第181話 誰がカッコ悪いんや
「やあ~、ヘビージョ、お待たせしてしまったかな」
ギーラは白い歯をキラリと輝かせて優雅にテーブルの椅子を引いて優雅に椅子に座ると優雅に足を組んで自信満々の笑顔でヘビージョに話しかける
「ニョロ・・・・・げ、げ、元気になって良かったニョロ、し、し、心配したんだけどニョロ」
ヘビージョは先程のギーラの死んだ目で下を向き口からボタボタ垂れた涎でテーブルを濡らしていた気持ち悪いギーラを思い出し少しありえない変わりように引きながら聞いている
「ははははは、そんな過去の事など俺には終わった事だからもう良いんだよ、ははははは、そんな事よりヘビージョ君が出した村の捜索依頼はしっかり受けてきたからね」
ギーラは組んだ足を組み替えて優しい心と優しい口調で笑いを挟んで話す
「ニョロ、それはありがたいニョロ、分かったニョロ、私もチョット前のギーラの事は忘れて大事な村の事にニョロ、考えを切り替えるニョロ」
「うん、そうしよう、それで今からすぐにヘビージョの村に向かう方が良いのかな?」
「ニョロ、そうだニョロ、ギーラがそれで良いならニョロ、それが助かるニョロ」
「なるほど、それじゃあカッコイイ俺は相棒達でも探しに行こうかな?ヘビージョはどうするのかな?、カッコイイ俺に付いてくる、それともカッコイイ俺をここのギルドで待ってるかい?」
「ニョロ、えっ?・・・・・カッコイイ・・・・・ギーラがカッコイイ???ニョロ、どうしたんだニョロ?、私は蛇の獣人だからギーラの人間族と価値観や物の見方は多分違うと思うけどニョロ、ギーラはそんなにカッコ良く無いニョロ・・・・・むしろ全然カッコ良く無いニョロ」
ヘビージョはギーラの顔を真正面からガン見してそう思ったのでハッキリと話す
「・・・・・えっ?・・・・・ええっ?・・・・・」
ギーラはヘビージョの小さな黒い目で真っ直ぐガン見された状態で戸惑いながら驚く
「ニョロ、ま、ま、まあニョロ、わ、わ、私はそうだからニョロ、に、に、人間族や他の種族の価値観や物の見方は私は良く違いが分からないからニョロ・・・・・と、と、兎に角ニョロ、ご、ご、ごめんなさいニョロ・・・・・」
ヘビージョは「ギーラはそんなにカッコ良く無いニョロ」を言った後のギーラの「お父さんは実は宇宙人なんだ、それもこの星を今も侵略中なんだ」を幼い少年が突然聞かされた後ぐらいの驚き様に慌てて赤い舌を激しく口から出し入れして謝ってフォローする
「・・・・・えへへ、気にせんでもええよヘビージョ、俺は全然全く気にして無いし・・・・・えへへ・・・・・そんなん当たり前やん、人同士でも違うのにましてや獣人のヘビージョとは価値観や物の見方は違うのは当然やん・・・・・えへへ・・・・・え、へ、へ・・・・・よしっ、俺は相棒達を探してくるからヘビージョは少しここで待っててね・・・・・」
ギーラはショックを隠しきれず気持ち悪い笑いを連発していつもの話し方に変わりヘビージョと目を合わせないままテーブルから席を立ってそう言うと逃げる様にトボトボと肩を落としてギルドの扉に向かって歩いて行く
「ニョロ、ごめんニョロ、本当にごめんニョロ、私が悪かったニョロ~~~」
ギーラがギルドの扉を開けて外に体を半分出したぐらいに背後からヘビージョの少し叫びが入った謝る声を聞き流しながら町の中に進んで行った
「・・・・・ま、ま、まあ、あの女は人間や無いし所詮蛇の獣人やから俺のカッコ良さは分かるはずが無い、えへへ、気にしたら負け、気にしたら負け、そう~気にしたら負け、俺は人間にモテモテなら十分ですからね」
ギーラはギルドからフラフラ町に出て肩を落として地面を見ながらショックを受けて相棒達を探しに行く事も忘れて適当にブツブツ独り言を話して歩いている
「お母さん、お母さん、あのお兄ちゃんどうして泣きながら歩いているの?」
「ヒエッ・・・・・」」
「お母さん、お母さん、鼻水も凄く一杯出てるよ?」
「え、え、えええ、そ、そ、そうね・・・・・」
「お母さん、お母さん、あのお兄ちゃん何か悲しい事があったのかな?、顔全体がもの凄くグチャグチャだね?」
「え、え、えええ、そ、そ、そうね、もうあのお兄ちゃんは見ない様にしてお家に帰りましょうね・・・・・」
「は~い、分かった~、けどどうしたのかな?、あのお兄ちゃん?」
ギーラの横を通り過ぎた親子連れの小さな女の子がギーラを指差してありえない程の号泣に興味を持って隣の母親に聞いているが、母親はスルー感満載でこれ以上愛する子供にあんなに酷い顔は見せられないの思いだけで子供の手を強めに引っ張ってギーラから離れて行く
「あ、あ、あれ、俺知らん間に泣いてた・・・・・ぜ、ぜ、全然気にしてないのにな・・・・・」
ギーラは親子の会話には独り言で気付かずにしばらく経ってから目と鼻から大量の液体が顔面から溢れ出ている事に気が付いて歩く速度を緩める
「痛っ、兄ちゃんどこ見て歩いてるんだ痛て~じゃね~か」
大量の顔面の液体に気が付いた瞬間に目の前で人間の男が地面に倒れながらギーラに怒りの声を上げる
「・・・・・・・・・・」
「おいっ、待て兄ちゃん謝ることもできね~のか?」
ギーラは目の前で倒れた男をチラッと見るが、今はそれ所では無いカッコ悪いショックと顔面からの大量の液体流出に頭が一杯でスルーして歩きを再開すると、地面に倒れた男が立ち上がりギーラの右肩を掴んでくる
「・・・・・あ、そうやね、ごめんね・・・・・」
掴まれた右肩の男の手を見ながら一応謝罪する
「あ~ん、何だその謝り方はぁぁぁ~、もっとちゃんと謝る事もできね~のかよ、お前はよぉぉぉ」
「・・・・・・・・・・」
ギーラは男の怒鳴り声を聞いてから掴まれた右肩の右手を払い落とすと無言で歩き出す
「おいっ、お前舐めてるのか~この顔面グチャグチャに泣いてる癖によぉぉぉ~、もっと泣かせてやろ~かこのブサイクがっっっ~」
「・・・・・・・・・・誰が・・・・・カッコ悪いんや・・・・・」
「あ~ん、何言ってんだお前泣き過ぎて頭と顔がおかしくなったのか、このブサイク野郎が~」
「・・・・・だ、か、ら、誰がカッコ悪いんや、だ、れ、に、言ってるんや・・・・・?」
ギーラは男の連発の「ブサイク」発言を今のギーラの弱メンタルの心の精神状態ではカッコ悪いと変換してグチャグチャの液体塗れの顔を恥ずかしげも無く男に向けて少しキレ気味で聞き直す
「あ~ん、何だこの野郎~ヤル気なのか・・・・・俺の右腕が万全ならいつでもヤッてやるんだがなっ」
男は万全で怪我1つ無い右腕を何となく触りながらギーラのグチャグチャの顔で液体塗れだが眼つきが変わった事に気が付いて「あれっ、こいつ何かヤバイ」と慌てて目を逸らして言葉が急にトーンダウンする
「俺はお前とはヤル気は全然無いしそれ所でも無いから、どっちでもええんやけどな」
「お、お、おう、俺の不注意でお前にぶつかったかも知れないからなっ、それに今回は見たら分かると思うが右腕もこんな状態だからヤルのは勘弁してもらおうかな・・・・・」
男は見たら分かるピンピンして万全の右腕をまた触って重傷アピールをさり気なくしてさらにトーンダウンで話す
「それじゃあ、もう行ってもええんかな?俺は用事があるし」
「・・・・・あ~あ、気にせず行ってくれ、すぐにでも行ってくれ」
ギーラは倒れていた男に聞いて快諾の了承を得ると、ポケットから布を取り出して顔面の大量に液体を布で拭いて綺麗にすると歩き出す
「あっ、せや?、お前人間の男やんな、お前から見て俺ってどう?、カッコイイ?」
「・・・・・へっ?・・・・・」
ギーラは思い出したかの様に振り返り男に聞くと、男は布で拭き取って大量の液体が顔面から無くなったギーラの顔をガン見して似合わないキョトン顔で少し固まって返事をしていた