第12話 名前はシルキャド
ギーラ達は奴隷屋を出て3人で横並びで歩きながらギーラが話始める
「よし、これで無一文になりました、このままじゃ夜は野宿になるからギルドに行って依頼を受けよう」
「ウン、カネ、ナクナル、カセグ、コロス、カネタマル」
「ニャ、ご、ご、御なさいニャ・・・・・わ、わ、私のせいなんだニャ・・・・・」
二人が意見を言う、トラは自分を貫き何故か胸を張っていつものスタンス、猫族の女の子は責められたと思いオドオドしながら後ろに下がって謝りだすがギーラは聞いていなかった様に話を続ける
「けど無一文になってめっちゃ貧乏になったけど新しい仲間が出来た、それで俺は十分~、さあ~みんな拍手パチパチパチパチパチ」
ギーラは二人を誘導するようにいきなり拍手を始める、トラはもちろんギーラを真似て大きな手で拍手を始めて、猫族の女の子は驚いたが訳が分からずとりあえず拍手をする、拍手をしながら歩く3人を周囲の町の人々は当然変な目で見るがギーラとトラはもちろん気になどせず拍手の音量を上げていく、猫族の女の子はやはり恥ずかしいのか周囲の痛い視線を気にしながら拍手を続ける、それから数秒歩きギーラが「ピタッ」と拍手を止めるとすぐにトラも拍手を止める、猫族の女の子は恥ずかしさで自然に下を向いていて数秒後に「ニャ???」と驚いてから拍手を止める
「はい、めでたい時は拍手をしましょう」
なぜかギーラは言い切る
「ウン、メデタイ、ハクシュ、スル、トラ、オボエタ」
もちろん同意して
「ニャ?、ニャ?、ニャ?、ニャ?、ニャ?」
訳が分からず
「はいっ、みんな集合~集まって~~~」
集合しているが言い出し
「それではお待たせしました発表します」
いきなり言い出し
「猫娘の名前が今決定しました、銀虎の銀はシルバー、猫娘の猫はキャット、猫娘の娘はドーター、そう~3つの文字を合わせてシルキャド、そう~~~シルキャドに決定しました、はいっ、これはめでたいですね、そう~めでたい時は拍手です、はいっ、みんなもどうぞパチパチパチパチパチ」
またギーラの先導で3人は拍手を再開する
「シルキャドどう?、何故か俺の本名の銀虎の名前入ってるし、だけどトラは入ってないし、猫娘からも取ってるし色々謎多いけどどう?」
「ニャ、シルキャド、シルキャドか~、良い名前だニャ、名前は嬉しいニャ、ありがとニャ、実は私は名前を襲撃されたショックで忘れてたからニャ・・・・・だから本当に嬉しいニャ、ありがとニャ」
「ウン、ギーラ、イイ、シルキャド、アタラシイ、ナマエデ、ガンバレ」
こうしていきなりシルキャドの新しい名前が決まりギーラとトラも大喜びで拍手、元猫娘のシルキャドは新しい名前が決まり恥ずかしいのと嬉しいので少し涙を流しながら今度は恥ずかしさを忘れて全力で拍手をしている、そして拍手の祝福の時間が終わりギーラ、トラ、シルキャドの3人は仲良くギルドを目指す為に歩き始める
「ニャ、良いかニャ、いいかニャ、ちょっと良いかニャ?」
シルキャドが少し照れた感じで聞いてきた
「んっ、シルキャド、何?」
「ウン、ドウシタ?」
ギーラとトラはシルキャドを見ながら聞き返す
「ニャ、ニャニャニャ・・・・・ギーラ、トラってニャ、私も呼んでも良いかニャ?」
シルキャドは勇気を出して照れながら聞いて来る
「うん、全然ええよ、別にオヤビ・・・・・ギーラって呼んで」
スベリ防止システムが急発動して・・・・・
「ウン、シルキャド、ナカマ、トラ、ヨブ」
ギーラとトラは心良く承諾する
「ニャ、ギーラトラ宜しくなんだニャ、ギーラトラ宜しくなんだニャ、ニャハハハ~~~」
シルキャドは嬉しさで名前を2回呼び笑顔を浮かべて大喜びしている
それからギルドの建物の前に3人で到着して扉を開けて中に入ると暇な時間帯なのか冒険者も少なく依頼書の壁の前に進み依頼を眺める
「ふむふむ、コボルト、ウルフ、スライム、ゴブリンか~、ゴブリンはトラが無理なんで除外して討伐依頼はGランクだとやっぱり数は少ないな~まあ今日の宿屋で泊まれる金さえ稼げればいいか~じゃあこのコボルトに決定~」
あっさりギーラは決めてトラとシルキャドも賛成して依頼書をカウンターに持っていく
「この依頼お願いします、それから仲間が増えたのでパーティー登録もお願いします」
前回と違う受付嬢に渡す
「はい、畏まりました少々お待ち下さいね」
少し待ち登録の記入用紙を受け取り必要事項を書いて受付嬢に渡す、シルキャドのギルドカードを貰い詳しく討伐場所を聞き地図を借りてギルドから出る
「よしっ、討伐場所で少しでも粘って1匹でもコボルトを殺しまくり稼ぎましょう」
「ウン、ギーラ、サスガ、トラ、サンセイ」
「ニャ、私はどうすれば良いのかニャ?」
シルキャドが不安げな顔で聞いて来る
「そうやね~、しばらくは俺の横で見学しようかな、まあ~まずは戦闘の流れや現場の雰囲気を肌で感じてからでいきなりは無理やしゆっくりゆっくり覚えていったらええよ、それに安心して」
そこでギーラはトラの腕をポンポンと2回叩き
「この筋肉ムキムキの真っ黒な巨人物凄くヤベェ~から安心して俺の横で見ててね」
ギーラはシルキャドに笑いかけ安心させる
「ニャ、そうなんだニャ、じゃあニャ、安心して頑張って勉強を私はするんだニャ」
シルキャドはギーラとトラに話す
「ウン、マカセル、ダカラ アンシンスル、シルキャド」
トラは胸を張りシルキャドに笑顔を作り3人は歩き出す、それから地図を見ながら討伐場所を確認して前回の少し奥なので近い北門を目指し3人並んで歩き北門を通って外に出て森に向かう、しばらく歩き森に入り昨日ウルフを討伐した広場に進み周囲を見渡すが昨日の今日なので襲われる事も無くさらに奥に進んで行く、討伐場所は少し広がった広場で地面の砂利が多く大きな石も目立ち周囲は大小の木々が囲んでいる
「はい、到着で~す、ここが討伐場所で~す」
ギーラは明るい声で言う
「ウン、ツイタナ、コボルト、コロス」
「ニャ、い、い、いよいよだニャ き、き、緊張してきたニャ ド、ド、ドキドキするんだニャ」
それぞれの意見を聞いてウンウンとギーラが頷き大きな木の陰に3人は座り
「それでは今回の作戦を発表しま~す」
トラとシルキャドがギーラの明るい声に反応して見る
「それは~俺が囮で~後はトラにお任せ作戦で~す」
二人の目が???マークなので説明する
「まずは討伐場所のこの広場の中央付近手前で俺が囮になりコボルトを誘導しま~す、そこで奥の森から現れたコボルトをまず1、2匹投げナイフで殺して俺に注意を引き付けま~す、そうしたらコボルトは俺に怒り全員向かって襲って来ま~す、最後にそこで集まった所をトラが暴れる作戦で~す」
シルキャドの緊張をほぐす為に半分本気半分冗談でこの作戦を話し終えギーラはトラとシルキャドを見ると目の前にはウンウン頷く筋肉ムキムキ大男と幼い猫娘の姿が目に入る
「ギーラ、テンサイ、トラ、サンセイ、アバレルマカセロ」
最後の「暴れる任せろ」のワードを強調してトラはさらに大きく頷く
「ニャ、そういう作戦なんだニャ、分かったニャ、なるほどニャ~」
シルキャドも「なるほどニャ~」囁きながら頷く
ギーラは「まあ~素直なお二人さん」と思いカレダー町のギルドの前で話したシルキャドが「俺の横で勉強ウンチャラカンチャラ」はどうしたの?とかトラは「暴れて殺したいだけですよね」と思いつつも準備を始める
「ギーラ、コボルト、キタ」
準備を終えて木の陰で隠れて待っているとトラが小さく囁く
「よし、シルキャドはこの木の陰で隠れて何かあったら俺とトラが助けるから安心しててね」
ギーラも小さく囁き
「ニャ、分かったニャ、OKニャ」
シルキャドが頷くのを確認してギーラは広場に歩き出す、広場の奥の森がガサガサ騒ぎはじめギーラは身構える、すると奥から1匹の素手のコボルトが現れギャギャギャ喚きながらこっちに気付きこちらに勢い良く走り出すギーラは<百発百中>の文字が赤色を確認して右腕の投げナイフを投げてまず1匹目のコボルトの額に刺して絶命させる
「お~い、こっちこっち~~~」
ギーラが叫ぶと森の奥からゾロゾロ現れ一瞬死んでいるコボルトにギョッと驚くが獲物のギーラが近くで叫んで呼んでいるので先を争い向かって来る、ギャギャギャと全員が目を血走らさせ口から涎を垂らし 木の枝、素手、何かの骨を頭上に掲げながらギーラを殺しに全員が目前に迫って来る、その瞬間ギーラが小さく屈むと同時にギーラの背後から巨大な黒い鉄の2、5メートル越えの円錐棒をトラの力漲る右腕からギーラの頭上を横に振り切るとその瞬間ギーラの目の前は息をする物がいなくなる
「うわっ危な・・・・・頭の上を横切った風圧でハゲるかと思ったわ」
「ギーラ、タイミング、バッチリ」
そう言いながら改めて前を見るとコボルトの死体が固まっていたり、点々としていたり、頭が無い物、胴体が無い物、原型が無い物、緑色の血で広場は緑色で染まっている
「凄い光景・・・・・少しヒクわ~・・・・・あのコボルトと何処まで飛んでるんや・・・・・」
ギーラとトラがそこを見るとかなり遠くの大きな木に張り付いてペチャンコで絶命しているコボルトが目に入る
「ウン、コボルト、ヤワラカイ、キ、カタイ、ダカラ、ペチャンコ」
トラはコボルトが柔らかくて木が硬いからあの木で止まってペチャンコでコボルトが硬かったら木を折ってもっと飛んでいたと・・・・・話す
「で、で、ですよね・・・・・おしかったですね・・・・・次頑張ろうかな・・・・・」
ギーラは「そこなんかい」っと頭の中でツッコミを入れてから投げナイフを回収して使えそうな素材を集める
それから同じように「俺が囮で後はトラにお任せ作戦」を2度ほどして広場をコボルトの死体と緑色の血で埋め尽くしてから3人揃って町に戻る