第170話 チョップとビンタ
「・・・・・こ、こ、こいつは・・・・・」
「・・・・・な、な、何故お前がここに?」
ボルマカランとコトノーセがローズメルファの声に反応して姿を確認して驚いた声で話す
「あらあら、ここはやはり<黒の星昇華>の方々がお集まりになる酒場で正解でしたわね」
ローズメルファは自分の顔を見る、ボルマカランとコトノーセを見ながら話す
「あんっ、何だこの女・・・・・も、もしかして、お、お前がボルマカランとコトノーセをやった女なのか?・・・・・」
レンストンもボルマカランとコトノーセの驚きの表情を見てすぐに察知してローズメルファに聞く
「あらあら、やったとか女の人に向かってお話されるのは、少し如何な物かと思われますが、うふふ」
「・・・・・俺を追って来てのか・・・・・」
ボルマカランはローズメルファに聞いている
「いえいえ、別にお兄様を追って来た訳ではございませんわ、ただ飯屋でお兄様が謝罪も無く何も教えて頂けなかったので、あれから私なりに情報を調べて追ってきたら偶然ここでお兄様に会っただけですわ」
「そ、そ、そうか・・・・・」
ボルマカランは少し安堵をして答える
「所で女、お前俺達を舐めてるのか、ここは俺達<黒の星昇華>のど真ん中なんだぜ、今からお前を攫うか殺すかの直前だったんだぜ」
レンストンがローズメルファに近付いて目を吊り上げながら話す
「はい、私達がこの酒場に入った時には皆様のお声が大きくて聞こえてきましたので私は十分に理解をしておりますわ、ですがこれだけの<黒の星昇華>の方々がいらっしゃるなら誰かお1人ぐらいは皆様の一番偉い人をご存知と思って声を掛けさせて頂きました」
「おいっ女、一番偉い人だと・・・・・俺達のボスに何の用があるんだ?」
「あらあら、お兄様からは何も聞いていないのですね」
ローズメルファはボルマカランを見てから、正面に立ちローズメルファの目を睨んで見続けているレンストンに飯屋の詳しい事を話し、ボルマカランがレーンアイルに謝罪をしなかったので変わりに<黒の星昇華>のボスに謝罪をさせる事を説明する
「おいっ女、ふざけるのもいい加減にしろよ、ボルマカランを痛めつけて、それに俺達のど真ん中に来てその舐めた態度、最後に俺達のボスに訳の分からない小娘に謝罪させるだと、この糞女がっ、お前らもう生け捕りとかそんなんはどうでも良い、今すぐこの女を殺せぇぇぇぇぇ」
レンストンはブチ切れてローズメルファを指差して「殺せぇぇぇぇぇ」と絶叫する
「あらあら、わざわざお話を聞いて回らなくても良い一番簡単な方法になりましたわね、うふふ、それではトラとオトギ、ここの酒場の方々を殺さない程度でお願いしても宜しいでしょうか、私も糞女とか言われましたが我慢しようと思いますので、うふふ」
「ウン、ワカッタ、トラ、キヲツケル、コロスシナイ」
「ハイ、コイツラ、ワルイヤツダナ、オトギモ、ワカッタ」
ローズメルファはレンストンの絶叫を目の前で聞いて酒場の<黒の星昇華>の連中がその声に反応して殺気立ちながら集団で襲ってくる中、トラとオトギにいつもの笑顔でお願いして了承を貰う
「そこの大男死ねやぁぁぁぁぁぁぁ」
男が10人程がトラに向かって襲い掛かり各々武器を片手に攻撃をする
「ウン、トラ、シナナイ、オマエタチ、ヨワイ」
トラはそう言うと剣、斧、棍棒などの攻撃を避けるそぶりも見せずに平気で筋肉ムキムキの体で受けきる、それからトラは想像通りに全くダメージを受けなかった男達の攻撃に小さな溜息を付いてから、トラにしてみれば人間の子供の頭を撫でるぐらいの力で襲い掛かって来た男達に手刀で頭の真ん中にチョップを落として反撃すると男達は次々にその場で倒れていく
「そっちの大男も殺してやるぅぅぅぅぅぅぅ」
オトギにも10人程の男達が一斉に襲い掛かって来る
「ハイ、オトギ、オオオトコチガウ、オンナノコ」
オトギは男達の言葉に反応すると、まず大男と叫んだ男に飛び込むとトラと同じ様に力を手加減して平手で男の頬を普通にビンタをして行く、ビンタされた男は瞬間に吹っ飛んで酒場のテーブルの一つを破壊して気絶して動きを止める、それからオトギも全くダメージを受けない攻撃を受けながらも男達を順番に一人づつビンタをして吹っ飛ばすと酒場のテーブルや椅子や壁などを破壊して男達を気絶させて行く
「な、な、何だこの大男達は?・・・・・」
レンストンはローズメルファの目の前に立ち、トラとオトギに次々と部下が蹴散らされる光景を見ながら呟いている、ボルマカランもテーブルの椅子から一歩も動けずにトラとオトギを見ていて、コトノーセとタスムスもボルマカランの背後で言葉も発せずに圧倒的な能力の違いの戦いをただ見ている
「はい、相棒の2人はとても凄いでしょ、うふふ、皆さんも気付いていると思われますがあの2人は全然本気では無いですからね、もし本気を出せばあっという間にここの酒場にいるお兄様の部下の方々は原型を留めないくらいの殺し方が出来ますからね、それでなんですがお兄様達?」
ローズメルファはトラとオトギの圧倒的な戦いに釘付けなボルマカランとレンストンに話しかける
「・・・・・あ、あ、あああ、何だ?」
「・・・・・何だ・・・・・」
ボルマカランとレンストンはローズメルファの声に反応して呆然とした顔で見る
「はい、それで私はこのままこの無駄な戦いを続けるのがどうなのかと考え始めましてね、うふふ、ごめんなさいね、勝手に乗り込んで来た訳なんですけどね、それでなんですが私からの提案なのですが、お兄様があなた方のボスに謝罪をさせるのは嫌だということは分かりましたので、お兄様達がレーンアイルに謝罪をすれば私はこれを終わりにしても良いと考えるのですが、どうでしょうか?」
「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
「それにこのまま続けてもお兄様達が私達に勝てないと思いますからね、まだ私も参戦しておりませんし、うふふ、それに私自身の気持ちを正直にお話しますとこの戦いに興味もワクワクも無くなりましてね、うふふ、ですがこのままお続けになりたいのでしたらお好きにされても良いのですが、その場合私は必ずあなた方のボスにはきっちり謝罪をお願いする事になりますがね」
「ウン、ローズメルファ、トラ、ヨワイヤツイヤダ、コロスシタイ」
トラはこの戦いに手応えがなくなってローズメルファを見る、それからトラの強さを思い知って囲むだけで襲い掛かるのを躊躇している男達を見渡して体中の骨をゴキゴキ鳴らして話す
「ハイ、オトギ、モウアキタ、コロスシタイ」
オトギも手加減をする攻撃に飽きてきて1人の男の片手剣の攻撃を両腕や両足に正面から受けているが、全くオトギの筋肉の肉体にはダメージを受けておらず、その男をチラッと見ると「ヨワイ」と小さく残念な声を出すとビンタをして吹っ飛ばしている
「あらあら、トラとオトギ殺すのは止めて欲しいのですが、私が今度ギーラにお願いして思う存分殺せる依頼を受けて貰える様にお話しますのでもう少し我慢して下さいね、それにこのお兄様達にも今お話をさせて頂いてましてね、もしレーンアイルの謝罪を断る判断をされた場合はすぐに全員皆殺しをしても私は止める事は致しませんからその時は御自由にして下さいね、うふふ」
「・・・・・・・・・・」
「・・・・・わ、わ、分かった、す、少しだけ話し合う時間を貰えないか・・・・・」
「「「ソウナノカ、ワカッタ、スコシ、コロスマツ」」」
ローズメルファはトラとオトギの素直に思った「コロスシタイ」の言葉に「トラとオトギ、良いタイミングですわ」と思い2人の話に乗っかって話をする、レンストンは固まって口を開かなかったがボルマカランが何とかローズメルファに答えていた、トラとオトギを囲んでいた<黒の星昇華>の連中も「コロスマツ」の言葉に内心ホッとしてトラとオトギが動きを止めたので男達も動きを止めてボルマカランとレンストンを見ている