第182話 1人でニコニコ
「んっ?、何を固まってるん、だから俺はお前か見てカッコエエかカッコ悪いか聞いてるだけやで?」
ギーラは目の前の小首を傾げて美少女なら写真に一生残したいレベルのキョトン顔だが、そこは残念なお知らせでただの人間の男に聞き返す
「・・・・・イヤ・・・・・そんなんは分からないし・・・・・男の顔見ても何も思わないからな~」
「へぇ~、分かった、それじゃさようなら」
ギーラはそう男に言うと振り向きの姿勢を戻して男に興味が0になってそのまま歩いて行く
「まあ~、あんな見知らずの男に聞いてもしょ~がないわな~、けどさっきの男と話せたから何か少し元気が出たかも・・・・・謎やけど」
ギーラは倒れた男と少しだが話をして顔面グチャグチャの液体塗れを布で拭いた事で、ヘビージョのお前カッコ悪いショックから少し盛り返していた
{ナゲ、ギーラ元気が少し戻ったみたいナゲ、良かったナゲ、あの蛇の女の言葉で一生泣き続けるかと少し心配したナゲ、良かった良かったナゲ}
すると投げナイフのナイーフが直接ギーラの頭の中に話しかけてくる
{・・・・・一生は泣かんやろ流石に・・・・・}
ギーラはナイーフが本気が冗談かイマイチ良く分からなかったけど一応軽くつっこみを入れておく
{ナゲ、そうかそうかナゲ、それにしてもギーラが元気になって良かったナゲ、それでナゲ、今からは相棒達を探しに行くのナゲ?」
{うん、ヘビージョにはメチャクチャやられたけど、ヘビージョの村の村長の娘を探すのはそれとは話が違うからね、相棒達を集めて相談してその村に向かうよ・・・・・まあ~相棒達に相談しても反対をされる事は無いやろうけどね}
{ナゲ、流石ギーラナゲ、悲しい女との過去の出来事があっても止まる事無くナゲ、前を目指して過去を振り向かないとは男の中の男ナゲ、流石我々が選んだ男ナゲ、嬉しくなるナゲ」
{・・・・・チョット話が大きくなってるけど・・・・・たま~にナイーフって俺を持ち上げるよな~まあ~俺は全然嫌では無いけどな~、むしろウエルカムやけどな~}
{ナゲ、それは良かったナゲ、我々はただ思った事を言っているだけだからナゲ、ギーラが素晴らしいからしょ~がないナゲ、だからしょ~がない事なんだナゲ」
{う~ん、素晴らしい、素晴らしいよナイーフ俺はそれ大好物よ~、もっと頂戴もっと俺に賛辞の言葉を浴びせてくれても大丈夫やからな~、アカン、ナイーフが投げナイフや無かったら惚れるかも~}
{ナゲ、それは嬉しい言葉ナゲ、我々は使用者に想われる事はナゲ、幸せの1つだからナゲ、惚れて惚れて惚れまくってくれて大丈夫ナゲ}
{うむうむ、俺を褒めてくれるなら嫌いになる事は無いから安心して、だからドンドン俺を褒めるんやで~}
ギーラとナイーフは頭の中でそんな会話をしている
「お母さん、今度はあのお兄ちゃん1人で笑ってるよ、とても楽しそうだね、さっきはもの凄く泣いていたのにね?」
「え、え、えええ、そ、そ、そうね、ですがあまりあのお兄ちゃんは見てはダメですよ、後もしも今度あのお兄ちゃんを1人の時に見つけてしまったら急いで逃げなさい、近寄っちゃダメですよ」
「は~い、どうして?」
「えええ、さっき見た時はもの凄く1人で泣いていて、今はもの凄く1人で笑っているでしょ、お母さんは生まれて一度も町の中でそんな人は見た事が無いですから・・・・・それで少し変わってる人だと思いますから、もし近寄ったりしたら何をされるか分かりませんからね」
「は~い、お母さん分かった~」
先程ギーラの1人大号泣を見た親子は一度家に戻ったが買い忘れを思い出して買物に戻る途中にまたギーラを見つけてしまい、今度はギーラはナイーフとの会話で一人でニコニコ笑って満足顔を案の定娘が興味を持って母親に聞いて来たので「あの男は危険、絶対危ない、絶対変質者」を遠回しに幼い愛する娘に説明して娘の手をギュと力強く握って逃げるように歩き去る、ギーラはその変質者扱いには全く気付かずにまだナイーフとの会話を夢中で楽しんでニコニコ笑って満足顔で1人なのに歩いて行く
トラ、シルキャド、オトギ、ローズメルファ、レーンアイル、ホワイトアイルの6人の相棒達はボルマカランがレーンアイルに謝罪をして姿が見えなくなると特にする事も無くスグラアゼースの町の中をブラブラ歩いている
「ニャ、なるほどニャ、だからさっきの男はニャ、レーンアイルに謝ったんだニャ?」
「はい、そうですわ、ちゃんと謝罪はして頂かないと私とレーンアイルの楽しい時間を邪魔しましたからね」
「ニャ、なるほどニャ、それはそうだニャ」
シルキャドはローズメルファから<黒の星昇華>の酒場の事の説明を聞いて納得している
「・・・ローズメルファ・・・ありがとう・・・」
レーンアイルは特に謝罪は望んでいなかったがローズメルファに礼を言う
「いえいえ、お気になさらずにこれからも私の相棒の皆様の邪魔をする方が現れたら私がちゃんとお礼は致しますからご安心下さいね」
「・・・はい・・・」
レーンアイルはとりあえず頷いておく
「ニャ、これからどうするニャ?」
「そうですわね、私達は特にやりたい事も無いですからギーラを探しましょうか」
「ウン、ギーラ、サガス」
「ハイ、オトギ、ギーラ、アイタイ」
今まで黙って後ろを歩いていたトラとオトギが「ギーラを探しましょうか」の言葉に反応して嬉しそうにローズメルファに話す
「ニャ、しょ~がないニャ、トラとオトギがそこまで強く言うならニャ、私もギーラを探す事に協力してやるニャ」
シルキャドはそこまでトラとオトギは強く言っていないが素早く反応して顔はヤレヤレ顔だが尻尾はブンブン揺らしながら答える
「レーンアイルとホワイトアイルもそれで大丈夫ですか?、他に何かやりたい事とかありますか?」
「・・・はい・・・私も・・・ギーラを探します・・・」
「ウホ、僕もレーンアイルがそう言うからそれで良いウホ」
レーンアイルとホワイトアイルも賛成する
「はい、分かりました、それではギーラを探しに行きますね」
それからしばらくギーラはナイーフとの楽しい会話も終わって普通の顔に戻って歩いていると前方からトラ、シルキャド、オトギ、ローズメルファ、レーンアイル、謎のゴリラケンタウロスの集団が視界に止まる
「おおお、みんな集まってたんやね、良かった良かった」
ギーラは手を振りながら声をかける
「ウン、トラ、ギーラ、サガシテタ」
「ハイ、ギーラ、ミツケタミツケタ」
トラとオトギはギーラの姿と声と臭いを確認すると走って来て嬉しそうに声をかける
「おおお、そうかそうか、ありがとうなトラ、オトギ」
ギーラはトラとオトギの筋肉の塊の腰をポンポン叩いて労う
「はい、良かったですわ、ギーラすぐに見つかってお怪我とかは大丈夫でしょうか?」
「うん、全然大丈夫やよ、心配ありがとう」
ギーラはローズメルファのいつものニコニコ笑顔の顔に話す
「ニャ、1人でどうせ寂しかったと思うからニャ、もう安心だからニャ、私達と合えたからニャ」
「お、お、おう、これで俺はもう寂しく無いな~、シルキャドありがとう」
シルキャドの謎の決めつけの言葉にとりあえず合わして答える
「・・・ギーラ・・・お帰りなさい・・・」
「レーンアイル、ただいま~、遅くなってごめんね」
レーンアイルの途切れ途切れの低い声の言葉にギーラは笑顔で答える
「ウホウホ、ギーラ久しぶりだウホ、やっとみんなと話せるようになったウホウホ」
「・・・・・誰?・・・・・どちらさんですか?・・・・・」
ギーラは目の前で自然の流れで当然の様に自分の順番だからと声をかけて来て胸をポコポコドラミングしているゴリラケンタウロスを一歩引いて冷たい視線で対応している