第126話 狂人の殺戮者 6
「がはははははははは、それにしてもスグラアゼース町はしばらくお預けだな」
「けどよ、テレンサー副隊長も急にスグラアゼースに行けとか何を俺達にさせたいのかサッパリ訳が分からないな」
「がはははははははは、ま~あいいじゃねえか、上手い飯に上手い酒それにいい女が味わえる任務ならそれだけで俺はテレンサー副隊長の命令には喜んで従うぜ」
「お前はあいかわらずだな、ま~あ俺達みたいな人間は考えるより動くことが任務だからな」
「そうだそうだ、あまり考えるな、それにしてもスグラアゼースは良かったな~、がはははははははは」
トラ達が集まっている場所に細身で黒髪を後ろで一つに縛り腰に剣を携えた男と顔中髭だらけで大きな体をして背中に大きなハンマーを背負っている男2人が森の中の1本道を歩いて来る
「がははははははははって、んっ?、何だあいつらは?」
「さあ~な、おかしな組み合わせの奴らだな」
「そうだな、大きな魔物?もしかしてゴブリンか?、それとでっかい白いクマのぬいぐるみ?その横には小さな女の子だと?」
「それにゴブリン達の方は布を巻いているだけだしな、布の巻き方から見たらもしかしてオスとメスなのかもな、後あのぬいぐるみは動くのか?」
「どうだろうな?、とりあえずこんな森の中だ警戒だけは怠るなよ」
「そうだな、そうする」
男達はその様な会話で分析しながらトラ達が立っている森の中の1本道を歩いて近付いて来る、ギーラは木の陰で死角で幸せにも涎塗れで気持ち悪すぎる顔と存在はスルーされている
「・・・あの人達・・・こっち・・・来る・・・」
レーンアイルがチラチラ男達を怖がりながら見て話す
「ウン、アイツラ、イマノトコロ、ダイジョウブ、ニオイ、ダイジョウブ」
「ハイ、レーンアイル、アンシン、アンシン」
トラとオトギはレーンアイルを安心させる為に声を掛ける
「そうだよ、レーンアイルはまったく心配する事はないよ、僕もいるしトラとオトギもいるからね」
ホワイトアイルも口を動かさないでレーンアイルに話し掛ける
「・・・分かった・・・」
「え~と、こんな所で何をしているんだ?」
男達の細身の方がトラ達に近付いて声を掛ける
「ウン、マテイワレテ、マッテイル」
トラが細身の男に素直なので素直に答え返す、細身の男はトラが話すのを少し驚いたがこのゴブリンは普通ではないと感じていたので驚いた事を顔の表情には出さずに頷く
「そうなんだな、それでいつまで待っているんだ?」
「ウン・・・・・、モウオワッタ、オモウ、ハナシオワッタ」
トラは鼻をクンクン動かしてから細身の男に答える
「それは良かったな、それで俺達はこのまま先に進んでも大丈夫なのか?」
「ウン、オマエタチ、トラノテキカ?、テキジャナイナラ、トラ、ナニモシナイ」
「あ~あ、もちろん俺達はお前の敵ではない、ただの旅行者だ」
「ウン、ニオイデワカル、オマエタチテキジャナイ、デモ、ニオイカワレバスグコロス」
「そうなんだな、それじゃ俺達は行かせてもらうからな」
「ウン、サヨナラダ」
トラと話しをしていた細身の男はトラの正面に立って話し始めてから気付いていた「このゴブリンは駄目だ、正面で話しをしているだけでも全身から汗が吹き出して、攻撃すると思った瞬間に死ぬ事が決定する事を、近くにいたメスゴブリンとくまのぬいぐるみも同じく殺気を放った瞬間に駄目だと悟る」
「じゃあ、行くぞ」
細身の男は髭の大男に話す
「あああ」
髭の大男も頷く
それから2人の男は森の中の1本道を進んで行く
「何ださっきのアレ、ありえないな・・・・・」
「あ~あ、汗がまだ止まらないぜ、生きた心地もしなかったしな」
「・・・・・そうだな」
少し歩くと森の奥からガザガサと草木が揺れて顔はオオカミ体は人間の獣人が3匹飛び出して来る
「俺ああぁ・・・・・腹減ってるううぅ、お前ら餌ああぁ、だから喰うううぅ」
「何も喰ってないいいぃ、腹減ったたたぁ」
「人間んん、不味いいいぃ、けどおおぉ、腹ああぁ、減るるるぅ」
そう言いながらオオカミの獣人は男達に飛び掛かる
「チッ、いきなり俺達が飯かよ・・・・・」
「何も異変は感じなかったけどな・・・・・クソッ、迎え撃て」
細身の男と髭の大男は剣とハンマーを取り出して迎え撃つ準備をする
「ウン、サッキノヤツラ、コロサレル」
トラが男達が進んで行った1本道を見ながら言う
「ハイ、ヨワイヤツ、スグシヌ、アタリマエ」
オトギもトラと同じ方向を見て話す
「・・・あの・・・トラとオトギ・・・」
レーンアイルが低い小さな声で話し掛ける、ホワイトアイルは黙ってレーンアイルを見ている
「「「ナンダ、レーンアイル」」」
トラとオトギが同時にレーンアイルを見てハモリながら聞く、オトギはトラが先程の男達と話している間にちゃかり気持ち悪すぎて終わってる顔のギーラをお姫様抱っこをして嬉しそうな顔をしているが・・・・・
「・・・あの・・・あの・・・助けないんですか・・・先程の人達を?・・・」
「ウン、ナンデダ、レーンアイル、トラ、ギーラヲ、ココデマツ」
「ハイ、オニイチャントオナジ、ココデマツ、ヨワイヤツ、シヌ、アタリマエ」
「・・・ですけど・・・ですけど・・・襲われて危険な人は助けても・・・良いと思います・・・」
レーンアイルは恐る恐る答える
「ウン、ソレジャ、ホワイトアイル、オマエガタスケロ」
「ハイ、ソウダ、オトギ、ギーラダッコ、イソガシイ、ホワイトアイル、イケ」
「僕はレーンアイルの傍からは離れないから、助けには行けないよ、ゴメンね、レーンアイル」
トラとオトギとホワイトアイルはハッキリと先程の男達を助ける事はしないとレーンアイルに話す、トラはここでオトギがギーラをお姫様抱っこをしている事に気が付いて悔しそうな顔でオトギを見る
「・・・そうなのですね・・・分かりました・・・」
レーンアイルは悲しそうな顔で下を向いて地面を見る
「でもね僕は思うんだけど、ギーラは喜ぶと思うよ、だって人助けは悪いことでは無いしそれにとても良い事だからね、ギーラが起きたらレーンアイルがちゃんとギーラにトラとオトギは人助けの良い事をしたと教えると思うしね、ねっレーンアイル」
ホワイトアイルは下を向いて残念そうなレーンアイルに優しく話す
「「「ホントウカ、レーンアイル、ヒトダスケ、ギーラヨロコブノカ」」」
トラとオトギは大きな声でレーンアイルに聞き返す
「・・・うん・・・ギーラ喜ぶと思う・・・私・・・ちゃんとギーラに報告するよ・・・」
それを聞いたトラとオトギは爆発的なスピードで先程の男達が襲われている現場に消えて行った、オトギは何故かギーラのお姫様抱っこはまだまだ止めたくないのか嬉しそうにお姫様抱っこ状態で消えて行った、ギーラの顔はオトギの走る風圧で上下左右に揺れもの凄い事になっているが誰も知られずに忘れ去られたのだった・・・・・
「ホワイトアイル、ありがとう、トラとオトギに話してくれて私凄く嬉しかったよ」
レーンアイルは周囲に誰もいないが内緒話なのでホワイトアイルの耳元でスラスラ話しをする
「全然良いよ、僕が助けに行ってもいいんだけど、やっぱりレーンアイルから離れる訳にはいかないからね、それにトラとオトギはとても優しいから助けに行ってくれると思ったからね」
ホワイトアイルは純粋なレーンアイルには「ギーラを利用した事は内緒、内緒、後トラとオトギはギーラに褒められたいだけだけど」と頭の片隅に閉じ込めてレーンアイルを見てからすでに姿の見えなくなったトラとオトギの進んで行った方向を見る