第165話 支払いますよね
「あらあら、聞こえませんでしたかお兄様、まだ私に抵抗をして続きをやられますか?」
ローズメルファは自分と四つん這いで震えているボルマカランを無言で交互に見続けるコトノーセにいつもの笑顔で優しく聞き返す
「当たり前だ、ボルマカランさんがこんな目に合ってただで帰れると思うなよ、この糞アマがァァァァァ」
コトノーセはローズメルファの声に反応してグリップだけになって刃が砕け散った片手剣を適当に放り投げると腰に装備していたダガーを両手に持って叫ぶ
「止めろオオオォォォォォ、コトノーセお前じゃ無理だ」
四つん這いで震えていたボルマカランだが大きな声でコトノーセを止める
「し、し、しかしボルマカランさん、このままじゃ・・・・・舐められたままじゃ・・・・・」
「黙れ、俺が止めろと言ったら止めるんだ」
ボルマカランは四つん這いの情け無い姿で震えていたが、近くのテーブルを支えにして何とか立ち上がり話す
「は、は、はい、すみません、分かりました」
コトノーセは手に持っていたダガーを腰に収める
「あらあら、何かお兄様達2人でお話が終わったみたいなので不思議なのですが、私は何も納得も了承もしておりませんが、うふふ」
「えっ?、どういう事だ」
「はい、あの後から来たお兄様は私に攻撃の意思を見せて、ましてや私に糞などとおしゃられましたからですわ、本来なら即殺しますが残念な事に今は町の中ですから再起不能で我慢をさせて頂きます」
ローズメルファはテーブルに何とか無事な左手で手をついて体を支えているボルマカランに話す
「ま、ま、待て、待ってくれ、俺達じゃお前には、何も、で、で、出来ない」
ボルマカランは悔しさと恐怖と右腕の痛みでまだ震えて答える
「あらあら、何故なのでしょうか?、私がその理由であのお兄様を再起不能を止める意味がさっぱり分かりませんが」
「糞っ、に、に、逃げろ、コトノーセ、今すぐ逃げるんだぁぁぁぁぁ」
「えっ?・・・・・は、は、はい、わ、わ、分かりました」
ボルマカランはローズメルファに「必ず再起不能にされてしまう」と悟ってコトノーセに大声で命令する、コトノーセは一瞬戸惑ったがすぐに理解して飯屋の出口の扉に走り出す
「あらあら、お逃げになるのですわね、それも良い策とは思いますが私の前では愚策でしかありませんが、うふふ」
ローズメルファはボルマカランにいつもの笑顔で少し笑いかけると一瞬で飯屋の扉に向かっているコトノーセの背後に追いつくと右肩を背後から破壊させながら掴むとそのままボルマカランが立っている所まで後ろに投げ捨てる様にしてテーブルや椅子を壊しながら地面に転がす
「痛い、痛い、イテエエエェェェェ、イテエエエヨョョョ」」
コトノーセは破壊された右肩の痛みでボルマカランの前の地面で転げ回る
「だ、だ、大丈夫かコトノーセ・・・・・」
ボルマカランはコトノーセに声をかけるが痛みで何も聞こえておらず転げ回っている
「大丈夫では無いでしょうね、多分ですがこのお兄様は右腕はもう一生使える事は無いと思いますので」
ローズメルファはゆっくり歩いてきてボルマカランの背後からいつもの口調で話す
「糞っ」
「あらあら、お兄様も糞のお言葉お好きなのですわね、ま~あ、それは私には言っていないので許してさしあげますが、後は今倒れているお兄様はまだ再起不能では無いので続きをさせて頂きますね」
「・・・・・えっ?・・・・・」
ローズメルファはボルマカランに話しかけて困惑している姿を背後から通り過ぎると地面で痛みで転げ回っているコトノーセに近付いて左肩を躊躇なく踏みつけて破壊する
「イデェェェェェェ・・・・・・・・・・」
コトノーセは気絶をする
「う~ん、人間はどれぐらいで再起不能になるのでしょうか、とりあえず後両足を壊しておけば良いのでしょうかね~、しかし殺す事が出来ないのは少々難しいですわね」
「ま、ま、待ってくれ、た、た、頼む、待ってくれ」
痛みで気絶したコトノーセの左肩を踏みつけた状態のローズメルファの考えている言葉を聞いてボルマカランはテーブルに手を支えた状態で弱々しく声を出す
「あらあら、ダメですわよ待ちませんわ、ごめんなさいね」
ローズメルファは一瞬ボルマカランを見て話しをしてから気絶して地面に倒れているコトノーセの右膝左膝と順番に踏み潰して行く、コトノーセは痛みで気絶から覚めてまた気絶をしてを繰り返して今は両手両足を破壊されて目から涙を流し口からは泡を吐いて顔面が液体塗れでグチャグチャで気絶をしている
「さてと次はどう致しましょう?、お兄様は<黒の星昇華>の一番偉い方の所に案内してくれる事に考えは変わりましたでしょうか?、あっ、一応お兄様にはお知らせしときますがもうお兄様が案内をしてくれなくても他の方法を先程思いつきましたのでどちらでも宜しいのですが、うふふ」
「・・・・・・・・・・」
「流石お兄様は我慢強いですわね、ですがもうお兄様にはお聞きすることが無くなりましたね、さてっ、お兄様の事はどう致しましょうかしら?」
ローズメルファはボルマカランの無言は目の前で部下が再起不能にされて自分の力では何も出来ない事も分かり頭がパニックで何も考えられない状況だと分かっていたが「我慢強い」で片付けて見つめる
「・・・・・す、す、好きにしろ、部下がこれだけやられて、俺だけが腕一本壊されたぐらいで泣きを入れていたら部下を預かる者としても1人の男として終わりだ」
「あらあら、裏社会に属する人でもそのような考えをするのですね、分かりましたわ、それではお言葉に甘えてお兄様も再起不能にさせて頂きますね」
ローズメルファは小さく頷くと無力を感じているボルマカランに向かって歩き出す
「・・・あの・・・ローズメルファ・・・私の為なら・・・もういいよ・・・」
今まで黙って見ていたレーンアイルが俯きながら小さな声をかける
「あらあら、そうなのですか、レーンアイルがそうおっしゃるなら分かりましたわ」
ローズメルファはボルマカランへの歩みを止めてレーンアイルに向いて答える
「・・・うん・・・ありがとう・・・ローズメルファ・・・」
「いえいえ、お気になさらずにレーンアイル、それとお兄様今回はこれで終わりにさせて頂きますが、もし次も私とレーンアイルの楽しい時間を邪魔された場合は町の中では勿論再起不能で町の外なら殺しますから覚えていただく事をお勧めしますわ、それといつでもお好きな時にリベンジもお待ちしてますわ、うふふ、町の中の楽しみが一つ増えましたね」
「・・・私は・・・良く・・・分かりません・・・」
ローズメルファはそうボルマカランに話すとレーンアイルの横まで歩いて行き小さな手を繋いで笑っている
「・・・・・あ、あ、あああ・・・・・」
ボルマカランはローズメルファをただ見る事しか出来ず小さく頷く事しか出来なかった
「それでは私達は次の用事が今出来ましたので、そろそろ外に行きましょうかね、それとお店の人達とお食事を楽しんでいた人達にはご迷惑をお掛けしましたわ、それとお店の損害などがあればそこのお兄様が支払ってくれるでしょう、ねっ、お兄様?それではレーンアイル行きましょうか」
「・・・はい・・・」
「・・・・・あああ・・・・・」
ローズメルファは店の人達に軽く頭を下げて謝罪を言って、戦意喪失で恐れているボルマカランにいつもの笑顔で「支払いますよね」の顔でチラッと見てから両手両足を破壊されて気絶しているコトノーセは見向きもしないでレーンアイルの小さな手を繋いで宿屋の扉を開けて外に出て行く