第47話 次期頭領戦 3
ガクガク震える男はまだ四つん這いのままでギーラ達の目の前にいる
「こ・こ・腰が抜けて た・た・立てません」
首を必死に上に上げながら泣き顔で言っている
「ニャ そんなのニャ どうでもいいニャ 何で私達見てたニャ」
シルキャドが珍しく見下ろしながら聞いている
「に・に・逃げようとしたんですが こ・こ・腰が抜けてしまいまして」
「ニャ 腰の話はニャ さっきも聞いたニャ 私を舐めてるニャ お前ニャ」
「い・い・いえ す・す・すいません・・・・・」
シルキャドは両手を腰に当ててあいかわらず見下ろしている
「まあまあ シルキャドもういいからトラとオトギ呼んで来て」
ギーラはこれ以上シルキャドのイライラを止める為に部屋の隅で兄が妹の肩をガンガン叩いてる所を指差してお願いする
「ニャ 分かったニャ ギーラはニャ 私に頼らないとニャ 何にも出来ないからニャ まあニャ しょうが無いニャ あ~しょうが無いニャ」
シルキャドは笑顔でスキップしながら尻尾をブンブン振りながらギーラにお願いされた事を喜んで肩ガンガンの所に向かう
「所でミトカンツの居場所はどこか分かるか?」
ミサーミルルはシルキャドの背中を見てから震えてる男に視線を向ける
「多分 多分ですが墓地の方に向かって行ったと思います 私の仲間が途中まで一緒に付いていましたから ミサーミルル様」
震える男はミトカンツの派閥の人間だがここは空気を読んでミサーミルルに様を付けている
「なるほど墓地か 何故ミトカンツ達は墓地に行ったとお前は思う?」
ミサーミルルは震える男に聞く
「いえ 私は分かりません すいません・・・・・」
震える男は謝りながら四つん這いのまま頭を下げる
「そうか 分かったそれならもう行っていいぞ 情報ありがとうな」
「へっ もういいんですか?」
「あああ もういいぞ 腰が早く元に戻ると良いな」
ミサーミルルは笑顔で優しく震える男に言い 震える男は四つん這いで赤ちゃんのハイハイ状態で何回もギーラとミサーミルルに頭を下げながら部屋の扉から出て行った
「これも 頭領になった時の為の優しさか ミサーミルル?」
ギーラはミサーミルルを見ながら聞く
「そうだ 少しでも良い印象を与えときたいからな 無駄な殺しは敵を作るだけで良い事は一つもないからな」
「まあそうだな それじゃあ墓地にでも向かうのか?」
「そうだ 行く アキミルとミミキアの仇を討つ為にな さあ行こうかギーラ」
「分かった 行こう」
ギーラは肩バンバンが終わってこっちに戻っていたトラとオトギと 「も~ギーラはしょうが無いニャ」とまだ笑顔で言っているシャルキャドを連れてミサーミルルの後ろから離れずに付いていく それからミトカンツが移動したと思われる墓地へと向かう その途中もミトカンツの派閥のグレーのローブ姿の集団に何度か襲われるが無難になるべく死人を出さずに次々ギーラ達は撃破していく
「私は頭領になりたいだけで別にお前達を傷つけたり殺したりはしたくないんだがな」
ミサーミルルは何回目かの襲撃者達のグレーのローブ姿の者達に話し掛ける
「俺達もそれはありがたいがミトカンツ様には恩義がある」
5人中4人が倒されて残りの1人の男が膝に手を付き大きく口で呼吸をしながら返事をする
「まあお前のその気持ちは十分に分かるが 我々に勝てるのか?」
ミサーミルルは倒れてる男達を見てからギーラ達を指差しながら聞く トラとオトギはその男を睨みつけシルキャドは透明化で息を殺して男の背後に立ちギーラは少し離れて男の様子を油断なく観察している
「くっ たしかに俺達では歯が立たないが ミトカンツ様なら何とかしてくれる筈だ」
男も自分の仲間が倒れているのを見てからギーラ達を見て呼吸を荒くして答える
「そう それだ私達とお前達は今は敵同士で憎み合っているが 元々は同じ種族だから本当は傷つけたり殺し合いをするのがおかしな話だ それに良く考えてみろこの意味の無い戦いの原因は私とミトカンツの次期頭領の争いだ だから私は思う死ぬのは本当は私かミトカンツのどちらだけで良いと思うんだがな この2人が殺し合い勝った方が頭領で負けた方が死ぬそれが私は一番シンプルだと今まで考えている それで2人の勝負が決まり勝った方が気に入らなければどこかにお前達は行けば良い私はそれを止める気はまったく無い 私はそんな考えでなミトカンツの考えは分からんがな お前はどう思う? 良ければ意見を聞かせてくれないか?」
ミサーミルルは男の目を見ながら質問する
「たしかに俺達は末端の者だからミサーミルル・・・・・様の考えはありがたいな まあ傷付いたりましてや死ぬなんてのはまっぴらゴメンだからな それで俺にどうしろと?」
「そうだな・・・・・静観しろ それにお前の仲間達にもそれを伝えてくれないか それでも私に歯向かう物がいれば一切の情けをかけずに殺す しかし静観する者がいれば私は何もしない手を出さない約束する もちろん私の派閥の部下達にもそれは徹底させる さっきも話したが私とミトカンツの勝負の結果を待ってて欲しい」
「静観か・・・・・分かった ミサーミルル・・・・・様の考えを俺の仲間達に伝えよう ただあなたも知っていると思うが俺達の種族は色々な考えの奴がいるから俺達の派閥の奴等全員は無理だと思うが俺はたしかに仲間達には伝えよう」
「そうか すまんな助かる これで無駄な血が少しは流れなくなるだろう」
「いやいや 俺は本当は同じ種族の殺し合いは賛成では無かったから そんな考えの奴も多くはいるから無駄な血は流れなくなるだろうな」
「そうだな それじゃあ頼めるか?」
「あああ 分かった」
そう男は返事してクルリと振り返り呼吸は乱れているが走り去っていく
「おい 誰かいるか?」
ミサーミルルは走り去る男の背中を見ながら声を掛ける
「はっ ミサーミルル様お呼びですか?」
すると数名の茶色いローブのミサーミルルの派閥の者達が走ってくる
「お前達 聞いていただろう? 静観している者達には決して手を出すな 静観していない者達は皆殺しで構わん」
「「「はっ 畏まりました」」」
そう返事をした茶色いローブの者達は頭を下げて素早く移動を開始する
「これも 後処理を楽にするためかミサーミルル?」
2人の会話を聞いていたギーラがミサーミルルに聞く
「まあ それもあるが同じ種族の人間が傷を負うのは見てて楽しい物では無いからな」
ミサーミルルが少し悲しい顔になりギーラに話す
「そうか なるほどな」
ギーラも頷きながら言う
「けど ミトカンツの奴は関係なく殺すがな 私の目の前で最後を迎えさせてやる」
ミサーミルルは復讐の目になりながら歩き出す しばらくギーラ達が墓地に向かって歩いているとミトカンツの派閥のグレーのローブ姿の襲撃が無くなりだす 中にはギーラ達に襲い掛かろうとする者を止めようと説得してそれに納得して攻撃を諦めている者やギーラ達の姿を発見すると手に持つ武器を鞘に収める者まで現れ始める
「ニャ さっきの男ニャ ちゃんと話しをしてるんだニャ ミトカンツの派閥のニャ 態度がニャ 変わってきてるニャ」
シルキャドが少し驚き首をキョロキョロさせながら言っている
「そうだな さっきの男も言っていたが誰も好きであきらかに自分より強い奴と戦って傷を負ったりはしたくないからな まあ相手のボスが私の事だが静観したら手を出さないと聞けば乗り気じゃない奴や迷ってた奴は考えるだろうな これもギーラ達のお陰かもな」
「ニャ まあニャ ギーラが1ニャ トラも1かニャ オトギも1ぐらいかニャ ミサーミルルも頑張ってるから1だニャ 残りの7がニャ 私のニャ 貢献度の数字だニャ~ ニャハハハハハ」
シルキャドは両手を腰に当てお得意の高笑いをしている ギーラとミサーミルルは 「シルキャドさんその貢献度の数字全部足したら11ですよ」 と思ったがそのまま大人の対応でスルーする トラとオトギは 「シルキャド貢献度7は流石だな まだまだトラオトギ頑張る」 と思いシルキャドを笑顔で見ている そんなシルキャドに少し癒されてギーラはミトカンツがいると思われる墓地へと進んで行く




