第184話 記憶から消して欲しい
「それでヘビージョ、今からお知らせとお願いがあります」
ギーラはトラ、シルキャド、オトギの受付嬢と話しをする姿を目で確認してギーラに近付いてきたヘビージョの鱗の耳に素早く言う
「ニョロ、なんだニョロ、あの3人をわざわざ引き離すと言う事はニョロ???、はは~ん、さっきギーラが大人のお店で女遊びをした事は誰にも言わないからニョロ、安心するんだニョロ」
「・・・・・う、う、うん、それもそうやけど、とりあえずテーブルに座って話ししよかな」
ヘビージョはすぐに理解をして頷きながら答える、ギーラはまたトラ、シルキャド、オトギの姿を確認すると受付嬢の話に今は3人同時に頷きながら聞き惚れているのを確認してヘビージョにテーブルを勧める
「ニョロ、良いニョロ」
ヘビージョの了承を聞いてギーラは近くのテーブルの椅子に座る
「ニョロ、それで何の話なのかニョロ?」
ヘビージョは椅子に座ると赤い舌をチョロチョロさせながらギーラに聞く
「うん、まずはお知らせからやけど、さっき相棒達にヘビージョの依頼を受ける事を聞いたら満場一致で了承されたから今からでも村には行けるし相棒にも出発の準備をお願いしたからね」
「ニョロ、そうなのかニョロ、ありがとう、ありがとうニョロ、とても嬉しいニョロ、本当に助かるニョロ」
ヘビージョはギーラの話しを聞くとガッツリ蛇の顔と美しい声で喜びを表して喜んで答える
「うん、喜んでくれてありがとうね、そして今度はお願いの方なんやけどね」
ギーラはまたまたトラ、シルキャド、オトギの姿を確認して今は受付嬢の話しが気に入ったのか元々単純なのか分からないがトラとオトギがエアーで何かを食べる動作で嬉しそうにしていて、シルキャドは猫目を輝かせて尻尾ブンブンで受付嬢の動く口を見てカクカク首を上下させている
「よし、あっちは大丈夫やな」
ギーラは3人の相棒は受付嬢に夢中と判断して小さな声で囁いてからヘビージョに内緒話をするように顔を近づける
「ニョロ、内緒話なんだニョロ、ドキドキするんだニョロ」
ヘビージョもギーラの行動に気が付いてガッツリ蛇の顔を寄せる
「・・・・・まあ~チョット近いけど・・・・・ええか・・・・・」
ギーラはヘビージョの顔の近さに少し引いたがスルーする
「それでお願いなんやけど」
「ニョロ、何でも聞くニョロ、村に行ってくれるしニョロ」
「あ、あああ、まあ~村の依頼の事は今からのお願いにはまったく関係ないけどね、それでお願いはさっきヘビージョがサラッと言った俺の女遊びの事とさっき俺がここで大泣きした事は今すぐ記憶から消して欲しい、そして記憶を消した状態で墓場まで持って行って二度と思い出さない事をお願いしたい・・・・・心からお願いしたい」
「ニョロ???、そんな簡単なお願いならニョロ、全然良いニョロよ、それに私もギーラの事はどうでも良いし何処で女遊びしようが大泣きしようが全然何とも思わないから良いニョロ、安心するんだニョロ、ギーラのお願い通りに墓場まで誰にも言わないで持って行くからニョロ」
ヘビージョはギーラのかなり強めのお願いをサラッと了承して、ついでにギーラごときはどうでも良いと真顔で話し終える
「・・・・・お、お、おう、さ、さ、流石ヘビージョ大人の女やな話が分かるから助かるわ、ヨッ流石ヘビージョ、ニクイね~」
ギーラはヘビージョの真顔の言葉に軽いショックを受けてそれを受け流せず思いっきり動揺しながら少し訳が分からない返事をする
「・・・・・ニョロ?、まあ良いニョロ、ギーラのお願いはこれで終わりかニョロ?」
ヘビージョはギーラの動揺しまくりの返事に少し引っかかったがスルーしてギーラに聞く
「うん、俺の今一番大事で最重要課題は解決したからお願いはもう無いよ」
ギーラは動揺も収まり内緒話の体勢も終了して普通に返す
「ニョロ、それならニョロ、なるべく早く私は村に戻りたいんだけどニョロ」
「そんなに村長さんの娘さんが心配?」
ギーラはヘビージョがこの町のギルドに来た目的は村の村長の娘が行方不明になり捜索依頼の為に来た事を頭に浮かべながら聞き返す
「ニョロ、そうなんだニョロ、早く村長さんの娘さんを探したいニョロ」
「分かった、それじゃあ今すぐ出発しようかな、確かさっき見たヘビージョの依頼書では馬車で片道5日はかかると思うから少しでも急いだ方がええからね」
「ニョロ、何か悪いニョロな、ごめんなさいニョロ、ギーラ」
「全然大丈夫やから、それじゃあ行こうかな集合場所は馬車屋でローズメルファ達も買物も終わって待ってるかもしれやんからね」
「ニョロ、助かるニョロ、それでお願いするでニョロ」
ギーラはヘビージョにそう言いながら椅子から立ち上がりヘビージョも返事をしながら立ち上がる
「よし、それじゃあ、トラ、シルキャド、オトギ~、俺達は話し合いが終わって今から馬車屋でローズメルファ達と合流するけど~もうええかな~」
ギーラはトラ、シルキャド、オトギの方を向き声を掛ける
「ウン、ソウカ、ワカッタ、トラ、イク、オンナ、マタナ」
「ニャ、分かったニャ、折角良い話しを受付嬢さんから聞けていたけどニャ、しょうがないニャ、ギーラは私がいなかったらニャ、何にも出来ない男だからニャ、一緒に行ってやるニャ、受付嬢さんありがとニャ、また話しを聞かせて欲しいニャ」
「ハイ、ギーラヨンデル、オトギモイク、オンナ、オマエ、マタハナシスル」
トラ、シルキャド、オトギはギーラの声に素早く反応すると各々の反応をして受付嬢に礼をしてギーラの方向に歩いて行く、トラとオトギは「オンナ」と呼んでいたが・・・・・
「どうやった?ええ話し聞けた?」
トラ、シルキャド、オトギが目の前に来て止まるとギーラは聞く
「ニャ、そうだニャ、受付嬢さんはニャ、屋台に物凄く詳しかったんだニャ、お肉もお魚も詳しくて焼き方を選べたりニャ、お肉はしっかり焼かなくても美味しく食べれるとかニャ、お魚はしっかり焼いて食べるのも好きで生でさっぱり食べるのも好きらしいニャ、お魚の食べ方は私と同じだったんだニャ、それにニャ、私達がまだ行った事の無い屋台もたくさん知っていてバッチリ教えて貰ったからニャ、今度はトラとオトギを引き連れて食べに行く事を心に誓ったんだニャ、けどニャ、ギーラも私と一緒に新しい屋台に行きたいのならニャ、連れて行ってやらない事も無いけどニャ~、ギーラがどうしても私と行きたいとお願いしたらニャ~、考えてやる事にするんだニャ、ギーラがお願いしたらの話しだけどニャ~」
シルキャドはギーラの言葉を聞くと余程話をしたかったらしく一気にギーラに話し終えると遠回しにギーラを屋台に誘っている
「あ、あああ、それじゃあ今度その新しい屋台に一緒に連れて行って貰おうかな・・・・・」
「ニャ、そうなんだニャ、それならしょーがないニャ~、ギーラがそこまで私にお願いするならニャ、しょーがないからニャ、ギーラも連れて行ってやるニャ、本当にギーラはしょーがないニャ~~~」
シルキャドはお馴染みの顔はヤレヤレ顔だが尻尾は激しく嬉しそうにブンブン振り回しながら答える、シルキャドの両隣ではトラとオトギも大きく嬉しそうに頷いてギーラを見ている
「そ、そ、それはありがたいな・・・それより今からヘビージョの捜索依頼でそこの村に行くけど大丈夫やんね?」
「ニャ、全然大丈夫なんだニャ、屋台はヘビージョの依頼が終わったらニャ、連れて行ってやるからニャ、楽しみにしとくんだニャ」
シルキャドはヘビージョの依頼よりギーラの屋台の想いを強めに出して了承する
「ウン、ギーラ、イク、トラ、イク、アタリマエ」
「ハイ、オトギ、ヘビノムラ、タノシミ、タノシミ」
トラとオトギは勿論いつも通りの反応でギーラに了承する
「よし、それじゃあヘビージョは早く村長の娘さんを探したいから今からローズメルファ達と馬車屋で合流するね」
ギーラはそう言うと相棒達とヘビージョの頷きを確認してテーブル席から立ち上がりギルドの出口の扉に歩いて行く