第112話 小さくなる
「どうしたの シルキャド?」
「・・・・・・・・・・」
シルキャドに大きな声で呼ばれたレーンアイルとホワイトアイルは手を繋いでシルキャドの所に歩いて来る
「ニャ 何だかニャ ギーラがニャ クマのぬいぐるみの姿でニャ 町に入れるかニャ 心配をしているからニャ レーンアイルとホワイトアイル 話をするんだニャ 私はニャ 気にしたら負けだと思うけどニャ」
シルキャドは目の前に歩いて来たレーンアイルとホワイトアイルに説明する
「・・・・・うん そうなんだ シルキャドが話した様にホワイトアイルの姿が町の人達に受け入れられるか少し心配で考えてシルキャドに呼んでもらったんだ」
ギーラはシルキャドにいきなりレーンアイルとホワイトアイルを呼ばれた事は伏せて来てもらった説明をする
「あっ そうなんだね 僕も屋敷の周辺以外の事はあまり良く知らなくてね 他の町の人達が僕を受け入れてくれるかの情報は知らないんだよね・・・・・」
ホワイトアイルは少し考えて困った様な声でギーラに話す
「まあ そうだね 他の場所や町の事は分からないのが普通だし 俺が今まで見て来た町とかはホワイトアイルみたいな姿の人はいなかったしな~ う~ん どうしようかな・・・・・?」
ギーラはホワイトアイルの話を聞いて4本の腕を胸の前で組みながら考えて言う
「・・・あの・・・ギーラ・・・良い?・・・」
ギーラとホワイトアイルが考えているとホワイトアイルと手を繋いで黙って話を聞いていたレーンアイルが小さな声でギーラに声を掛ける
「んっ? どうしたの レーンアイル?」
ギーラは考えを中断してレーンアイルを見る
「・・・あの・・・ホワイトアイル・・・今は大きいけど・・・小さくなる・・・」
「んっ? どういう事 レーンアイル」
「・・・ホワイトアイル・・・体・・・自由に大きくしたり小さくしたり出来る・・・」
「うん 僕は今は体は大きいけどレーンアイルが持ち運べるぐらいにまでは体を小さく出来るけど それが何か利用出来るの? レーンアイル」
レーンアイルの言葉にギーラは理解が出来なく分からなくて、ホワイトアイルはレーンアイルの言葉を付け足してからその先の言葉を聞きたがっている
「・・・はい・・・私・・・もしホワイトアイル・・・町の人達に・・・受け入れられなかったら・・・嫌だから・・・私が・・・小さくなった・・・ホワイトアイル・・・抱っこして・・・ホワイトアイル・・・守る・・・」
レーンアイルは小さな低い声で途切れ途切れだが一生懸命話す
「あっ? なるほどね もしホワイトアイルが町の人達に受け入れられなかった場合は普通のクマのぬいぐるみとしてレーンアイルが抱き抱えながら町の中を移動するということだね」
レーンアイルの話にギーラは理解して言う
「それなら もし僕が町の人達に受け入られなくても 町の人達も普通の人形なら怖がらないし嫌な気分にもならないという事だね」
ホワイトアイルも理解する
「あらあら その考えは良いと思いますわ 今の所はその考え方がベストだと思いますから あと少しで合流できる馬車屋のお兄さんにホワイトアイルの姿を判断してもらってもし厳しい様ならホワイトアイルに小さくなって頂いた姿でレーンアイルに抱いてもらって町の中で活動しても良いでしょうね」
ギーラの横で黙って会話を聞いていたローズメルファもいつものニコニコ笑顔で話す
「ニャ それはどんなのかニャ 見てみたいんだニャ さあニャ ホワイトアイル 私に見せるんだニャ」
「ウン トラモ ミル チイサクナル ホワイトアイル」
「ハイ オニイチャント オナジキモチ」
トラとシルキャドとオトギも話を聞いていて興味津々で早く見たいと思わず言う そしてホワイトアイルに目が釘付けになっている
「うん いいけど ただ体が小さくなるだけだからね そんなに期待しないでね・・・・・トラとシルキャドとオトギの期待を裏切らなければ良いけど・・・・・では小さくなるね」
ホワイトアイルは一瞬でギーラ達の目の前で突然小さく変身する、そしてレーンアイルの小さな両手でもスッポリ収まり抱き抱えられる大きさになって地面に立っている
「うわっ 本当だ小さくなった」
「あらあら これは小さくなって可愛らしいですわね」
「ニャ 大きいホワイトアイルも可愛いけどニャ 小さなホワイトアイルもニャ 私は好きだニャ」
「ウン チイサイ チイサイナ」
「ハイ カワイイ オトギ タノシイ」
ギーラ達は目の前の小さな体に変身して立つホワイトアイルを見て各々の意見を話す
「・・・うん・・・ホワイトアイル・・・小さいのも可愛い・・・私抱っこも大好き・・・」
レーンアイルは小さな体でホワイトアイルの所に歩いて行き 腰を屈めて細い両手で強き抱きしめながら顔をホワイトアイルの顔や体に嬉しいそうに擦り付けてから話す
「もう レーンアイル それは僕くすぐったいから けど気持ち良いから僕も好きだけどね」
ホワイトアイルはレーンアイルの顔グリグリを満喫してから嬉しそうな声で喜んで話す
「なるほど 体は小さくなっても他は何も変わらないのかな?」
ギーラはレーンアイルに抱きしめられているホワイトアイルに聞く
「うん そうだよ 見た目が小さくなるだけで 話せる事や考え方は何にも変わらないね」
ホワイトアイルは答える
「へえ~ そうなんだね その大きさの姿なら問題無く町にも入れそうだから期待出来そうだね」
ギーラは嬉しそうに笑って言う
「そうですわね それじゃあ後は馬車屋のお兄さんと合流して大きな姿のホワイトアイルの姿を見て頂いて確認してもらい もし大きな姿がダメでしたら今の小さな姿のホワイトアイルで町に入りましょう」
ローズメルファもレーンアイルに抱き抱えられている小さな姿のホワイトアイルを見つめながら話す
「ニャ そうだニャ それでもダメだったらニャ どうするのかニャ?」
シルキャドはギーラに聞く
「う~ん どうしようかな・・・・・ まあその時はその時で考えようかな・・・・・」
ギーラは少し考えたがホワイトアイルが町に入れそうと安堵していたので考えが浮かんでこなかったのでアホで前向きの考えを滲み出しながら言う
「ニャ 何もまだ考えて無いんだニャ・・・・・ は~ヤレヤレニャ」
シルキャドはギーラを見てお得意の両手を高く上げてヤレヤレポーズで話す
「まあまあ シルキャド 私は今の大きさのホワイトアイルの姿なら問題無いと考えられますので 馬車屋のお兄さんがもしダメとお話されたならその時に考えるのも良いと思いますわ」
ローズメルファが優しくギーラをフォローしながらシャルキャドに話す
「ニャ ローズメルファが言うならニャ そうなんだろニャ」
シルキャドは納得する
「まあ これで町に入れる問題は解決しそうだから馬車屋のお兄さんと合流するまで歩いて行こうかな」
ギーラはそう言うと先頭で歩き出す トラとオトギは素早くギーラの両隣に並んで歩く ローズメルファもギーラが動き出すのを確認すると静かに動き出す レーンアイルは小さくなったホワイトアイルを抱きしめて笑顔一杯でローズメルファの横に並んで歩き出し シルキャドもローズメルファの横に歩いて行って進んで行く