第37話 襲撃者
ギーラ達は深い森から徒歩で戻り始める 森の入り口もう少しで馬車屋の従業員や馬達の死体が見える場所まで戻ってくる
「ギーラ ナニカイル タブン マエニイル」
トラがギーラを木の陰に隠しながら前を向いたまま言う
「ハイ オトギ ワカル ナニカイル」
オトギもシルキャドを庇うように1歩前に出て言う
「分かった どんな状況だ?」
ギーラはトラの横顔を見ながら木の陰に隠れて聞く
「ウン マエデ ナニカシテイル」
「ハイ ニオイ サッキ コウゲキシテキタ ヤツラ」
トラとオトギが先程到着した森の入り口で襲撃者がいると話す
「そうか 前方の広場にいるのか あいつ等は何をしている?」
「ウン バシャノマワリ イル」
「ハイ ニモツ ハコンデルミタイ」
「なるほど あいつ等誰も居なくなったと思って馬車の戦利品の回収に現れたのかな? 何処かで入れ違いになりさっきの大きな岩では出会えなかったのかもな」
ギーラは考えながら話す
「ニャ もちろんニャ 皆殺しするニャ ギーラ トラ オトギ?」
今まで黙っていたシルキャドがオトギの横に並びながら笑顔で話す
「あああ そうだな 1度諦めたけど見つけちゃったら当然皆殺しは決定やな」
「ウン トラ ミナゴロシ スキ」
「ハイ オニイチャント オナジ」
ギーラ達の回りに皆殺しオーラが溢れ出す
「じゃあ 決定 まずシルキャド透明化で情報集めて来て トラとオトギはいつでも行ける準備しといて」
「ニャ 任せるニャ バッチリ見てくるニャ 消える消える消えるニャ」
シルキャドは右手でOKサインをしてから 消えるニャ で完全に姿が消えて動き出す
「ウン トラ ジュンビイツデモ ダイジョウブ」
「ハイ オトギ オニイチャント オナジ」
トラとオトギも体中の骨をボキボキ鳴らしながらストレッチで準備完了
「よし あとはシルキャド待ちやね」
シルキャドは素早く走り出し手頃の木に蹴りを入れ他の木にも蹴り続けてその間をリズム良く上がり木の枝に登ると襲撃者を発見した地点まで木の枝を踏み跳びながら無音で進んで行く 少し移動すると森が拓けてきて大きな岩に挟まれた広場に倒れた馬車がありその回りに人影が見えて来る
「ニャ いたニャ やっぱり荷物をニャ 運んでるニャ」
シルキャドが勢いを止めて木の上から人影を観察すると 腰にナイフを差し茶色いローブ姿に全員が目だけ出して顔を隠すような格好で馬車から荷物を黙々と運んでいる
「ニャ あいつ等全員同じ姿だニャ 目だけ出して暑く無いのかニャ」
シルキャドは自分の豹柄ビキニを見てから小声で話す
「ニャ 全部で5人だニャ 武器は腰にあるナイフだけニャ けど同じ姿は少し不気味だニャ あと岩の上は誰もいないニャ」
シルキャドは広場や前回襲撃された高い岩を注意深く観察しながら見渡す
「ニャ OKニャ あとはギーラ達に報告だけだニャ」
シルキャドはクルリと後ろを向き来た木の枝を戻る
「ニャ 見てきたニャ 全部で5人で武器はナイフニャ 馬車の中から荷物をニャ 運んでるニャ」
シルキャドは透明化を解きギーラ達の前まで行き見てきた事を報告する
「そうかありがとう シルキャド ご苦労様やね」
「ニャ 朝飯前ニャ チョチョイのチョイニャ」
シルキャドはギーラに礼を言われて嬉しくて声は我慢して出していないが両手を腰に当てて仰け反るように空を向き口パクで笑っている
「じゃあ 森の出口までゆっくり進んでそこからは思いっきり飛び出して皆殺しの時間にするね」
ギーラはシルキャドの仰け反りをチラッと見てからトラとオトギに話しかける
「ウン シンプル スキ」
「ハイ ミナゴロシ サンセイ」
「ニャ 良いニャ ギーラ良い作戦ニャ 声を出して笑いたいぐらいニャ 今は我慢するけどニャ」
仲間達から当然の賛成の言葉を聞きギーラはゆっくりと広場にいる襲撃者の所に向かって行く ギーラ達が森の出口の木の陰に隠れながら襲撃者の様子を窺うとシルキャドの報告通りに馬車の中から荷物を運んでいる
「よし 全員準備はOKやね あとは思いっきり暴れるだけやからね」
ギーラ達の場所から襲撃者達は約15メートルぐらいの距離でこちらには気付いておらず黙々と荷物を運ぶ行動を繰り返している 全員のアイコンタクトが終了してシルキャドの透明化も確認してギーラが黙って1回頷く するとトラとオトギは動き出し一瞬で襲撃者の目の前まで到達して2人を右ストレートでそれぞれバラバラに吹き飛ばす
「なんだ 2人やられたぞ こいつらはいつのまにここに来た?」
襲撃者の1人がトラとオトギの姿に気付いて大きな声で叫びながら持っていた荷物を放り投げて腰のナイフを抜き取る
「ニャ 遅いニャ 遅いニャ さっきは弓矢の攻撃ありがとニャ これはお返しニャ」
シルキャドが大きな声で叫んだ襲撃者の背後を取っており真っ白い片手剣を首の後ろに突き刺しながら言う
「残り2人 皆殺しだ」
ギーラはトラ オトギ シルキャドの動きを確認しながら叫び 投げナイフを両手に持ち走っている
「チッ もう3人もやられた 俺はこいつを殺す」
残りの襲撃者の1人はギーラに気付いて荷物を放り投げてナイフを腰から抜きギーラに向かい走り出し大きくジャンプしながら右手に持つナイフを振りかぶる
「あらら その距離は残念な距離やのにな~」
ギーラは走りながら冷静にジャンプした襲撃者を見つめながら言う そして<百発百中>の赤文字を頭の中で確認して両手に持つ投げナイフをジャンプした襲撃者に向かって投げる すると無音で飛び出しジャンプしている襲撃者の右手の手の平と額の真ん中に投げナイフを深々と突き刺す その瞬間ジャンプした襲撃者は体中の力を失いそのまま地面に落下していた
「オトギ ヒトリ アソコニ イル」
トラがもの凄いスピードで走りながら前方を指差す
「ハイ オニイチャン ワカッタ」
オトギは頷きながらトラを見てから もの凄いスピードでトラと並んで走り最後の襲撃者を追いかける
「クソッ これは無理だ あっというまに4人も殺された 一旦逃げるぞ」
最後の襲撃者は悔しそうに小さく囁くと背中を見せて走り出す
「オトギ アイツ ニゲル ナサケナイ」
「ハイ オニイチャン セナカムケル アイツ ハズカシイ」
もの凄いスピードで走りながらトラとオトギはガッカリ顔をしながらグングン最後の襲撃者に迫る
「うおっ なんだあいつ等早すぎる このままじゃ追い付かれる・・・・・」
トラとオトギが追い付き攻撃を仕掛けようとした時
「ニャ お前ニャ 足遅いニャ」
透明化のシルキャドが最後の襲撃者の真横を走りながら話しかける
「んっ 誰だ? 何処にいる?」
最後の襲撃者は走りながら首をキョロキョロさせるが声の主の正体は分からない
「オイ オイツイタ オマエ オソイ」
「ツカマエタ キョロキョロ シヌ オマエ」
シルキャドの声に一瞬反応した為に最後の襲撃者は少しだけ注意がそれた瞬間に右腕をトラ左腕をオトギに掴まれそのまま両腕をブチブチの音と同時にもぎ取られ肩から大量の血を流しながらそのまま走っている
「ぐおおおおおおおおお 俺の両腕が一瞬で無くなった・・・・・ 痛てええええええええ」
「ニャ お前ニャ 両腕無くなったのにニャ まだ走れるのかニャ 凄いニャ 我慢強いんだニャ~」
そう言うとシルキャドは透明化を解いて真っ白い片手剣を持ちながら最後の襲撃者の前を後ろ向きで走りながらバッチリ目を合わして話し掛ける
「ぐううううう 何処にいたお前・・・・・」
両腕が無い肩から大量の血を出しながら走っていた最後の襲撃者は諦めた声を出し 恐ろしいスピードの後ろ向き走りをするシルキャドの目を見つめながら聞く
「ニャ まあいいニャ そんな事はニャ お前死ぬからニャ」
シルキャドはピタリとその場に止まり真っ白い片手剣の剣先を最後の襲撃者の喉に向かって突き出す 最後の襲撃者は走っていた勢いを止められずそのまま喉から剣先に突っ込みシルキャドは片手剣から両手を離す そのままの体勢で数歩走って膝から前に倒れこむと喉に刺さった片手剣が地面に押されて刃の部分がニュルッと飛び出してくる
「ニャ 終わったニャ これで馬さん達の仇は取れたニャ 良かったニャ 良かったニャ~」
シルキャドは膝から崩れて死んでいる最後の襲撃者を足でゴロンと転がして正面を向かせて喉に突き刺した片手剣を引き抜き数回振って血糊を飛ばしながら嬉しそうに話す
「ウン コレデオワリダナ」
「ハイ オワリ ギーラ シルキャド コウゲキシタラ コロス」
トラとオトギは引き千切った片腕づつを倒れて死んでいる最後の襲撃者に向かって無造作にポイッと放り投げながら言う
「よし みんなご苦労さん これでリベンジ成功 お疲れ~」
ギーラはゆっくり歩きながら仲間達の所に笑顔で向かいながら進んでくる トラ シルキャド オトギも笑顔になりギーラを迎える
「ニャ 所でニャ なんでこいつ等ニャ 私達攻撃したのかニャ?」
シルキャドが豹柄ビキニトップ両腕で上に上げて調整しながら猫目を不思議そうにして聞いてくる
「あああ そうだな それは少し不思議だな」
ギーラは死んでいる襲撃者を見下ろしながら答えてから 顔を殆んどの部分を隠している茶色い布を片手で引き剥がす
「んっ? こいつは人間か? 額にもう1つ目があるぞ・・・・・」
ギーラは額に目をやりながら少し驚きながら仲間達に聞く
「ニャ 本当だニャ 初めて見たニャ?」
「ウン コレハ ミツメニンゲンゾク メズラシイ」
トラが額に目をやってから答える
「3つ目人間族?・・・・・」
トラの説明によると 姿形は人間とほぼ同じで閉鎖的な種族であまり姿を現さない 3つ目の魔物と人間の間に出来た子供が稀にこのような状態で生まれてきて魔物と人間のハーフだと話を聞く
「なるほどな 色々な種族がいるんだな 魔物とのハーフだから負い目でも合ってあまり見かけないのかもな だとしたら俺達には恨みとかは無くたまたまここに来たから襲撃されたんだろうね 近くにこいつ等の縄張りや住んでる場所があるのかもね」
「ニャ そうかもニャ たまたまだニャ タイミングが悪かったニャ こいつ等ニャ 私達襲うとは残念だったニャ」
「ウン ソウダロウ コイツラ アマリアワナイ」
ギーラがそう言いとみんなが納得する
「じゃあ ここの村の場所確認の依頼も完了したしリベンジも成功したからアカレオの町に戻ろうか」
「ニャ そうだニャ ここにはもう用事は無いニャ 帰ろうニャ 帰ろうニャ」
「ウン ソウダナ」
「ハイ カエル オトギ」
そうギーラが言い戦利品や武器の回収をしていると広場の両端の高い岩の上から人影が現れた




