第191話 途中の森2
「あの・・・、君た・・・・・も・・・・・宝・・・・・・来たの・・・・か?」
ムヤミが気配のする方に声をかけると黒のローブに黒のマスクで体格や顔の大部分の姿を隠して目だけが確認できる何者かが向かいの木々の間から歩いて来る
「・・・・・あっ、何だって?宝?それを探しに来たけど、それと声が聞き取りずらいんだけど」
ムヤミは微かに黒ローブから認識出来た単語を復唱して3歩下がって警戒レベルを上げて会話を続ける
「そうな・・・・、・・・・・、また・・・・、・・・なる・・・」
「んっ?、まだ何を言ってるか良く分かりませんけど、とりあえず止まろうかな」
ムヤミは黒ローブの男が進む距離だけ後ろに距離を取りながら話す、同じ様にウワダとジナミも同じ様に無言でバックステップで距離を取っている、トリタールは突然森から現れた黒ローブの何者かを立ち尽くして見ている
「ムヤミ、もっと下がれ」
ウワダが声をかける
「それならあの黒ローブが止まれば俺も下がるのを止めるんだけどな」
ムヤミが下がりながら歩いてくる黒ローブから視線を外さずにウワダに答える
「おいっお前、俺達と話は出来るのか?」
ジナミが下がりながら黒ローブに話しかける
「話・・・話か少し・・・・だろう・・・私も・・・・・・・が聞きたい・・・・」
ジナミの声に反応したのか黒ローブは歩みを止めて立ち尽くすトリタールの真横で立ち止まる、ウワダ、ジナミ、ムヤミの3兄弟は黒ローブが何を言ったかは理解出来なかったが歩みを止めたのを見てゆっくりと動きを止める
「すまね~な、話を聞いてもらったみたいで、それに止まってくれて」
ジナミが話す
「あああ・・・・別に・・・・時間は・・・・話ぐらいは・・・・・」
黒ローブは何かを答える
「あ、あ、あ、あの、あの、あの・・・・・」
立ち尽くすトリタールは真横で動きを止めた黒ローブを見つめたまま何かを言いたいが突然の出来事で言葉が口から上手に出てこない
「んっ?君は・・・の仲間なの・・、何か・・・・違う感じ・・・・、・・・・まあ・・・一緒・・・・・・」
黒ローブはトリタールの声に反応してゆっくりと振り返り聞き取りずらい声でトリタールの目を見て話す
「えっ?えっ?えっ?、私はあなたが何を言っているか分かりません・・・すみません」
トリタールは動揺と理解出来ない恐怖で最後は頭を下げて謝りながら素直に思った事を話す
「その小太りの男トリタールって言うんだけどさ、そいつが言ってる通りお前何を言ってるか分かりずらいんだよね~、せっかく話出来る機会なんだからさもう少し何とかならないのかな~?、何て言うかさ~普通に会話が出来てお互いの言葉が分かる事とかは出来ないのかな~?、仲良く話ぐらいはしたい気分だしさ~」
ムヤミがトリタールには見向きもしないで黒ローブの反応を探る為に少し明るめのトーンで聞いてみる
「分かっ・・、少し・・・、私は話は・・無い、・・・・・こっちに・・来い・・・?」
黒ローブはムヤミの話を聞いて納得したのか言葉を話すと後ろを振り返り森を見て誰かを呼ぶ
「さっきのは俺にも分かったぜ、お前は話が出来ないから誰か呼ぶんだな?、どんな奴が出てくるか楽しみだな」
ジナミは黒ローブの後頭部を見つめて普通に話しながら右足に力を込めて今がチャンスと判断して襲い掛かる体勢を取る
「まあ~まあ~ジナミ兄貴、もう少し待っても良いと思うぜ、どんなのが出てくるか見てみようぜ、ねっア、二、キ」
ムヤミはジナミの勝てば何でも良い性格を分かっているので背後からでも襲い掛かる雰囲気を察して素早く近付いて両肩を抑えると小声で囁いてウインクを最後にしてジナミの動きを止める
「チッ、殺れる時に殺るのが一番良いのによっ、お前が来たからタイミングが・・・・・チッ」
ジナミは舌打ちを何回もするとこちらも小声で囁いてムヤミに言い返すと襲い掛かる事を諦める
すると黒ローブが出てきた森と同じ位置の木々がザワザワ揺れ始めると全体の骨と頭蓋骨が真っ黒で斧を片手に持ったスケルトン5体が骨を鳴らして歩いて来る、スケルトンの背後上空にはもう1体こちらも全身が真っ黒でパタパタ真っ黒の羽を上下させながら空中に浮いている胸をピンクのタンクトップで下半身もピンクのミニスカート姿の長い髪の可愛いらしい顔の少女が進んで来た
「呼んで頂いて有り難き幸せです、それで私があの者達と話をすれば良いのですよね、ザザードスド様?」
真っ黒な少女が真っ黒な羽をパタパタさせてザザードスドと呼んだ黒ローブの横に来て地面に着地すると畏まり頭を下げて話しかける、5体のスケルトン達は全体の骨をギシッギシッカタカタ揺らしてザザードスドの少し背後で何の意思も見せずにただ立っている
「そう・・、・・・が私の変わり・・・・・・・、た・・・・ぞ、それに・・・、どうしたその話・・・はレイラャッチ」
「・・・・・・・・・・キャハハハハハハハ、だよねぇ~、1回畏まる系やってみたかったんだよねぇ~、キャハハ、少しはそれっぽく見えたでしょ~「呼んで頂いて有り難き幸せです・・・ザザードスド様」キャハハハハハハハ、何回やってもウケるぅ~~~、超腹痛~~~~い、今日イチの大爆笑来たああああああ、キャハハハハハハハ」
ザザードスドの横で地面に方膝を付いていたレイラャッチはザザードスドに何か言われると我慢の限界を超えて真っ黒だが可愛らしい顔を笑い顔で一杯にして涙を流しながら大爆笑で地面を転げ回る
「何だコイツ・・・・・」
「油断するなよ、お前ら」
「それだけ笑えるのはある意味幸せですよね」
ウワダ、ジナミ、ムヤミの3兄弟は最初に全身真っ黒なスケルトン5体を見て驚いて骨の手に斧を持っている事にさらに驚いて警戒レベルを上げて、今は態度が急変した真っ黒な少女が地面を笑いながら転げ回る姿を目で追いながら小さな声で話をする
「ふうぅ~ふうぅ~ふうぅ~、・・・・・ごめんよ~ごめんねぇ~、お待たせぇ~、今日イチが来たから我を忘れちゃった、キャハハ、だってね、「呼んで頂いて有り難き幸せ」とか畏まり過ぎ~~~、キャハハハハハハハハ~、死ぬ~死ぬ~これはまさかの笑い死にご対面ですぅ~~~、キャハハハハハハハ~」
レイラャッチは大きな深呼吸をしてヨロヨロ立ち上がったがまだ笑いを引きずっており今日イチの笑いのツボを自分で押してまた地面で転げ回りながら目から涙を流して大爆笑している
「ふうぅ~ふうぅ~ふうぅ~、ごめんよ~ごめんねぇ~、何回もごめんねぇ~、結構笑ったから少しはマシになったからね、キャハハハ、けどこれだけは言っとくね、・・・・・私思い出し笑いが止まらないのと笑いのツボが凄く低いからね、またスイッチが入ったらごめんよ~ごめんねぇ~、キャハハハハ」
レイラャッチはまた大きな深呼吸で息を整えてから起き上がり黒い羽をパタパタさせて浮かび上がると3兄弟に話す
「あ~あ、それは分かった、それでお前はアイツの通訳というか変わりに俺達と話をする為に呼ばれたのだろう?」
ウワダはレイラャッチの言葉を聞いてからその態度に油断はせずに聞き返す
「キャハハハハハ~、そうだよ~ザザードスドは今まだ体調が万全じゃ無いからね、しゃべるのがまだ苦手なんだよね~、だ・か・ら私が変わりに話をするんだよ、嬉しいでしょう、こんな美女とおしゃべり出来るなんて、なんちゃって~、キャハハハハハハハ~」
レイラャッチはウワダの周囲をクルクル回りながら話をしている
「あ~あ、美女かどうかは置いといて話ができるのは有り難いな」
「キャハハハハハ、ま~たまた~照れちゃって~もう~しょうがないな~、キャハハハハハ」
「・・・・・それで最初にザザードスド?だったかな、アイツが言っていたが俺達はこの森に宝を探しに来た事を聞かれた思うのだが何故なんだ?」
ウワダは自分の周囲をず~と飛び回っている羽付き少女の話を聞き流して気になった事を聞いてみる」
「あ~あ、それねぇ~、それはね~、あっ、今は通訳だったよね~、私が話しても良いんだけどねぇ~、役割は私は守る子だからねぇ~、キャハハ、ちょっと待っててね~、今からザザードスドに聞いてくるからねぇ~、良い子で待ってるんだよ~、キャハハハハハハ~」
レイラャッチはウワダに笑いかけるとパタパタ羽を上下に動かしてザザードスドの方向に飛んで行った