて字は読める。
15歳まで何も教わらず、ウィンドウの字が読めない人も少なくないそうだ。
またミルさんへの感謝が増えてしまう。
いつか返そうなと心に決めた。
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その日の夜の皆が寝静まる頃、僕は一人で外に出ていた。
子供が玩具で遊ぶのを我慢できないような、そんな感情を彷彿とさせる。
僕は貰ったばかりの短剣を見る。
月光に照らされ薄く光る刃をそっと撫でた。
そして、今まで習ってきた動きに沿って揮う。
右から左、返しの刃で斜め上に、空想の相手を切り、刻む。
最後、跳ね上げた剣を真っ直ぐに振り下ろす。
「さすがコールル伯父さん」
途轍もなく良い剣だとわかる。
振りやすさ、切りやすさに直結する重量の比率も、空を裂く時の切れ味も悪く言おうが完璧だ。
言うなれば少し短いと感じるがこの剣は成長すると聞いた、良いものを貰えた僕は本当に幸せ者だ。
そのまま帰ろうとすると近くの林から物音が聞こえた。
隠れようとして不注意にも鳴ってしまった小音。
普段なら風のせいにしたところだが異様に右手が疼く。
か い ぶ つ が い る
僕の中で何かが蠢いた。
そして心と思考を置き去りにして音のした方へ駆け抜ける。
何の芸もない獣の様な一撃で、そこにいた物は抵抗もなく切られた。
LEVEL UP 0→1 【衝動的な殺意】
音もなく目の前に現れ、LEVEL UPを伝えるウィンドウ。
発された光と足元の血溜で自分の顔が見えた。
何故か酷く高揚していた。




