第26話 大蛇 5
カンマーイとララベスが死んでレアーラキスが戦場なのに薄い水面に泣き崩れている
そこにはギーラとは数十メートルの距離が離れているがはっきりと存在感が分かる物体 全長10メートルはあり大蛇と人間1人を簡単に飲み込んでもまだ食べたりない感じで大きな口から赤い舌をチロチロ出しながらとぐろを巻きギーラ達を見下ろす赤と緑と黒のマダラ模様の巨大大蛇
「な・な・何だこれ でか過ぎる」
ギーラは巨大大蛇を見つけた瞬間から頭をフル回転させて考える 戦うか? 逃げるか? 戦えるのか? 逃げれるのか? 戦うとしたら? 逃げるとしたら? 何も考えれない 頭が真っ白になる これが 蛇に睨まれた蛙 かとボンヤリ現実逃避をしかけようとした時に
「ギーラ エンゴ ワスレテル トラ マエ」
トラが俺を笑顔で後ろに優しく押しのけて黒い円錐棒を右肩に乗せて前に立つ
「ニャ レアーラキス この片手剣借りるニャ 今の短剣ニャ あのデカブツ倒せないニャ」
透明化を続けているシルキャドは水面に膝を付き泣き崩れているレアーラキスの傍に素早く移動して明るい声で話しかける そしてレアーラキスの返事を待たずに片手剣をもう一度 借りるニャ と声を出してから右手で握ると片手剣も一瞬で消える レアーラキスはシルキャドの存在と言葉には気付いたが意識が朦朧として泣き崩れたままだ
「よし 頭の中真っ白だったけど戦うよ トラ シルキャド 頼むよ」
ギーラはトラとシルキャドの行動を目で追っていて その行動を見た後は悩みはすべて消えて無くなり戦闘スイッチがカチッとオンに入る
「ヘビ トラ タタカウノカ タノシクナリソウ」
トラは無表情でそう言うと巨大大蛇に向かい首や両腕をグルグル回して数十メートル離れた巨大大蛇に向かって水面の上をゆっくり歩き出す
「トラ カラダ ジュンビカンリョウ」
トラは無表情で言い5歩目の右足が地面を踏むと同時に水しぶきを上げながら コロス と小さな声で囁いてあっというまに数十メートル先にいた巨大大蛇の目の前に立つ
「オイ ヘビ トラ ココ イル」
巨大大蛇は目の前の餌が向こうから自ら進んでくるのを舌をチロチロ出しながら見ていた するとゆっくり歩いてきた餌が水しぶきと共に突然消えて自分のとぐろの下から声が聞こえたので何気無しに下を向く
「ヘビ スコシオオキイケド オマエモ オソイノカ」
トラは黒い円錐棒を両手に持ち替えとぐろを巻く巨大大蛇が下を向くと同時に そのとぐろ目がけて黒い円錐棒をフルスイングでもの凄いスピードでブチ当てて ブチッブチッバキッバキッの大音量を鳴らしながら数十メートル吹っ飛ばす
「トラが消えたと思ったら巨大大蛇が吹っ飛んだ」
「ニャ トラやるニャ 流石筋肉ムキムキニャ」
ギーラと透明化のシルキャドはトラがストレッチをしながら無造作に巨大大蛇に歩き出し いきなり消えて巨大大蛇を吹っ飛ばすのをギーラの傍でシルキャドも見ていてその瞬間同時に動きだす
「シルキャド 巨大大蛇の背後からレアーラキスの片手剣で頭部を突き刺せ」
「ニャ ギーラ 分かったニャ この片手剣をブッ刺すニャ」
走り出し行動に移しながらギーラとシルキャドは巨大大蛇に近づく
巨大大蛇はいつのまにか数十メートル吹っ飛ばされて大きな岩を5個破壊しながら6個目の大きな岩で巨大大蛇は吹っ飛びが無理矢理停止する 体からは何本も骨が折れて飛び出し血も噴出して破壊してきた大きな岩や今止まってる岩や水面にも骨や血を撒き散らしていた 巨大大蛇はもの凄い力を初めて受けて痛みも忘れて無茶苦茶に動き出しパニックになる
「トラ 良くやった あとはトドメだ」
ギーラは走りながら<百発百中>の射程範囲に入り赤文字を頭の中で確認して両手に持った投げナイフをパニックで無茶苦茶な動きをする巨大大蛇の両目に突き刺す
「ヨワイ オオキイダケ トラ ザンネン」
トラも巨大大蛇をフルスイングで吹っ飛ばしてすぐに巨大大蛇に向かって走り出し到着して骨や血が溢れ出している体に向けて黒い円錐棒を両手に持ち頭の上から無表情でフルスイングで真下に叩き下ろす
「ニャ 巨大大蛇ボロボロニャ アレはもう終わりだニャ トドメ私が刺すニャ」
シルキャドもギーラの指示を受けて走りながら巨大大蛇に後ろから近づき大きくジャンプして頭部の真ん中狙ってレアーラキスの片手剣を両手に持ち思いっきり剣先を突き刺す
巨大大蛇は何とか生存本能で無茶苦茶動き回っていたが突然両目に投げナイフが刺さり視界が真っ黒になり 胴体の部分がもの凄い痛みと共に引き千切れ 最後に頭部に片手剣が顎の下まで貫通して突き刺さり しばらく動いていたが動きがしだいに弱くなりゆっくりと止まって動かなくなる
「ニャ 巨大大蛇死んだニャ トドメは私だニャ ニャハハハハハ」
シルキャドは透明化を解いて動かない巨大大蛇の頭部に突き刺さるレアーラキスの片手剣を両手で握り締めながら首だけ上げて何故か高笑いしている
「そうだね シルキャド良くやった トドメはお前やね トドメだけはお前やね」
ギーラはこの戦いの緊張の連続と疲労感が急に襲い掛かってきてクタクタになり肩で息をしながらシルキャドの高笑いに癒されて緊張が解けてくるのを感じながら一応褒めておく
「ニャ 良く分かってるニャ 流石ギーラだニャ えらいニャ えらいニャ」
シルキャドはまだアピールのつもりか巨大大蛇の頭部に乗り片手剣を両手で握りながら 私がニャ トドメ刺したニャ を満足顔で笑顔になり猫耳をピンっと立て猫目をキラキラさせ尻尾をブンブンさせながら喜んでいる
「ギーラ チョット キテ イイカ」
最後に巨大大蛇の胴体を自分で引き千切った所を見ていたトラがギーラを呼ぶ
「ん? どうしたトラ」
ギーラがトラに歩いて行く
「ウン コレ カンマーイ ララベス」
トラが左手の3本指で指差す場所を覗くと 胃液だと思われる液体に浸かりながら動物の骨や良く分からない大小の骨 消化出来無い大きな石や謎の固形物に混ざりながら2人の死体はプカプカ浮いていた カンマーイは頭部と膝下の部分以外は骨だけになっているのが見えて ララベスは頭部以外全部骨だけになっており背中に見える弓矢でも判断出来る
「そうか 残念やな とりあえずカンマーイとララベスの死体こちらに移動させようか」
ギーラはそう言ってからトラと2人で胃液の中から取り出す そして薄い水面の上に静かに置いて並んで寝かせる
「短い間やったけど一緒に戦えたり行動出来た事は楽しかったな」
ギーラは目を瞑り2つの死体に手を合わせる
「カンマーイ ララベス ヨク タタカッタ」
トラもギーラを真似して手を合わせる
「ニャ 死んでしまったニャ 今までありがとうニャ」
巨大大蛇の頭部にいたシルキャドはギーラとトラが カンマーイとララベスの死体を運ぶのを見つけて急いで降りてきて2つの死体に手を合わせる
ギーラ トラ シルキャドが2人の死体に手を合わせていると 泣き崩れていたレアーラキスが顔を泣き顔でボロボロにしてヨロヨロとふら付きながら近づいてくる
「あああ カンマーイ ララベス 御免なさい私だけ生き残ってしまって 本当に御免なさい 本当に御免なさい 今まで何度も助けてくれてありがとう 本当にありがとう 先に逝ってて待ってて あとマッドとムルガにも出会えたらよろしく言っておいて下さいお願いします お願いします・・・・・」
カンマーイとララベスの死体を凝視して叫びながら言い最後の部分は声を掠れさせて言うと糸の切れた人形みたいに膝から崩れ落ち頭を下げて泣き始める
レアーラキスに掛ける声も見当たらずしばらく3人は座りながらレアーラキスを見守る するとシルキャドとトラが立ち上がりシルキャドは巨大大蛇の死骸に歩いて行きカンマーイとララベスを取り出した場所に行く トラは倒した大蛇の所に歩いて行く ギーラがレアールキスに何か声を掛けようと立ち上がると
「ニャ ギーラ ちょっとニャ こっちニャ こっちニャ 急いで来るニャ」
シルキャドの呼ぶ声が聞こえて レアーラキスに声を掛けるのを少し後回しにしてシルキャドの所へ向かう
「ニャ ギーラ やっと来たニャ アレは何かニャ 何かあるんだニャ」
シルキャドが胃液の殆んど外に流れ出して色々な物が錯乱して下に落ちている1箇所を右手で指差しながらギーラに聞く
「あああ 何やろね ちょっと引っ張りだすね」
ギーラは身を乗り出して豪華な長方形の形をした鉄の箱を取り出す
「以外と重たく無いな けど凄い豪華な箱やね~箱の真ん中に何か紋章みたいなあるけど さっぱり分からんけどな・・・・・ハハハハハ」
ギーラは笑ってから豪華な鉄の箱を観察する 箱の真ん中には正方形の形の中に左右にドラゴンらしき絵が睨み合うように立ち右手を交差させ組み合っておりその組み合った真ん中に丸い円球の物が浮かぶように見えるように彫ってある紋章である
「じゃ 開けるね うんしょ よいしょ よっこらしょ・・・」
ギーラが押そうが叩こうが引っ張ろうが地面に叩きつけようが 紋章を押そうが叩こうが回らないが回そうと頑張ってみたがビクともせず鉄の箱は開く気配が0である
「まったく開かんな どうなってるんやろか・・・・・」
それから頑張って開けようとするがまったく開かないので諦めて鉄の箱を放り投げる
「ニャ ギーラは力が無いニャ この非力軟弱男だニャ あ~情けないニャ あ~情けないニャ」
シルキャドが会話の真ん中でかなり酷い事を言いながら放り投げた鉄の箱に近づき触ると 鉄の箱の蓋らしき所が 炊飯器の空けるボタンを押した時 みたいにゆっくり上がる 中には1本の刃も鍔もグリップ部分も真っ白な片手剣が入っていた
「ニャ 開いたニャ 開いたニャ これは私が開けたから私の物ニャ 見つけたのも私だからニャ そろそろ短剣よりニャ 片手剣欲しかったからニャ やったニャ 嬉しいニャ 大事にするニャ ギーラありがとうニャ トラもありがとうニャ」
シルキャドは大喜びで素早く鉄の箱から真っ白な片手剣を取り出し腰に装備して既成事実を完成させようとする
「おおお 開いたんやね けどシルキャド流れるように腰に装備したな ははははは まあ俺も使わんし トラも使わんからシルキャド大事に使ってあげてね」
ギーラは俺もトラも必要無いからシルキャドでいいでしょ あんなに貰う気マンマンやし大事に使うでしょと考えシルキャドに使わせる
「ニャ 分かったニャ そこまで言うならニャ 私が使うニャ もうしょうがないニャ ニャハハハハハ」
シルキャドの天然が出たのでスルーをしてレアーラキスの状態を見に行く 歩いて向かっているとトラが座り込み何かをしている 気になったのでそっちに向かう
「お~い トラ 座りこんで何やってるの?」
と言いながらギーラとシルキャド2人でトラの顔を覗きこむと 鬼の形相で口のまわりを血だらけにして少々食べにくいのか珍しく無言で大蛇を頭から食べていた
「じゃ ごゆっくりどうぞ・・・・・・」
「ニャ ごゆっくりどうぞニャ・・・・・」
ギーラとシルキャドは トラの事は見かけていない そのままレアーラキスの所に直行したと思い込み少し早歩きで向かう
「レアーラキス どう少しは落ち着いた?」
ギーラがレアーラキスの所に行き声を掛ける
「あ~あ、 ゴメンなさい心配お掛けしましたね もうだいぶ落ち着きましたわ」
レアーラキスは普通に地面に座り 顔は涙の後がはっきり分かり かなりやつれて疲れているが落ち着いた声で返事をする
「それは良かった 体は大丈夫?」
「ええ どこも問題ありませんわ」
「そろそろ 村に戻ろうかと思うけど どうかな?」
「ええ 全然大丈夫ですわ お時間お掛けしましたわ」
「ううん 全然時間掛けてないよ シルキャドも新しい片手剣見つけたしね それにトラも食事楽しんでますしね・・・・・」
ギーラは後ろ向きで両手に掴んだ大蛇を口に持っていき頭だけ動かしてるトラを指差しながら話す
「あらあら トラはあいかわらず食欲旺盛ですはね ははははは」
アレーラキスの笑い声を初めて聞いたと思い トラ グッジョブと頭の中で親指を立てる
そしてトラの食事を終わり カンマーイとララベスの骨の1部をレアーラキスが持ち帰り シルキャドが巨大大蛇の頭部に刺したレアーラキスの片手剣も返して ギーラは素材や必要な物 使った武器 その他色々を回収してからギーラ達は村に戻る
ギーラ達には気付かれずに離れた場所で独り言をブツブツ言いながら巨大大蛇討伐を見ていた少年アンデルケスは独り言を止めてから
「良くこんなに面白いものを教えてくれましたねあなたには感謝しますね」
右手の人差し指に乗る小さな蝙蝠に笑顔で話しかける
「はっ ありがたきお言葉ありがとうございます そのようなお言葉を頂き感謝致します」
小さな蝙蝠は凄く恐縮しながら返事を返す
「いえいえ 良いものが見れました あのゴブリンのトラさんはお強いですね それに猫族のシルキャドさんは姿を消す事が出来るのですね あと巨大大蛇さんはこんな場所にもいるのですね それから自分の足で旅をするのがこんなに楽しいとは思いもしませんでした 復活出来て嬉しいことばかりですよ」
アンデルケスは笑顔になる
「では 引き続きあの人達のお傍で見つからない様にして頂いて面白い事があれば教えてくれますか?」
アンデルケスは小さな蝙蝠に聞く
「はっ 畏まりました」
頭を深々と下げて小さな蝙蝠は静かに飛び立つ それを見送りアンデルケスは独り言をブツブツ言いながらアカレオの町方向に足音をさせずに静かに歩き出す




