第140話 狂人の殺戮者 20
「ウン、トラ、ケル、マカセロ」
「ハイ、オトギ、ケル、マカセロ」
トラとオトギが鉄の扉の前でどちらが鉄の扉を蹴破るかを言い合う
「ウン、トラ、ケリ、スキ」
「ハイ、オトギ、ケリ、トクイ」
「ウン、トラ、ケリ、ツヨイ」
「ハイ、オトギ、ケリ、ジョウズ」
トラとオトギが鉄の扉と相手を交互に見ながら一切譲らず無駄な時間が流れる
「あらあら、トラとオトギは積極的ですわね、それならばトラとオトギが一緒にこの鉄の扉を蹴破れば良いのではないでしょうか?、お二人は仲良しで力がお強いですから協力して蹴ればあっというまに問題は解決すると思いますよ」
ローズメルファはトラとオトギの意地の張り合いに少し楽しくなりフフッと笑い、トラとオトギが喜びそうな「仲良し」「力が強い」のワードを入れて分かりやすく説明をする
「ウン、ソウダ、トラトオトギ、ナカヨシ、ローズメルファ、ソウスル」
「ハイ、オニイチャントオトギ、イッショニケル、チカラツヨイ、ローズメルファ、カシコイ」
トラとオトギはハッとして嬉しそうな顔でローズメルファの顔を同時に振り向いて、キラキラした目でローズメルファを見て話す
「はい、それではトラとオトギお願いしますね、仲良くお二人で鉄の扉を蹴破って集落の人々を助けに行きましょう」
トラとオトギは大きく同時にローズメルファに頷いて、先程の無駄な意地の張り合いなど忘れた様に鉄の扉に二人で向き合って仲良く同じタイミングで鉄の扉に凄まじい威力の蹴りをする、すると鉄の扉はもの凄い音を鳴らして破壊されて前に続く細い道の先に牢屋の柵が見えてその奥に人影の気配がする
「トラ、オトギ、ご苦労様でした、とても仲良しで素晴らしい蹴りで鉄の扉を破壊して頂いて、とても助かりましたよ」
ローズメルファは鉄の扉を蹴破れて満足顔のトラとオトギを見て礼を言う
「ウン、コンナノカンタン、イツデモ、トラニ、イウ」
「ハイ、ケリタノシイ、オトギ、ケリ、スキ」
「はい、それではこの先の道はトラとオトギでは少々狭いので私が行きますので、トラとオトギはここで待っていて下さいね」
ローズメルファは前に見える道を見てトラとオトギの筋肉ムキムキの体では通れないと判断して待機をお願いして話す
「「「ワカッタ、セマイ、キライ、ココデマツ」」」
トラとオトギも先の道を見て無理と判断して仲良く元気にハモって頷く、ギーラとシルキャドはかなりの鉄の扉の破壊音だったがスルーしてまだ顔を付き合わせて唾を飛ばし合っているが・・・・・
それからローズメルファは頭を少し屈めながら細い道を進んで牢屋の柵の場所まで歩いて行く、木の柵の向こうには狭い部屋があり30名程の集落の人々が疲れた顔や不安な顔で体を寄せ合い監禁されている
「皆様、助けに来ましたわ、もう大丈夫ですからね」
ローズメルファはそう声を掛けると木の柵を手刀で軽々と切断して牢屋から外に出れる道を作り監禁されていた人々を解放する
「本当に有難う御座いました、我々一同本当に助かりました・・・・・後助けて頂いたお礼は集落がこんな状態ですので何も出来ませんが・・・・・申し訳ありません」
この集落で一番偉い老人がローズメルファに頭を下げて礼をする
「いえいえ、お気になさらずに、お礼など全くいりませんわ、皆様をお助け出来たのが私も嬉しいですから、うふふ」
老人は後トラとオトギにも礼を言い、ギーラとシルキャドには華麗にスルーしていた、それから集落の人々は解放された事は喜んだが集落の酷い状態に落胆して各々の住んでた家や戻るべき場所に帰って行った
「それでは今からどうされますか?レーンアイルとホワイトアイルを迎えに行きますか?」
ローズメルファが相棒達意外誰もいなくなった部屋で聞く
「ウン、トラ、キメナイ」
「ハイ、オトギ、オニイチャントオナジ」
トラとオトギはギーラだろうがローズメルファだろうがブレずに話す、ローズメルファはトラとオトギに小さく頷いてギーラとシルキャドに振り向く、すると決着が付いたのかギーラがシルキャドを見下ろしてシルキャドがギーラを見ながらショボンとしていた
「あらあら、お話し合いは終わったのですか?」
ローズメルファが突然の勝負の決着に少し驚いて聞く
「ニャ・・・・・そうだニャ・・・・・私の完敗なんだニャ・・・・・」
シルキャドは猫耳をペタンと下げ肩を下ろしてローズメルファを上目使いで見て珍しく元気の無い声でションボリ話す
「あらあら、良ければお話をして頂けます?」
ローズメルファはシルキャドの落ち込んでいる態度に興味を持ち理由を聞く
「ニャ、そうだニャ、私はもうギーラには逆らえない体なんだニャ・・・・・」
シルキャドはそれ以上は口を閉ざす
「あらあら、これは私は是非理由を知りたいですわ、ギーラ、教えて頂けませんか?」」
ローズメルファも珍しく感情を表に出して聞く
「フッフッフッ、ローズメルファそんなに聞きたいのかい、あれは激しいトークバトルが終盤に向かい始めた所・・・・・・・・・・」
ギーラの説明は、シルキャドと唾を飛ばしながら周囲の事も忘れて小学生低学年レベルのちっちゃ~い事で言い争っていたが、話が進む度に何故かアホなギーラはシルキャドに言いくるめ始めて負けそうで体が震えて出して泣きそうになったので、最終兵器の魔法の言葉「尻尾掴むよ」が自然と口から出てシルキャドに逆転勝ちしてリーダーの威厳を守りきったとローズメルファに口の端を上げて「フッフッフッ」と言いながら自信満々に少し胸を張りながら満足顔で話し終える
「・・・・・・・・・・それはそれは良かったですわ・・・・・」
ローズメルファは、しばらく間を空けて無の感情でギーラの話の感想を話す、それからギーラは「危なかった~危機一髪や」を嬉しそうに連呼していて、シルキャドは「ギーラには逆らえない体なんだニャ」をションボリ地面を見ながら連呼をしていた、トラとオトギは自分たちが蹴り飛ばした鉄の扉を見ながら楽しそうに話し合っていたので、ギーラのアホな話は聞いていなかった
「皆さん、まだおられたのですね?」
しばらくギーラ達のアホな話の余韻が残る中、集落の一番偉い老人がこちらに向かって来る
「あああ、君がこの集落の代表かい、俺がこのパーティーのリーダーのギーラだよ」
ギーラは余程シルキャドに卑怯な勝ち方でも嬉しかったのか変な口調で老人を迎える
「あ~あ、これはこれは集落を救って頂いて有難う御座いました、お礼の言葉が遅くなって申し訳ありません、先程お見かけしたら・・・・・大事な話をされていたみたいだったので」
老人は先程ギーラとシルキャドのちっちゃ~い言い合いを華麗にスルーした事を思い出して言葉を選んで話をする
「それで、我々に何か用事でもあるのかな老人よ?」
ギーラの口調は戻っていない
「はい、私は助けて頂いてから集落の中を見回ったのですが、この集落を襲って来た奴らの顔は全員覚えていたのですが、3名程死体が無かったのでまた生きていて再度襲われでもしたら不安なので、何かご存じ無いかを確認をしに来ました」
老人はギーラ達を見て聞く
「なるほど、また襲われてこんな被害が出たら大変やね、俺とトラは後からこの集落に来たから、シルキャド、オトギ、ローズメルファ先に来てたから何か知ってる?」
ギーラはこんな被害は可哀想だと感じて、アホな卑怯な勝利の余韻と口調は元に戻りシルキャド、オトギ、ローズメルファに聞いている