第120話 弱いのね
「がはははははははは」
「久しぶりの町の中での酒だ、今日は思いっきり飲むぞ、相棒」
「がはははははははは、当たり前だ、バカヤロー、この店の酒を空にしてやるぜ」
「おいっ、お前がここの主人か?、とりあえず酒だ酒を持ってこい」
酒場の扉が開いた瞬間に少し痛んだ軽装備で腰に剣を携えた2人組の男が大きな声で入って来るなり酒場の主人を睨み指を指しながら注文をしてギーラ達が座る横のテーブルに勢い良く座る
「あらあら、お元気な方達ですわね、若いって素晴らしいですわね、そう思いませんかレーンアイル?」
「・・・はい・・・」
レーンアイルは少し震えて男達から視線を外してローズメルファに答える、レーンアイルはもちろんホワイトアイルをギュンギュンに抱きしめている
「あらあら、そんなに怖がらなくても大丈夫ですよレーンアイル、うふふ、あらっ、コップが空になっていますね、何か頼みますね?」
「・・・はい・・・」
「すみません お酒のおかわり頂いて宜しいでしょうか~?」
ローズメルファは立ち上がり店の従業員に声をかける 酒場の主人が大きな声で入ってきた2人組みに酒を運び、従業員がレーンアイルに同じ酒を運ぶ
「それにしても、ギーラはお酒はそれ程強くは無いみたいですわね、うふふ」
「・・・はい・・・」
ギーラは酒を飲む前はローズメルファとレーンアイルに「ふっ、俺酒豪ですから、引いても知らないゼ」ぐらいの勢いで自慢していたがコップの酒を3杯飲み終えた所でテーブルに身を委ねて口から涎を垂れ流しながら眠っている
「レーンアイルと同じお酒を飲んでいますし、まあ余程お疲れになっていたか久しぶりのお酒で酔いが早く回ったかも知れませんわね、ですからギーラはこのまま気持ち良く眠って頂いて私達はお酒を楽しみましょうね」
「・・・はい・・・私は・・・まだ飲みたいです・・・」
ローズメルファとレーンアイルはギーラの醜い寝姿を見て話をしてから酒を飲むのを再開する
「しかし久しぶりの町の中で飲む酒は最高だな~」
「確かにな、いつもはあいつらに気を使ってるから上手い酒も不味くなるからな」
「あああ、そうだな、時間はまだまだあるからこの機会に日頃の鬱憤をこの町で晴らして飲みまくって遊びまくってやるぜ がははははははは」
「流石だな相棒、俺もそれに付き合うぜ がははははははは」
ギーラ達の横のテーブルに座った2人組は酔いも回ってきたのか、酒場の中は他のテーブルの客達も各々楽しんでガヤガヤ大きな雑音はしているが隣に座っているローズメルファとレーンアイル(ホワイトアイル)にははっきりと会話が聞こえて来る
「うふふ それでレーンアイルはホワイトアイルが大好きなのですわね、可愛いお洋服もお揃いでいつも一緒に行動していますね」
「・・・はい・・・私ホワイトアイル・・・大好き・・・離れない・・・それにこの洋服私が・・・作りました・・・」
「あらあら、そうなのですね、裁縫がお上手なのですね、これはホワイトアイルも喜んでいるでしょうね」
「・・・はい・・・」
ローズメルファとレーンアイルは隣のテーブルの2人組の大きなバカ笑いの会話を聞き流しながらお酒を飲んで雑談をしている、ホワイトアイルは「喜んでいる」の所で2人だけに分かる様に小さく頷いている
「ニャ、ギーラ、ローズメルファ、レーンアイル、そしてホワイトアイルやっとニャ、見つけたニャ」
「ウン、ココニイタナ、トラ、ニオイデ、ワカル」
「ハイ、オトギ、イソイデスグニキタ、ヤキトリウマカッタ」
「ニャ、焼き鳥も焼き魚もニャ、上手かったニャ~」
「ウン、ヤタイノニク、ゼンブ、トラ、クッタ」
「ハイ、オトギ、ノコサズクッタ、エライエライ」
トラ、シルキャド、オトギはギーラ達を探しに宿屋を飛び出したが、当然トラとオトギの優秀な鼻の性能に引っかかり焼き鳥と焼き魚の屋台の商品を綺麗サッパリ食べ尽くしてから口の回りをべチョべチョに汚して酒場の扉を開けてローズメルファとレーンアイルと目が合って笑顔で報告している
「あらあら、あいかわらず屋台の商品を食べるのがお好きですね、うふふ」
「ニャ、そうでも無いニャ、私はニャ、どっちでも良かったけどニャ、この筋肉ムキムキ達がニャ、ど~~しても食べたい食べたい言うからニャ、仕方なく私もニャ、付き合っただけだニャ、もうニャ、この食いしん坊達にはニャ、は~ヤレヤレだニャ~」
「「「・・・・・・・・・・」」」
トラとオトギが布だけを巻いた格好で布だけの姿で口の回りをべチョべチョにしているシルキャドを無の表情で見つめている
「あらあら、そうなのですね、うふふ」
ローズメルファはニコニコ笑顔で答える
「ニャ、所でニャ、ギーラはニャ、何で寝てるんだニャ?」
シルキャドはローズメルファに醜い無様で終わっている顔で寝ているギーラの頬を指で嬉しそうにツンツンしながら聞く
「えええ、私達はこの酒場でお酒を飲む事になったのですがギーラはお酒が少し弱いみたいで気持ち良くなったみたいでお休みになりましたね」
「ニャ、なるほどニャ、あいかわらずニャ、ギーラはニャ、情けないニャ、情けない世界大会があったらニャ、ベスト8にはニャ、必ず入るニャ」
シルキャドはまだギーラの終わっている顔の頬を嬉しそうにツンツンしながら良く分からない大会をヤレヤレ声で話す
「うふふ、そうなのですね、所でお座りになってお酒でも飲みますか?」
ローズメルファが立ったままの天然と筋肉コンビに聞く
「ニャ、私はニャ、お酒は苦手だニャ、まずこのニオイがニャ、無理だニャ」
「ウン、トラ、ドッチデモイイ、ケド、イマハイラナイ」
「ハイ、オニイチャントオナジ、オトギ、マダクチノナカ、ニクトサカナ、ニオイアル、ダカライラナイ」
シルキャドとはギーラの横の空いている椅子に座って、トラとオトギは自然に仲間を守る様に座らずに立ったままでいる、シルキャドは酒は苦手と拒んで水を頼み、トラとオトギは酒は飲めるが今は口の中の焼き鳥と焼き魚の残っている幸福感を楽しむ為に酒はいらないと拒んでギーラの醜い無様で終わっていて涎塗れの顔を何故か優しい笑顔で見守る