第172話 乗り移り方
「後の事は宜しくお願い致しますわ、それでは行きましょうか、お兄様?」
「あああ、そうしよう」
「俺はここに残って怪我をした奴の面倒を見る事にするからな、ボルマカラン」
「あああ、そうしてくれ、謝罪は俺1人で十分だからな」
ローズメルファが酒場の扉に向かって歩きながら話すと、レンストンは残ると話をしてボルマカランは了承するとローズメルファの後に続いて行く
「ウン、オトギ、イクゾ」
「ハイ、オニイチャン、ワカッタ」
トラとオトギも扉に向かって歩き出す
「ウン、オトギ、ソレ、オイテイク」
「ハイ、ソウダッタ、コイツ、ワスレテタ」
トラは少し歩き出すとオトギの右手を見て唇を噛み締めて必死に耐えて震えて泣いている男を見ながら話すと、オトギは完全に男の存在を忘れていてチラッと男を見ると近くにいた<黒の星昇華>の1人に投げて渡して「オマエ、ドウアゲ、シロ」と無茶を言うとトラと2人で酒場の扉に向かう
「ニャ、レーンアイルニャ、今から何をしようかニャ?」
「・・・はい・・・ギルドで・・・お願いしている・・・マリーンの捜索依頼の件も聞きに行きたいですが・・・まだあまり時間も経っていませんので・・・早いと思いますし・・・」
「ニャ、なんなんだニャ、そのニャ、初めて聞く話はニャ?」
「・・・はい・・・そうでしたね・・・シルキャドはいなかったですね・・・先程ギーラとローズメルファと・・・3人で・・・」
シルキャドとレーンアイルはスグラアゼースの町の中を特に予定もやる事も無くブラブラ仲良く手を繋いで歩いている、するとシルキャドは宿屋のベットで熟睡していて知らなかった情報がレーンアイルから飛び出したので興味津々に聞き返すとレーンアイルは説明をしてから終える
「ニャ、なるほどニャ、そういえばニャ、レーンアイルはニャ、ママさんの仇を探していたもんニャ」
シルキャドはレーンアイルの話を聞いてからすっかり忘れていたが思い出して話す
「・・・はい・・・絶対見つけて・・・どうして・・・お母様をあんな化け物にしたのかを・・・聞きたいです・・・」
レーンアイルはシルキャドと繋いでいた手を自然と力を込めて握る
「ニャ、私はニャ、ややこしい事や難しい事はニャ、良く分からないけどニャ、ギルドがマリーンをニャ、見つけたらニャ、絶対絶対ニャ、私はニャ、レーンアイルと一緒に行くからニャ、これだけはニャ、絶対だからニャ、それで今から何をするのかニャ?」
シルキャドはレーンアイルに熱く語るが天然なので次の行動も気になるので頭で思った事をノンストップで話す
「・・・はい・・・この話はギルドで・・・情報が集まってからで・・・良いですね・・・」
レーンアイルもシルキャドだからとすぐに納得する
「ニャ、それでニャ、今から何をするのかニャ?」
「・・・はい・・・そうですね・・・・・」
レーンアイルは途中までシルキャドに話をしていると、白い球体になったホワイトアイルがレーンアイルに話しかけて来て何も無い空間で視線が止まって頷く
「ニャ、レーンアイルニャ、一体どうしたんだニャ?、もしかしてニャ、ホワイトアイルかニャ、もしかしてニャ、ホワイトアイルが話しかけてきたのかニャ、私はそう想像したんだけどニャ、レーンアイルニャ、答えを教えるんだニャ、早く私に教えるんだニャ」
シルキャドはホワイトアイルの姿が認識出来ないので「ハハ~ン」と考え、会話が止まったレーンアイルの握っている手をブンブン振って空気を読まず何も無い空間に頷いているレーンアイルに天然を発揮させて自分の欲望に正直に聞いている
「・・・シルキャド・・・少しお時間良いですか・・・ホワイトアイルとお話します・・・」
「ニャ、やっぱりそうなんだニャ、やっぱりホワイトアイルと話をしているんだニャ、スッキリしたからニャ、私は待つからニャ、ゆっくりホワイトアイルと話をすれば良いんだニャ」
ギーラやローズメルファは空気を読んで黙って見守るがシルキャドはシルキャドなので答えを聞いてやっと納得する、するとシルキャドは満足顔で大きく頷くとレーンアイルの手を離すと、近くに見えた魚屋の店頭に陳列されている魚をフラフラと引き寄せられるように歩いて行った
「ごめんね、何のお話だったホワイトアイル?」
「うん、シルキャドには悪い事しちゃったかな」
レーンアイルはホワイトアイルとの会話なので流暢に話しながら通行の邪魔にならないように道の隅に移動する
「うん、そうかもね、後で私が謝っとくよ」
「それはお願いしとくね、それでお話なんだけど、僕が他に乗り移れる物体があれば前のクマのぬいぐるみの時みたいにその乗り移った物体でみんなに姿を認識されておしゃべりとか出来るって覚えてる?」
「うん、私は覚えてるよ」
「覚えていてくれてありがとうレーンアイル、それでねこの白い球体の状態になって分かった事があるんだけどね、人間や獣人や木や花とかの命ある者には僕は乗り移れないんだ」
「うん」
「それでね、レーンアイルが寝ている時に僕は何に乗り移れるか色々試してみたんだよ」
「うん、そうなんだね」
「それでね、道端に普通に落ちてる石とかに乗り移った時は口や手や足が無いからおしゃべりも動くことが出来ない事が分かったんだ、後はシルキャドが寝ている時に白い片手剣に内緒だけど乗り移ったんだけど石と同じで口と手や足が無かったからおしゃべりも動く事も無理だったんだ、だからね僕が乗り移るとしたら人間の形や動物の形をしていて口や手や足が無いとレーンアイルとおしゃべりしたり一緒に行動することが出来ないんだよね」
「うん、そうなんだね、だったらどうしたら良いの?」
「そうだね、一番良いと考えられるのは前の姿みたいなクマのぬいぐるみとかの形をした物体かな~、それともしレーンアイルが僕が乗り移った物体が気に入らなかったらすぐに今の白い球体の姿に戻る事が出来るからいつでも止める事も出来るんだよ」
「そうなんだね、ホワイトアイルは色々な物体に簡単に乗り移る事が出来るんだねっ、分かった、それじゃあ今シルキャドと2人で何もすることが無くて町をブラブラしていたから、シルキャドにお願いしてみてホワイトアイルが新しく乗り移れる物体を探してみるね」
「うん、だから僕はシルキャドに悪いと思ったけど今レーンアイルにおしゃべりをしたんだ」
「あはは、そうだったんだね、任して、ホワイトアイルが気に入る新しい物体捜すからねっ」
「うん、ありがとう、でもレーンアイルが気に入ったら僕もそれを気に入るからレーンアイルが全部決めてくれたら僕は嬉しいんだよ」
「うん、分かった、でもね私はホワイトアイルと相談はちゃんとして決めるからねっ」
「レーンアイルありがとう、それじゃあお願いするね、楽しみに待っているよ」
「うん」
レーンアイルは白い球体のホワイトアイルに新しく乗り移れる物体を探す事を約束する話し合いを終わらすとシルキャドの姿を探す為に首をキョロキョロさせて周囲を見る
「ニャ、この生魚は美味いんだニャ、もっと無いのかニャ?」
「ははは、猫のお譲ちゃんさっき食べたのが最後の一匹だったんだよ」
「ニャ、そうだったんだニャ、美味すぎたからニャ、あっというまにニャ、喰ってしまったんだニャ、ニャハハハハハ」
「そうだったよ、猫のお譲ちゃんは猫まっしぐら状態だったからね~、ははは」
「ニャ、確かにそうだったニャ、私は猫まっしぐら状態だったニャ、ニャハハハハハ、それとニャ、私が食べた美味かった生魚はニャ、またこの店で売るのかニャ?」
「勿論だよ、猫のお譲ちゃん、今日はお譲ちゃんのお陰で完売だけどまた明日になれば準備させて貰うから、猫のお譲ちゃんまた美味しい生魚を用意して待ってるよ」
「ニャ、お前は商売上手けどニャ、けどニャ、私はそんなにヒョイヒョイ安い言葉ではニャ、引っかからないけどニャ、・・・・・所でニャ、明日は何時から営業しているのかニャ?」
レーンアイルがシルキャドの姿を発見すると、シルキャドは顔が魚で体が人間の獣人の魚屋の主人と楽しそうに会話と買い食いを楽しんでいてそこに向かって歩いて行く