第180話 栄誉あるコンテスト
投げナイフのナイーフは他のナイーフ達と会話をしていた
「ナゲ、最近のギーラはどうナゲ?」
「ナゲ、可も無く不可も無くナゲ」
「ナゲ、そうだなナゲ、良くも無く悪くも無いナゲ」
「ナゲ、けど腕が4本あるのは我々の出番がナゲ、増えるからナゲ、良いんだけどナゲ」
「ナゲ、確かに2本腕よりはナゲ、出番の回数は4本腕の方がナゲ、活躍は出来るナゲ」
「ナゲ、けどギーラは前の使用者に比べるとナゲ、少し大人しいからナゲ、少し物足りない感はあるんだナゲ」
「ナゲ、まあ前の使用者は我々をナゲ、良く使ってくれたけどナゲ、だがナゲ、まだギーラと出会って浅いからナゲ、この先我々を使う事もあると思うからナゲ、焦らずに待つのが良いナゲ」
「ナゲ、そうだナゲ」
「ナゲ、焦ってもしょうがないからナゲ」
ナイーフ達はギーラの腰の収納スペースに収まりながらナイーフ達だけが話せるチャンネルで10本の投げナイフ同士の会話を話す、その中で何回も会話しているおしゃべりナイーフや黙って聞いている寡黙ナイーフ達の同じ話し方のナゲナゲトークが一段落付いた時にヘビージョの美しい声が聞こえてきてそちらにナイーフ達は意識を向ける
「ニョロ、村長の娘さんは大丈夫なのかニョロ、困った困ったんだニョロ」
「ナゲ、蛇の娘さんが困っているナゲ、ギーラは何をしているナゲ?」
「ナゲ、何か蛇の娘さんをナゲ、黙って見ているナゲ」
「ナゲ、分かったナゲ、我が1ナイーフでリーダーだからナゲ、そっと後押しをしてやろうかナゲ」
「ナゲ、いつもすまないね1ナイーフ、頼んだナゲ」
「ナゲ、良いんだナゲ、我は1ナイーフでリーダーの役割だからナゲ、任せるナゲ」
8ナイーフが1ナイーフに任せると1ナイーフは了承する
{ナイーフナゲ、所でギーラナゲ、蛇の娘さんが凄く困ってるナゲ、男ならここは困っている女性を助けるのが男の中の男だと我々は思うんだけどナゲ}
投げナイフのリーダー、1ナイーフの声が直接ギーラの頭の中に聞こえる
{あああ、俺もそれを考えてたよ、流石にこのギルド内の冒険者の人数の少なさじゃヘビージョの捜索依頼を受けて貰うのは時間が掛かりそうやしね}
ギーラは目の前のガッツリ蛇の顔の女だが、その感情が分かりにくい蛇の顔でも困った表情が分かりギルド内の冒険者の動きと依頼の壁の自分が頼んだ捜索依頼の紙を交互に不安そうに見比べるヘビージョを見て頭の中に直接聞こえてきたナイーフの声に返事を送る
{ナゲ、それは良い考えだナゲ、我々もギーラのその返事を待っていたナゲ、流石男の中の男のギーラナゲ、さあナゲ、早く優しく蕩けるような甘い言葉でナゲ、蛇の娘さんを助けてやるナゲ}
{分かった、せやけど・・・・・優しく蕩ける甘い言葉では無いから期待には添えられませんけどね}
{ナゲ、ダメだナゲ、特に女性が困っている時に話しかける時はナゲ、優しく蕩ける甘い言葉じゃ無いとダメナゲ、それが男の優しさだナゲ}
ナイーフの謎理論でギーラを強く押す、ギーラは「うわっ、こいつ面倒っす、マジっすか」と思ったが、ヘビージョの困る姿を見ているとここで無駄な言い合いをナイーフとしている暇は無いと思い了承する、ナイーフはギーラの「うわっ、こいつ面倒っす、マジっすか」を一言漏らさず聞こえていて今まで出会ってからのギーラの頭に思い浮かべる事はすべて分かるがスルーしていた・・・・・そうギーラの考える事や色々な妄想も全部知っていますが何か?状態である・・・・・
「あ、あ、あのヘビージョ、も、も、もし良かったら俺がヘビージョの捜索依頼を受けようか、へ、へ、ヘビージョの困っている姿を見ていると俺助けたくて体全体がおかしくなりそうなんだ」
ギーラはヘビージョの視線を外しながら自分なりの優しく蕩ける甘い言葉を話してみる
{ナゲ3点、がっかりナゲ}
{ナゲ2点、0に近い2点ナゲ}
{ナゲ2点、点数付けるのも辛いナゲ}
{ナゲ3点、嘘ナゲ}
{ナゲ2点、信じられないナゲ}
{ナゲ1点、・・・・・}
{ナゲ2点、・・・・・聞いてられないナゲ}
{ナゲ3点、親の顔が見てみたいナゲ}
{ナゲ1点、・・・・・ハァ~ナゲ}
{ナゲ4点、ギーラ次は頑張るナゲ、ちなみに100点満点だからナゲ}
ギーラがヘビージョに話し終えると一斉に頭の中に、ナイーフ達の点数と泣きそうな一言コメントと溜息や無言がきっちりナイーフ10本1人一人順番に丁寧に全員から流れ込んで来た
{・・・・・・・・・・100点満点・・・・・なんですね・・・・・点数付けやんでも・・・・・コメントも酷いですやん}
ギーラは頭が真っ白になり口から自然と言葉が出る
「ニョロ、ギーラ嬉しい是非お願いしたいニョロ、これで早く村に帰って村長さんに報告が出来るニョロ、本当に助かったニョロ、ギーラありがとうニョロ~~~・・・・・ギ、ギ、ギーラ、どうしたのかニョロ、顔が完全に死んで目から涙が零れているニョロ?」
ヘビージョはギーラの依頼を受けるの言葉にもの凄く喜んで、椅子から立ち上がり顔はガッツリ蛇だが可愛らしくその場で赤い舌をチョロチョロ動かしてピョンピョン女の子らしく飛び跳ねて喜びを爆発させてから、目の前の椅子に座り固まって下を向き涙がテーブルを濡らしているギーラに先程の喜びが嘘の様な心配した声で聞く
「・・・・・ハッ・・・・・う、う、ううん、大丈夫やから俺は大丈夫やから・・・・・えへへ、気にしやんといて俺は大丈夫やから・・・・・」
ギーラはヘビージョの声に反応して「ハッ」っと声を出し顔を上げると気持ち悪い笑いをして何度も自分に言い聞かせる「大丈夫」を連呼する
「ニョロ、それなら良いんだけどニョロ、本当に急にだからニョロ、私ビックリしたニョロ」
「ごめんごめん、大丈夫大丈夫、それじゃあ俺ヘビージョの依頼取って受付嬢さんの所で受けるとお願いしてくるね・・・・・」
ギーラはそう言うと椅子から立ち上がりフラフラと依頼の壁に行くとヘビージョの捜索依頼を手に取り、またフラフラとカウンターに座る受付嬢に依頼の紙を渡して話を聞くと、またフラフラとヘビージョの待つテーブルに戻って歩き出す
{ナゲ、気にするなナゲ、男なら過去は振り向かないでナゲ、前を向いて今やるべき事をするのが男ナゲ}
{・・・・・お前が言うな・・・・・}
{ナゲ、もしかして怒っているのかナゲ?、我々は何故ギーラが怒っているのかは良く理解していないけどナゲ、もしかしてギーラの優しく蕩ける甘い言葉コンテストのナゲ、点数が低かったからナゲ?}
{・・・・・コンテスト?・・・・・}
{ナゲ、そうだナゲ、この我々は色々なコンテストをナゲ、時々開催するんだけどナゲ、その栄誉あるコンテストにたった一人選ばれたのがナゲ、男の中の男のギーラナゲ}
{・・・・・たった一人選ばれた・・・・・それが俺?・・・・・}
「ナゲ、そうだそうだナゲ、この我々のコンテストにはナゲ、ギーラしか選ばれて無いナゲ、何故だか分かるかナゲ、それはナゲ、ギーラがカッコ良いからナゲ}
{・・・・・俺がカッコ良い・・・・・}
{ナゲ、当たり前ナゲ、ブサイクな男がナゲ、どうして優しく蕩ける甘い言葉コンテストにナゲ、出れると思うかナゲ、良く考えたらナゲ、すぐ分かる事ナゲ、男の中の男のカッコ良いギーラだからナゲ}
{・・・・・俺が男の中の男でカッコ良いから・・・・・優しく蕩ける甘いコンテストに・・・・・出られた?・・・・・}
{ナゲ、当たり前ナゲ、それしか我々の栄誉あるコンテストにナゲ、出れる訳が無いナゲ}
{ほほお~なるほどなるほどな、それならしゃーないな俺クラスじゃ無いと出れる訳無いよな}
{ナゲ、やっと分かってくれたナゲ、だから今は我々の栄誉あるコンテストに出れた事をナゲ、誇りに感じてナゲ、落ち込むのを止めてナゲ、蛇の女を力一杯助けてあげるナゲ}
{分かった分かった、その理由が聞けて俺は復活した、完全復活やな}
{ナゲ、流石ギーラナゲ、我々が選んだ男なだけあるんだナゲ}
{あ~あ、了解した、フッ、それにしても栄誉あるコンテストか俺にお似合いだな}
ギーラが受付嬢と話をしてヘビージョのテーブルに歩き出すとナイーフが頭の中に直接語りかける、そしてアホのギーラはナイーフの謎説得にアホなので納得すると自信満々の表情に自分ではカッコ良いと思う笑みを浮かべて胸を張って先程とは別人の様に堂々とヘビージョが待つテーブルに大きな力強い足取りで向かって行く