第142話 狂人の殺戮者 22
「あれっ?、何か動いてる」
大きな木の陰に隠れて二人で次に作る洋服のデザインの内緒話をしていて、レーンアイルの横で大きな状態で守るように座っていたホワイトアイルがレーンアイルに突然デザインの話を中断して小さな声の内緒話で話し掛ける
「えっ?、どうしたの?、何が動いてるのホワイトアイル?」
レーンアイルは少しビクッと体を震わせて内緒話なので流暢に聞き返す
「うん、レーンアイルはこの場所で隠れていて、僕はちょっと見てくるから」
ホワイトアイルは立ち上がりながら話す
「うん、でも遠くには行かないでね、私1人は寂しいから・・・・・」
「分かってるよレーンアイル、僕はいつでもレーンアイルにすぐに掛け付けられる距離にいるから安心してね」
ホワイトアイルはレーンアイルに言うと気配がした方向に静かに歩き出す
「んっ?、何だあれ?」
二メオンはレコデナンと森の中を歩いており前方の木々の間に見える四つん這いで地面に這いずり回る影を見てレコデナンに話し掛ける
「あんっ?、どうした二メオン?、お前好みの女でもこんな森の中にでもいたのか?」
レコデナンは二メオンの顔は見ず二メオンの視線の先を見て軽口を叩く
「あ~あ、女なら歓迎だが・・・・・あれは男だ、それにあの服装見てみろよレコデナンお前も良く知ってる奴だぜ」
「確かにな、奴は死んだと聞いていたが・・・・・ふふふ、まあアレは死んでいるのかな」
二メオンの言葉に頷き徐々に四つん這いの体勢からゆっくり起き上がろうとする影の人物を理解してレコデナンは話す
「隊長だな・・・・・?」
「あ~あ隊長だ、それにしても前に見た時の姿とはえらく変わっているがな」
レコデナンと二メオンは歩みを止めて立ち止まる、そして前方で完全に立ち上がりゆっくりと周囲を見渡す顔は黒く腐り右目の眼球が落ちて左腕が肘から逆に曲がって腹部は向こうの景色が見える程の大穴を開けている隊長を見ている
「人間・・・・・イヤ・・・・・アレはアンデットなのか」
ホワイトアイルはレーンアイルを安心させて離れて、大きな木の陰から隊長の腐り果てた姿で立ち上がるのを覗いて判断する
「それに、後人間が二人いるな」
ホワイトアイルはレコデナンと二メオンの存在も察知して動かないプラスチックの口で呟く、すると人間・・・・・レコデナンと二メオンがアンデットに成り果てた隊長に向かって動き出す
「これはこれは隊長さん、しばらく見ない間に前と比べて男前になったもんだ、ぎゃはははははははは」
レコデナンはアンデットの隊長が起き上がるとすぐにダッシュで駆け寄り腐った首を綺麗に切断すると笑って落とした頭部を踏み潰しながら話す
「けどその顔じゃ、男前になっても女には嫌われるからもういらね~から、俺が処分してやったぜ」
レコデナンはアンデットの隊長の頭部を完全に踏み潰して粉々にして話す、するとアンデットの隊長はレコデナンの声と気配に反応して肘が逆に曲がった左腕と右腕を前に出してレコデナンを掴もうと攻撃する
「隊長さんよ~、女が無理になったからって男に鞍替えは節操が無さ過ぎるぜ、俺は獣人オンリーでアンデットで男で隊長さんは無理過ぎるぜ、ぎゃはははははははは」
レコデナンはアンデットの隊長の掴みかかる攻撃を下から剣を斬り上げて両腕の肩の付け根から切断してヒラリと両腕が無くなった隊長の攻撃を避けると背後に回りこむ
「あっ、それじゃあ隊長さん、今まで<狂人の殺戮者>でお世話になりました、このまま黙って団を抜けようと考えてましたが、俺ラッキーですねここで男前になった隊長さんに報告出来るなんて、そんじゃあ一応報告しときますね、あっ、二メオンも抜けるみたいなんで、隊長さんが首から上が無いんで聞いてるかどうか俺には分かりませんが一応報告はしときます、それではサヨナラ~、ぎゃはははははははは」
レコデナンは背後から話をすると、アンデットの隊長の首の切断面から尻の先まで剣で真っ二つに斬り下ろして笑いながら真っ二つになった隊長のアンデットの腐った体を両足で楽しそうに踏み潰している
「・・・・・何て早さなんだアノ男・・・・・」
ホワイトアイルはレコデナン動きを驚きながら見ている、レコデナンがアンデットの隊長に動き出したと思ったら首から上が一瞬で無くなっていてレコデナンの口が動く、アンデットの隊長もすぐに首から上が無くなった事も気にせずに素晴らしい速度でレコデナンに両腕を前に出し襲い掛かる、その攻撃もレコデナンは半笑いで剣を下から上になぎ払うとアンデットの隊長の両腕が空に舞って地面に落ちる前ににまた口を動かし笑いながら背後に回るとまた口を動かし笑いだす、アンデットの隊長も素晴らしい速度で反応して振り向いて攻撃しようとしたが、その速度を簡単に超えた動きでレコデナンの剣がアンデットの隊長の体を真っ二つにしていた
「これは・・・・・危険だな、あの男に見つかる前にレーンアイルの所に戻ろう」
ホワイトアイルはそう呟くとレコデナンに見つかるのは危険と直感で判断してレーンアイルのいる方向にクルリと向き直る
「へえ~、何だお前、おかしな奴が白いクマのぬいぐるみを着てレコデナンを見ていると思っていたが・・・・・一体どんな体をしているんだ」
ホワイトアイルが振り返った瞬間に二メオンが右腕に斬りかかりホワイトアイルの右腕を切断してその断面から白い綿だけが飛び出すだけで血が出ていない事を確認して驚きながら話す
「どんな体だって?君が今見てる通りの体の中は綿で出来ているだけだよ、それに君はアノ男と一緒にいた奴だね」
ホワイトアイルは右腕が切断されて地面に落ちるが痛みを感じず普通の声で二メオンに聞く
「これはこれは、体が綿で出来ているだけって・・・・・まあいいっか、そして話も出来て血も出なくて痛みも感じないのか・・・・・何者だお前?」
二メオンはホワイトアイルの右腕を切断した感触が今までの人間や魔物とはかけ離れていて違和感を感じて本当に綿を斬った感触と切断部分から綿しか出ていなかったので納得する
「それにしても、いきなり斬りかかるとは凄いね、流石アノ男と行動している事はあるね、それは僕には出来ない事だから素直に感心するよ」
ホワイトアイルは二メオンを動かないプラスチックの黒い目で見つめて素直に感心して話す
「それはど~も、この仕事をしていると職業病で怪しい奴、敵と判断したら攻撃する体になっちまったからな~今はこんな森の中だしな、それでお前は何者だ?」
二メオンは右腕の無いホワイトアイルに何回も「何者」と聞いて来る
「う~ん、僕は何者なんだろうね?、自分でも良く分からないんだ」
「そうか、ならしゃ~ね~な、とりあえず殺しとこうかな、怪しすぎるからな」
「そうなんだ、君の実力では無理だと思うけど、それに右腕が無くても大丈夫と思うけど、まあいつでも良いよかかって来て」
ホワイトアイルは二メオンを動かない黒い目で言い切る
「おいっ、クマのぬいぐるみ、2対1でも良いよな?、さっきの腐った隊長じゃ物足りねえからよ、俺も混ぜてくれよ、ぎゃはははははははは」
ホワイトアイルは気が付くと横にレコデナンが大笑いしながら立っていた