第136話 狂人の殺戮者 16
「に、に、逃げろおおおぉ、逃げるんだあああああぁ」
「俺の一撃が効かないだとおおおぉ、お前ら逃げるんだあああああぁ」
「撤退だあああぁ、この大男はダメだあああぁ、撤退だあああああぁ」
<狂人の殺戮者>のメンバーは自称笑顔のオトギが見渡して視線が合うと一瞬でパニックに陥って、武器を捨てて逃げる者、折れた武器を何をしていいか分からずとりあえずオトギに投げて逃げる者、恐怖のあまり足を滑らせてシルキャドやローズメルファのいる方向に逃げる者、各々がただオトギの存在の恐怖で戦う意思を忘れて逃げる事しか考えられなくなり逃げ出す
「ハイ、ニゲルノカ、ナサケナイ、ナサケナイ、アト、オトギ、サッキカラ、オオオトコチガウ、ギーラ、オシエテクレタ、オトギ、オンナノコ、ギーラ、オシエテクレタ、ソレモユルセナイ」
オトギは実は先程からの大男発言を気にしておりそれが「大男→大きな男→男→オトギ女→オトギ男じゃ無い女の子」を理解してそれには怒りが込み上げる、それで男達が最後に逃げる時の「大男」の言葉に反応する、それから逃げ出す男達を情けないと思い「大男」発言をした男を発見してすぐに追いかけて一瞬で背後を取り背中を殴り体に大穴を開けて数メートル吹き飛ばし絶命させる、そのオトギの速度と破壊力に驚いて近くで逃げていた男4人もオトギは頭を吹き飛ばしたり体に大穴を開けて止めを刺す
「ニャ、あいつら逃げるニャ、どうする?、ローズメルファ?」
シルキャドは両腕を頭の上に乗せて男達がオトギから一目散に逃げ出す光景を見て話し掛ける
「そうですわね、オトギも5人殺していますし、それに恐怖で考えられ無いからだと思いますが何故か数名の方々が私達の方に逃げて向かって来られますわ」
ローズメルファは向かって来る顔が青ざめた男達を見る
「ニャ、そうなんだニャ、2,3,4、4人だニャ、あいつらは殺していいと思うんだニャ」
「はい、オトギは集落の方向に向かった方々を追いかけて行きましたからね」
「ニャ、それじゃあニャ、私が殺してくるニャ」
「あらあら、シルキャドは先程もたくさん殺しを楽しまれたのにしょうがありませんわね、分かりましたシルキャドにお任せ致しますわ」
「ニャ、ありがとニャ、ローズメルファ」
シルキャドとローズメルファは素早く会話を終わらせるとシルキャドは透明化で姿を消す、そして後ろのオトギの存在を気にして何回も振り返り前方のシルキャドとローズメルファは視界に入っていない、それにシルキャドの透明化にも気付かずに青ざめた必死な顔でたた向かって来る
「あらあら、それほどにもオトギが怖かったのですね、残念ですわ、オトギだけじゃありませんのですが、うふふ」
ローズメルファがいつもの笑顔で笑っていると、走って来る男達4人の首が少しの間隔をおいて順番に胴体から離れて血柱を上げながらゆっくりと走る力を弱めて4人とも前のめりに順番に地面に倒れていく
「ニャ、終わったニャ、あいつらキョロキョロしてたから楽だったニャ、にゃははははははは」
シルキャドが透明化を解いて笑顔でローズメルファに近付いて傍で話し掛ける
「そうですわね、シルキャドご苦労様でした、それではオトギも向かいましたので後を追って私達も集落のある方向に向かいましょうか?」
「ニャ、賛成ニャ、集落に行くんだニャ、けどその前にニャ、あの少年も助けておくニャ」
シルキャドとローズメルファは軽く頷き合うと集落の入り口の近くにある十字架の貼り付け台に向かって歩いて行く
「ニャ、お前大丈夫かニャ、元気はあるのかニャ?」
シルキャドは張り付いていた少年の拘束を解くと地面に座らせて聞いている
「・・・・・はい、僕は全然平気ですが・・・・・お父さんとお母さんが・・・・・」
少年は縄で縛られていた痛々しい赤くなった手首を擦りながら下を向いて小さな声で話す
「ニャ、そうだニャ、生きているのはお前だけだニャ」
「・・・・・はい・・・・・そうです」
「ニャ、そうだニャ、私には何も出来ないニャ・・・・・」
シルキャドは両親を酷い殺され方をして憔悴をして落ち込んでいる少年に言葉が続かない
「そうですわね、私達にはあなたのご両親には何も出来る事はありませんが、この集落を滅茶苦茶に酷い状態にした人達を殺してあなたの仇を討つ事は出来ますので・・・・・まあそれぐらいしか私達には出来ませんが後はあなたを含めた集落の人々が殺された方々の分まで頑張って生きてこの集落を復興させてるのが亡くなられたお父様やお母様や集落の方々が喜ばれる事では無いでしょうか?」
ローズメルファは少年の隣で柱に貼り付けられていた両親の拘束を解いて地面に丁寧に並べて体中の投げナイフを抜き取ってから少年の前で腰を屈めて下を向く少年の目を見て話す
「・・・・・はい・・・・・有難う御座いました・・・・・僕を助けてくれて・・・・・」
少年は顔を上げてシルキャドとローズメルファを見てそう言うと隣に並べられた両親に気付いてゆっくり立ち上がると両親の遺体に近付きその場で膝を付いて大きな声で泣き始める
「ニャ、私は悲しいニャ、ローズメルファ」
シルキャドは両親の前で泣いている少年を見て話す
「はい、そうですわね、悲しいですわね、後は私達に出来る事は先程少し少年にもお話しましたが仇を討つ事だけですから、シルキャド気持ちを切り替えて行きましょう」
「ニャ、分かったニャ、行くんだニャ」
シルキャドとローズメルファは最後に泣いている少年を見てから集落の門を潜って中に入って行く
「クッ、どうする・・・・・せめてレコデナンがいれば何とかなるかもしれないが、クソッ、あいつどこに行きやがった」
二メオンはオトギの強さに体が固まっていたが、オトギが集落方向に追いかけて向かって行ったのを確認して体が動き出したのでオトギから逃げるように全速力でレコデナンが先程入っていった森の中を追いかけている
「クソックソックソッ、本当に何処に行きやがった」
二メオンは必死にレコデナンを探しながら森の中の木々を避けながら真っ直ぐ走る
「おっ?、二メオンどうした?、そんなに慌ててどこに行くんだ?」
するとレコデナンが大の字で地面に寝ていて首だけを走って来る二メオンを見つけて声を掛ける
「おっ、こんな所にいたのか探したぜ」
「あああ、俺はここにいるぜ」
レコデナンは二メオンが走るのを止めて歩いて来るのを確認すると首を元に戻して空を見る
「聞いてくれよ、レコデナンあの、後恐ろしい化け物が俺達の所に来た、それでな・・・・・・・・・・」
二メオンはレコデナンにオトギの恐怖を必死に説明をして話しを終える
「あ~あ、そんな事かどうでもいいな、今の俺にはどうでもいい」
「あっ、どういう事だ?、レコデナンお前ふざけてるのか、あの化け物は俺達を一瞬で5人を・・・・・・・・・・」
二メオンはレコデナンのまったりモードに気付いて少し冷静になり話しを途中で止めて周囲を見渡す、するとオオカミ獣人と思われる子供が首が無く2体服を着ていない状態で地面に転がっているのが二メオンは見つける、それにレコデナンも全身血だらけで大の字で寝ている、そこで二メオンは全てが分かる
「あっ、そうかレコデナンは趣味が終わったんだな・・・・・」
二メオンは小さくそう言うと大の字で目を瞑り幸せそうな顔のレコデナンを黙って見ている事しか出来なくなりその場で立ち尽くす