第100話 馬車の中の話
ギーラ達を乗せた馬車はゆっくり整備された道を進んでいる
「ニャ 久々な馬車はニャ やっぱり素晴らしいニャ~」
シルキャドはあいかわらず顔を外に出してゆっくり動く風景を楽しんでいる
「そうですわね 風も気持ち良いし町の中も素敵でしたが町の外の匂いや壮大な景色も良いですわね」
今は周囲が平原で木が一定の間隔で道の両端に立っていて前方の遥か彼方には巨大な山脈が雪化粧をしている姿をローズメルファが前の小窓から見ながら言っている
「うん 今回はあの山脈までは行かないけど近くまでは行くからもっと良い景色が見れるかも知れないから楽しみだね」
ギーラも前方の巨大な山脈を見ながら言う
「あの山脈の名称はカテールン山脈ですわね この国で一番の高さを誇る山々が集合した山脈で あそこを越えると隣の国の暴力の国と呼ばれているギガマルクの国に行けましてその手前には私達が生活していた首都スグラアゼースに匹敵する規模の町ルムスアゼスこの国最大の防備を誇り城もあり王様や貴族などの人種が住んでいる町がありますね」
ローズメルファが説明する
「へえ~ 暴力の国ギガマルクとか何か怖いね それにスグラアゼースには確かに城とか俺のイメージしてた貴族みたいな人達は見かけなかったから少しは不思議に思っていたけど普通首都に城とかあるんじゃないの?」
「えええ 普通はそのような形式が多いですがスグラアゼースは商人や冒険者達が集まり試行錯誤を繰り返して立派に成長して首都まで上り詰めてこの国一番の生活の町になり首都と呼ばれる様になったと私は考えてます 私が眠る前に知っていたスグラアゼースはまだ小さく村とも呼べないくらいの規模でしたからね ですがルムスアゼスの町は私が眠る前から立派に存在していまして隣の国の暴力の国ギガマルクやその他のモンスターや敵の襲撃に備える防衛の町としてこの国を支えてましたね」
「なるほどね 巨大な山脈があるとはいえ国境の近くに防衛が主体の町を建設していると威嚇にもなるし簡単には攻めたり余計な事は出来なくなる気がするね 巨大な山脈にも強そうなモンスターもいると思うし討伐や襲ってくるモンスターも国の一番先で抑えられるから国内の町や村にもダメージはある程度は抑えられるしね それに国での生活や人々の安全や命を守る為ならそんな考え方も出来るね それじゃあルムスアゼスの町は軍人とか兵隊だけが住んでるの?」
「どうでしょうか 私が知っていた頃は普通の大きな町で一般の人々も住んでおられましたね 多分あまり昔とは変わらずだとは私は思います」
そんな感じでギーラとローズメルファが話をしていると
「ニャ 聞いたかニャ トラ オトギ 暴力の国がニャ あるみたいだニャ」
「ウン イイコトバダナ ボウリョクノクニ ドンナトコロダ」
「ハイ オニイチャントワタシニ ピッタリナトコロ オモウ」
「ニャ そこはニャ 私も仲間に入れるんだニャ オトギ 私はニャ 暴力に愛された女だからニャ」
「・・・・・・・・・・ウン ソウダナ」
「・・・・・・・・・・ハイ ワカッタ シルキャドモ ナカマイレル」
「ニャ そうだニャ そうだニャ 私はニャ 何故ならニャ 暴力に愛された女だからニャ 当然だニャ」
その隣でトラとシルキャドとオトギが暴力の国ギガマルクで盛り上がっている
「ニャ ローズメルファ 暴力の国はどんな所なのかニャ?」
シルキャドはギーラとローズメルファが話を続けていたが横から何も気にしない感じで口を挟む
「えええ 私がギガマルクに行った時はかなり昔でアンデルケス様と2人で一つの町に行ったのですが そこは無法地帯でとても酷かったですわね 死など当たり前で買い物のおつりを間違って少なく渡しただけでお店の従業員が殺されていましたし 顔が気に入らない服装が気に入らない歩き方が気に入らない等のありえない理由で殺し合いが始まってましたわね」
「ニャ 本当なのかニャ それはニャ 信じられないけどニャ ローズメルファが言ってる事だからニャ 私は信じるけどニャ 凄い国何だニャ」
「ウン ケド オモシロソウダ トラ キライジャナイナ」
「ハイ オニイチャントオトギ ツヨイ ダイジョウブ マケナイ」
「ははははは トラとオトギ 今はまったく行く予定は無いからね・・・・・いずれかは行くかも知れないけど 今の所俺はローズメルファの話を聞いて間もないしギガマルクに行く確率はもちろん0やから期待はしたらダメだよ」
ギーラはトラとオトギのテンションが上がるのを察知して素早く優しく否定しておく
「「「ソウダナ イッタラ マケナイ アンシンスル ギーラ」」」
トラとオトギはギーラの言葉に大きく頷いて行く事は当然の雰囲気を出して少し獰猛な笑みをしながら素直に納得してハモリながら言う
「まあ 私がギガマルクに行ったのは本当にかなり昔ですから 今の状態は分かりませんしもしかしたら改善されていて普通の住みやすい国や町になっている可能性もありますからね」
「ニャ そうだニャ 行ったら分かる事だしニャ 今はあまり考えてもしょうがないからニャ 私はニャ 外の景色でも見るかニャ」
シルキャドは恐ろしいほどの切り替えを見せて馬車から顔を出して尻尾をブンブンさせて景色を満喫を再開する ギーラとトラとオトギとローズメルファはシルキャドの切り替えを見て「その通りですが 何か納得行きませんがね」と思ったが誰の口からも言葉が出る事は無かった それから馬車の旅は何事も無く休憩や野営を繰り返して6日間の平和の時間が流れる
「う~ん おはよう トラ オトギ 何も異常は無かったみたいやね?」
ギーラは旅の7日目の朝に寝袋から抜け出して伸びをしながら途中で夜の警備を変わったトラとオトギに声を掛ける
「「「ナニモナカッタ ユックリ ネタカ?」」」
トラとオトギはニカッと笑顔になりギーラを見ながら話す
「うん ぐっすり寝れたよ 警備ありがとうね それに今日が目的地の村の廃墟の誰も戻って来ない屋敷に到着しそうな7日目だからね ぐっすり眠れて良かったよ」
ギーラは馬屋の従業員も「もう少しで目的地に到着する」と言っていた事を思い出しながら話す するとローズメルファも起きて来て最後の最後にシルキャドがノロノロ歩いて大きな伸びと猫目を擦りながら起きて来る そして簡単な朝食を済まして後片付けを終わらせてギーラ達は客車に乗り込む
「ギーラさん達 後半日も目的地までは掛らないと思いますから それでは行きます」
馬屋の従業員は馬達にムチを打ってゆっくり馬車が進んで行きかなりの時間が過ぎるとある程度整備された道も徐々に悪路になり馬屋の従業員も少し悪戦苦闘しながら馬達を操縦をしている 周りの木々も濃くなり出して少し前方に大きな木々に囲まれた生活や命の動きををまったく感じなく砕け散った木製の門や木製の壁や木製の建物がギーラ達を拒む様に放置されていて そこに続く一本の悪路の道がギーラ達を誘う様に廃墟の村まで伸びている