第153話 重要なので
「あらあら、トラ、シルキャド、オトギ偶然ですわね、今から宿屋の部屋に迎えに行きギーラの所に行こうと思ってましたのよ」
ローズメルファは水浴びの帰りに偶然合って手を振り笑顔で近付いて来て声をかける
「ニャ、なんでだニャ、私は今お腹一杯でニャ、動くことはNGだニャ」
「ウン、トラ、ツギノヤタイ、ミツケタ」
「ハイ、マダマダクウ、オトギ、クウ」
トラとシルキャドとオトギは当然最初の目的のギーラを探す事を忘れ去って屋台の誘惑に負けていた
「うふふ、屋台があいかわらずお好きなのですね、ですがギーラは1人ボッチで練習をされると言ってましたので、その場所にみんなで迎えに行くと喜んでくれると思いますよ」
「ニャ、けどニャ~、私はお腹が一杯だからニャ~、あまり動きたく無いんだニャ~」
「ウン、ギーラ、ヨロコブナラ、トラ、イク」
「ハイ、ギーラ、ヨロコブ、オトギ、ヤタイ、モウイイ」
トラとオトギはギーラが喜ぶと聞いて大きく頷いて屋台を諦める、シルキャドはまだ木陰でお腹を擦っている
「あらあら、そうなのですね、それではシルキャドはここで休憩していて下さいね、それではトラ、オトギ、レーンアイル、ギーラの所に行きましょうか?」
「ウン、トラ、イク、ギーラ、アイタイ」
「ハイ、ギーラ、シンパイシンパイ、オトギ、チカクアンシン」
「・・・はい・・・」
トラ、オトギ、レーンアイルはローズメルファの近くに集まる
「ニャニャニャニャニャ、じ、じ、実はニャ、私ニャ、お腹一杯だけどニャ、少しは動けそうな気がするんだけどニャ~、ニャハハハハハハハハ」
シルキャドはトラとオトギの素早い心変わりの軽い裏切りに驚いてこのままでは一人になり寂しくなると考えて、ローズメルファに大笑いで誤魔化して一緒に連れて行ってくれと猫目と猫耳が少し垂れてお願いする
「あらあら、それは良かったですわ、みんなで迎えに行く方がギーラは非常に喜びますからね、シルキャドは優しいのですね、うふふ」
ローズメルファはシルキャドの「一人は寂しい、一緒に行きたい」の考えと無理矢理の大笑いの誤魔化しも完全に分かったので優しくシルキャドを迎える
「ニャ、まあニャ、私がいないとニャ、ギーラが泣いて悲しむからニャ、しょーがないからニャ、一緒に行ってやるかニャ、は~ヤレヤレニャ、全く世話が焼けるギーラだニャ」
シルキャドはローズメルファのOKを貰うとすぐにいつもの両手を腰に添えるヤレヤレポーズで話す
「ウン、シルキャド、ミンナデイク」
「ハイ、シルキャド、ヤサシイ」
トラとオトギは素直なのでシルキャドの同行を素直に喜ぶ
「ニャ、トラとオトギもニャ、私がいないとニャ、何も出来ないからニャ、私が一緒に行く事をニャ、もっと喜んでも良いんだけどニャ」
シルキャドは数秒でいつものシルキャドに戻っている
「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
トラとオトギは無の感情で見る
「うふふ、それではみなさん揃った所でギーラを探してギーラの所に行きましょうね」
そう言ってローズメルファとレーンアイルが歩き出しシルキャドも後に続く、トラとオトギは数秒間シルキャドの背中を無の表情で見続けてからゆっくり歩き出す
「ニョロ、歩きづらいニョロ・・・・・」
ヘビージョが歩きながらギーラに話す
「んっ?何がどうした」
「それがニョロ、このチェーンが地面の草や落ちている木に絡まってニョロ、首がムギューって締まって持っていかれるニョロ」
先程小太り男達に無理矢理ヘビージョが装着された鉄のチェーンをギーラが見るとチェーンの先には地面の砂や土で汚れ草や落ち木が絡まっている
「ホンマやな・・・・・めっちゃいろんな物が絡まってますな・・・・・」
「そうニョロ、だからギーラが持ってくれるとニョロ、私は非常に歩きやすいニョロ」
ヘビージョは蛇の顔で丸い小さな目だがキラキラさせてギーラを見ている
「えっ?、何で俺が・・・・・」
「ニョロ、こんなに重たい物をレディに持たせるのはニョロ、男じゃないニョロ」
ヘビージョが謎理論を蛇の顔で赤い舌をチョロチョロさせて真顔で話す
{蛇女の言う通りナゲ、男が重たい物を持つナゲ、当たり前ナゲ}
今までしばらく黙っていた投げナイフのナイーフの独り言が突然珍しくギーラの頭の中に自然と入って来た
「チッ、なんでやねん」
ギーラは小さい声で吐き捨てる
「あ~あ、腕が何だか疲れてきたニョロ~、誰かが「お嬢さん、その重たい物僕がお持ちしましょうか?」って言わないかな~ニョロ~」
{蛇女の言う通りナゲ、男が重たい物を持つナゲ、当たり前ナゲ、重要なので2回言うナゲ}
ギーラが拒絶するとヘビージョの小芝居とナイーフの連発の独り言がまた聞こえる、ギーラが無視をしているとその間もヘビージョは小芝居を続けていて、ナイーフの{重要なので5回言うナゲ」まで回数が進んでいる
「はいはい、分かった分かった俺が持つわ」
ギーラは小芝居と独り言に根負けして諦めて言う
「ニョロ、そこはお嬢さん、その重たい物僕がお持ちしましょうかだと思うニョロ?」
{女の要望に応えるナゲ、それも男ナゲ}
ヘビージョはそのセリフを聞きたいらしくギーラの口をガン見して、ナイーフは頭の中にまた話して来る
「・・・・・そこのお嬢さん・・・・・その重たい物僕が・・・・・お持ちしましょうか・・・・・」
ギーラは小芝居と独り言攻撃を受けるのは時間の無駄と考えヘビージョの小芝居に乗っかる
「ニョロ?、そうなのかニョロ、それじゃあお願いしようかニョロ」
ヘビージョが小芝居をまだ続けて蛇の顔なのにキョトン顔で聞き返す、それからギーラは鉄のチェーンを手に取りチェーンの先の汚れや草木を落として鉄のチェーンを握り締める、そして「こんなん、俺が悪党でさっきの小太りの男みたいに連れ去ってるみたいですやん・・・・・」と思い鉄のチェーンを持ちながら引っ張ってから要望が叶って満足顔のヘビージョとまた歩き出す
{流石ギーラ、女に優しい男は我々とラブラブ度がUPするナゲ}
ナイーフが今度は小さな声でギーラの頭に直接囁いていたが、ギーラは「こんなん誰かに見られたら俺悪党ですやん・・・・・悪党ですやん・・・・・悪党ですやんか~~~」で頭の中が一杯で聞こえていなかった
「よし、スグラアゼースの町に着いたから、そろそろチェーン持つの止めさせてもらってもええかな・・・・・」
ギーラがスグラアゼースの大きな門の前で、ヘビージョを犬の散歩みたいな体勢で手に持つ鉄のチェーンとヘビージョの顔を見て聞く
「そうニョロ、ありがとうニョロ、町の人達も見てるしニョロ、あそこの守衛もギーラをガン見しているからニョロ、助かったニョロ」
「・・・・・ですよね・・・・・人々の視線がメチャメチャ痛いっす・・・・」
ギーラはそう言うと周囲の人々の容赦無い視線を全身に受けながら鉄のチェーンをヘビージョに返す、ヘビージョは返された鉄のチェーンを軽々と持っている・・・・・
「そうだニョロ、後はギーラの相棒の人にニョロ、この首輪を外してもらってニョロ、ギルドに行くだけなんだニョロ、早く首輪を外して欲しいニョロ~」
「そうやね、その相棒は水浴びに行くって言ってたからそっちの方向が水浴び場やから向かうとしよう」
「分かったニョロ、そうするニョロ」
ギーラは大きな門を通り抜けまだ町の人々の「もしかして人攫いかしら?」「あの男の方の顔は異常者だから納得だわ」「けどあの2人仲良く話をしているわね」「もしかして何かのプレイなのかしら?」「ダメ、あの男の人は見ちゃダメ、悪い子になるわよ」などの色々の声をガッツリ聞きながら水浴び場の方向を見てから顔を上げられず地面の舗装された道を見て「へえ~、舗装やな~、舗装って素晴らしい」っと普段は考えない事を考えて現実逃避で逃げるギーラと無事にスグラアゼースの町に到着して安堵しているヘビージョは歩いて行く