第13話 遠征
帰りは何事も無く町まで戻り北門を通ってギルドまで討伐報酬を貰いに行き建物の中に入りカウンターまで進む
「いらっしゃいませ」
いつもの受付嬢が顔を上げる
「コボルトの討伐終わりました」
素材を渡す
「はい、お疲れ様でした少々お待ち下さい」
受付嬢の書類作業を待つ
「お待たせしました、こちらが今回の報酬ですね、後ギーラさんとトラさんは今回の討伐依頼でランクアップでFになりましたおめでとうございます」
「あっ、そうなんですねランクがFになると何か変わるのですか?」
「そうですね、討伐依頼のモンスターがレベルアップして近場以外の討伐依頼も出来るようになりますね」
「へえ~、なるほどそうなんですね分かりました、ではまた宜しくお願いします」
と言い他に話す事も無いので早々とカウンターを後にしてギルドの外に出る
「よ~し、今日の仕事もお終い宿屋でも探してゆっくりしようかな」
「ウン、ワカッタ」
「ニャ、分かったニャ」
前回の宿屋で部屋を借りてから食事をして就寝
それから半年程このカレダー町で滞在して順調に依頼をしつつのんびり毎日生活を続ける、するとギーラ達もランクがDにアップしていた、EランクからDランクに上がるのがカレダー町ギルドの依頼内容では、モンスターの強さ、素材の質で想像以上に厳しかったが半年の間1回の討伐依頼でギーラ達は大量のモンスターを狩っていたので自然と上がっていった、するとカレダー町付近のモンスターの数も減少して平和になり住みやすくなっている、それにギーラ達はランクアップが目的でこの町に滞在していたのでは無かった治安も良くこの町に大きな不満も無く特に目的も無かったので3人は楽しく暮らしていた、そして今日も始まりの朝を迎える
「う~ん、良く寝た~おはよう」
ギーラが目覚める、すると毎朝のお約束でトラが右側で俺を横から抱きしめながら半目でこっちを向きながら寝ていて左側はシルキャドが左から俺を抱きしめ口をムニュムニュさせながら寝ている、一応部屋の中にはベットは3つあるが・・・・・
「はい、は~い、起きる毎朝毎朝俺暑いんですけど」
2人から逃れて体を起こし両手を上げて伸びをしながら離す
「ウン、アサオキル、オハヨウ」
トラも半目から目覚めて大きな体を起こし両手を上げて伸びをしている
「ニャ、朝ニャ~、けど私はまだ寝るニャ~、それではおやすみニャ~」
これも半年程生活をしてシルキャドも完全にギーラとトラに馴染むと毎朝お約束の二度寝宣言をして寝ようとするシルキャドの尻尾を掴む
「ニャニャニャ~、起きるニャ起きるからニャ、尻尾から手離すニャ~」
すると目を擦りながら「尻尾はダメニャ、尻尾はダメニャ」っと小さな声で言いながら両手を上げて伸びをする、そして不器用な大男と幼くて着替えるのが遅い2人を手伝いながら服を着替えて1階の食堂スペースに向かう、宿屋の1階のカウンターの前を通ると半年間部屋を借りて顔馴染みになった主人と従業員に軽く挨拶して空いているテーブルの椅子に座る食堂スペースにも顔馴染みになった冒険者達が食事をしていたので軽い挨拶をしながら食事をする、ギーラはいつもの朝食セット、シルキャドは可愛く少量のお子様セット、トラは特別に頼んである引くぐらい大量の生肉セットを食事をする
「さてっ、今日もギルドで依頼受けて稼ぐからね、モグモグ」
「ニャ、分かったニャ、今日も頑張るニャ、パクパク」
「ウン、コロス、トラ、コロスコロス、グチャグチャ、バリバリ、ボキボキ、ギャギャギャ、グチャグチャ、グギャグギャグギャグギャ、バリバリ、コロスコロス、トラ、コロス」
毎朝の恒例の食事シーンを見ながら話を終え食べ終わって席を立ちギルドに向かう、向かう先にも顔馴染みになった人達や冒険者に挨拶をしてギルドに入り壁に貼ってある依頼書の前に行くすると後ろから声がかかって振り向くと
「ようギーラ、今からお仕事か?」
会えば話をするようになった40代ぐらいの人間の戦士ルーガーンが話しかけてくる
「あ~あ、今から依頼を見て出発だ」
「そうかそうか、俺達は仕事が終わって戻って来て今から酒を飲んで楽しむ所だ」
後ろのテーブルに座る3人の仲間のパーティーを指差しながら答える
「それはそれは、ゆっくり楽しんでくれ」
「あ~あ、そっちも気をつけてくれ、ま~あギーラ達は大丈夫だとは思うがな」
「ありがとう、それじゃ」
「あ~あ、それじゃな」
ルーガーンはそう言うと仲間の座るテーブルに戻って行く、それから他の顔見知りになった冒険者と普段の会話をしてからまた壁の依頼書をまた見直す
「流石に近場は無くなったな~、しゃ~ないまた遠征やね」
Dランクに上がってから1週間ぐらい前後の遠征の依頼が出来るようになりギーラ達は2日前に戻ってきたばかりだ
「よしっ、今回も遠征するよ」
トラとシルキャドを見て言う
「ウン、マカセル、ドコデモ、ツイテイク」
「ニャ、遠征良いニャ~、楽しいニャ~」
2人のいつもの返事を聞き依頼書を見返す
「え~とっ、オーク、リザードマン、ミノタウロス、キラーアントで目ぼしい所でこの4つか距離もだいたい往復で6~8日、ん?、オークだけが報酬が少し高いな他の3つは同じくらいでオークだけが5割り増しか~じゃっオークやね」
オーク討伐に決めてカウンターに行き依頼書を受付嬢に渡す
「すいません、この依頼でお願いします」
「はい、かしこまりました」
受付嬢が依頼書を受け取る
「どうしてこれだけ他の3つに比べて報酬が高いんですか?」
「え~と、こちらの依頼はオークの近くにある村が深刻な被害でして田畑、家畜はもちろん村の人も数名オークの被害で亡くなっており緊急なので報酬が高いですね」
別の紙のメモを見ながら受付嬢が答える
「そうなんですか、分かりましたこの依頼受けますのでお願いします」
「はい、よろしくお願いします」
受付嬢がそう言い依頼を決定してから地図を借りてルーガーンがまだいたので手を上げて挨拶してギルドの外に出る
「聞いてたと思うけど緊急みたいなので今から急いで準備して向かうね」
「ウン、イソグ、キンキュウ、イソグ」
「ニャ、大変ニャ、村の人も被害出てるからニャ、出来るだけ急いだほうが良いんだニャ」
そう言いながら道具屋で必要な物を揃え最近良く使う馬車で目的地まで運んでくれる馬車屋に行き地図を見せ料金を払う
「また頼む、行きは2日ぐらいかな?」
「はい、ギーラさんこの場所だと大体そうですね、道も舗装されてるのでそれぐらいで大丈夫です」
毎回運んでくれる若い青年カイルと話す
「じゃ、よろしくカイル、それじゃあ~トラ、シルキャド荷物を馬車に積んでくれるかな~」
馬車は馬が2頭で進み荷台には水を弾く布の屋根が付いており奥が荷物置き場で手前が客が座るスペースがある、そこにトラとシルキャド(ほぼトラ)が荷物を積み込みついでに馬の餌も積んで3人が乗り込む
「準備大丈夫ですね、いつも餌積んで頂いてすみませんでは出発します」
「気にしなくて大丈夫ですよ」
ギールが返事してカイルが少し頭を下げて馬車がゆっくり進み出す
「ニャ、馬車ニャ、歩くより楽ニャ、楽しいニャ」
シルキャドが嬉しそうに話す
「ウン、トラ、セマイ、ケド、ガマンスル」
トラは天井部分に頭を付けながら言う
「ははは、トラは大きいからしょうがないよ少し我慢してね、それにしてもシルキャドは馬車好きやね馬とか動物も好きやしね」
「ウン、トラ、ガマンスル」
「ニャ、だってニャ、楽チンニャ、馬も可愛いニャ、さっきもニャ、旅するの喜んで話してたニャ」
「え?、そうなの馬と話せるの?」
「ニャ、そうニャ、今回も一杯歩けるニャ~、言ってたニャ」
「へえ~、それは凄い話せるのは馬だけ?」
「ニャ、違うニャ、犬も猫もニワトリもニャ、何でも話せるニャ」
「じゃ、モンスターとかはどうなん?」
「ニャ、う~ん、賢いのは話せるけどニャ おバカなモンスターは無理ニャ」
「なるほど、動物は殆んど話せてモンスターは話が出来る出来ないがあるんやね?」
「ニャ、そうだニャ」
「凄い凄いな~、シルキャド賢いな~」
「ニャ、そうニャ、私は賢いニャ、ニャハハハハハ~」
ギーラはシルキャドの能力を喜び頭をポンポンするとシルキャドも笑って喜ぶ
それから何回か馬の休憩を挟み何事も無く1日目の夜の宿泊地点の場所に到着する、テントを張り食事をして1日働いてもらったカイルには就寝してもらう、トラに聞くと危険は無く安心の報告を聞いたが念の為、ギール&シルキャド2人で組んでトラは1人の順番で交代で見張りをして朝を迎える
2日目の馬車の旅も順調で交通量が多いのでよく他の馬車や旅人とすれ違いこれだけ人通りがあれば襲撃などの心配も無いだろうと思い安心して馬車の旅を続ける
「ギーラさんそろそろ目的地の近くです、私はギーラさん達を送り届けたら1度町まで戻りまた2日後にこの地点に戻ってきますので」
御者席のカイルが話しかける
「うん、分かった、それで宜しくまた頼むね」
「はい、分かりました」
カイルがそう言い到着すると荷物を降ろして終わるとカイルが軽く頭を下げて御者台に乗り身軽になった馬車で軽快に町へと戻って行った
「よしっ、みんな準備大丈夫やね、それじゃオークのいる場所まで歩いて行くからね」
ギーラはカイルの馬車を見送ってから話す
「ウン、ダイジョウブ、オーク、コロス」
「ニャ、分かったニャ、準備はOKニャ」
それぞれの返事を聞いてギーラ達は討伐目的のオークの場所まで歩き始める