第10話 武器屋に行こう
宿屋を探しながら二人で並んで歩いて目に付いたそれっぽい所に入る
「いらっしゃいませ」
宿屋の主人の人間の男がカウンターから声をかける
「あの~、ここ泊まれますか?」
「はい、宿泊は大丈夫ですよ」
OKが出たので
「じゃ~大人二人泊まれる部屋でお願いします」
「はい、分かりました、それでは22コプになります」
チラッとカウンターの値段表を見てもそう書いてある
「じゃこれで」
22コプの通貨がまったく分からないので金の入った布袋をカウンターに置く
「はい、ではお預かりしますね」
見た感じ普通の宿屋で主人も普通なので任せる、眠さで少し不機嫌になる仁王立ちのトラは宿屋の主人ををガン見している、主人はトラをチラチラ見ながら数枚のコインを抜き取る心の中で「ボッタクリはこれで大丈夫で威嚇にはなって悪さはしないだろう」と思い込んで安心して話を続ける
「飯とか出ますか?」
「はい、お食事はお値段に含まれております、そこのテーブルの席かお部屋でお食事出来ます」
横を向きテーブルのセットが数体ある少し広めのスペースを見ながら主人が答える、そのスペースには多種多様な数グループの冒険者達がテーブルを囲み食事や酒を飲みながら談笑している
「分かりました、部屋に荷物置いたらここに来るんで何か用意してもらえます?」
「かしこまりました、ご用意しときますお部屋は2階の203になります」
「じゃ~、お願いします」
そう言いながら鍵を受け取り布袋をしまって2階の部屋に入る部屋は以外と大きくベットもトラが十分寝れる大きさが2つあり後は簡素な家具がある
「部屋に到着~まさに寝るだけの部屋やねそれで十分やけど」
「ウン、トラ、ネル」
トラを見ると1つのベットに光速で入り真っ裸で仰向けで寝る瞬間である
「・・・・・早っ・・・・・」
ギーラはツッコミを入れて荷物を隅に置く
「じゃ~下で飯食べてるから何かあったら下におるからおいで」
「・・・・・・・」
もう一度寝るの早っと心の中でツッコミを入れて下へ向かう
一階の食事スペースの隅にあるテーブルに座ると先程とは違う男がスグに食事を運んでくる「こいつも早っ」と思い食事を始める
食事をしながら回りの冒険者達からの会話に耳を傾け情報収集を開始、それに寄ると「ここの宿屋は中ランクで店員は全員優秀」「あそこの武器屋は品揃えが良い」「あそこの防具屋は普通」「道具屋は品揃えがもう少し」「山の麓のダンジョンの最深部の宝は素晴らしい」「奴隷屋があり最近奴隷の数が増えた」「あそこのパーティーは信用出来ない信用できる」「向こうの宿屋の定員は美人」「この町は居心地が良い」 などの様々な使える話どうでもいい話を聞きながら食事を終える、すると服装や装飾が少し豪華で顔の整った細身の人間の女が声をかけながら前の席に座る
「お兄さん時間大丈夫?」
「んっ?、あ~あ何かな?」
少し警戒して女を見ながら答える
「あっ、大丈夫警戒しなくても私そこの奴隷屋の者なの」
俺の視線に気付いて女が何が大丈夫か分からないけどそう言う、良く見ると武器らしき物は持っておらず黒いワンピースに薄い生地で刺繍のあるストールを巻いているだけで無警戒なのでとりあえず話を聞く
「でっ?、その奴隷屋が何の用?」
「ええ~、まあ営業活動ね、私はトラエお兄さんのパーティーは今二人でしょそれに懐も暖かそうだから声をかけさせて貰ったの」
「ああ~、素直やな俺達さっき依頼終わったからな」
「へえ~、それはグッドタイミングね、それでねお店の商品が増えたので声をかけたのまあ簡単に言うとリニューアルオープンね、まあさっき見たお兄さんの相方さんだけでも大丈夫だと思うけど良い子が店に入って来たから声をかけたの」
「ああ~、確かに今は二人だ・・・・・なるほどな数の少ないパーティーに声をかけるのか?」
「そうなの、5人も6人もいれば定員オーバーの確率上がるでしょ、だから少人数のパーティーの人達に声をかけてるの」
「ああ~、それは分かった、でっ、奴隷もパーティー登録は大丈夫なのか?」
「ええ、勿論大丈夫よ、ギルドでも募集もしているけどね、まあ相性とか適正とか色々難しい部分があって人間や獣人や魔物などが集まるからどうしてもね好き嫌いがあるから別れたり出合ったりね、それに裏切りとかも普通に有るからね、そして裏切りは即死亡やパーティー全滅に繋がる場合が多いから難しい部分もあるわね、その点奴隷の場合は専属契約で裏切られる心配は無くその点は安心ね」
「それで今はどんなのがいるんだ?」
「今は獣人が多いわね、他は魔族、人間はこの国ではNGね成長してるのであればパワー系、俊敏系、器用系、雑用系と色々いるわ、けど今の店は幼い子供がメインで販売してるから能力はほとんど未知数ね」
「分かった、明日は相棒と町に出るからその時に顔でも出そう」
「ありがとう、声をかけて正解ね、店にいらしたらトラエの紹介って言ってね、お待ちしてますわ」
「ああ~、けど顔を出すだけだぞ期待はするなよ」
「は~い、けどお待ちしていますわ」
そう言いながらトラエは席を立ち最後に笑顔で「お待ちしてますわ」と言い残し宿屋の扉から外に出て行った、それからしばらく食事と噂話に耳を傾けてから」ギーラも席を立ち部屋に戻る、部屋に戻ってトラを見ると一瞬ピクッと動いたがギーラの臭いだと分かったのかそのままベットの上で筋肉ムキムキで大きな体を丸め込んで小さな寝息を立てお休み再開、それを見ながらギーラは「体は大きくて凶暴なのに寝姿は子供やないかいっ」っとツッコミを入れて空いてるベットで横になり就寝する
この異世界に来て初めての朝を迎える、顔を横に向けるとナイスバディで俺に尽くしてくれていつも横を歩いてくれる美女が・・・・・・・・・・・・・・・・ってトラやないか~~~いは置いといて「ウ~ン」と背伸びをして今日の行動を考える、まずトラの武器防具、雑貨諸々、奴隷屋に顔を出す、時間があればギルドで依頼を受ける、そう考えていると何故か俺の横でベットに寝ていたトラが目を覚ます
「おおお、トラおはよう、よう寝れた?」
「ウン、オハヨウ、ギーラ、ヨクネレタ、トラ」
トラも体中の骨をボキボキ鳴らしながら背伸びをして返事をする
「そうか~そうかって・・・・・何でコッチのベットで寝てるのかな?」
「トラ、サミシイ、ギーラ、ヨコネル」
ギーラは「ウンウン」と頷きながら素直すぎるストレートの返事を聞きながら
「まあいいけど~ベットが此処は広いから良いけど狭いベットはアカンよ」
「ウン、ソノトキハ、ガマンシテ、チカクデ、ネル」
またもやストレートな返事を聞きながらこれが美女ならと思いつつ
「まあ~今回はベット広いからセーフ」
両手を野球の審判みたいに水平に広げるアクションでギーラは許す
「あっ、所で今日の予定はトラの武器防具、鉄の棒は軽い言ってたから防具は動きやすさ重視で選ぶから?」
「ウン、オモイブキ、スキ、コウゲキダイスキ」
「うんうん、そうでしょうね、それから雑貨買って奴隷屋行くよ」
「ウン、ワカッタ、ギーラマカス」
「もしもやけど奴隷屋で良い子いたら仲間にしても大丈夫?、もしもやけど?」
「ウン、ナカマ、オオイ、トラ、ダイジョウブ」
「OK、じゃその予定で行くよ後時間があれば依頼受けるから」
「ウン、ワカッタ」
そう言い終わり服を着てトラに服を着せて宿屋を出て武器屋に向かう
武器屋はすぐに見つかりそこの扉を開けて中に入るが中には誰もおらず
「すみません」
声をかける
「はい、すぐ行きます」
するとすぐに店の奥から若い20代前半ぐらいの人間の男がやって来た
「すみません、お待たせしました」
「大丈夫です、今日は相棒の武器がメインで後は投擲武器も見せて欲しいです」
「はい分かりました、ではどのような武器をお探しですか?」
店員はトラを見て話しかける
「ウン、ツヨイ、オモイ、コロセルブキ」
「そうですか、ではこちらの商品とかどうでしょう?」
それから、棍棒、両手剣、ハンマー、などの両手用の重い武器を進めるがトラはあまり納得せず店員に聞く
「ウン、イチバン、オモイブキ、ドレダ?」
トラが聞くと店員が「う~ん」と悩みしばらく考え「ハッ?」っと思い出したかのように店の奥へ走り出した、すると奥から木で出来た台車に乗せられて全長2・5メートル越えの黒く円錐形の鉄の塊を運んで来た、ギーラはそれを現世で見た巨大な赤いコーンを思い出す
「これは私の父が昔冒険者でその時のパーティーメンバーで父の巨人族の友人が使用していた物なのですが、父もその方も50年前に亡くなりずっと奥の部屋に置きっぱなしで埃も被り私も今まで忘れていました」
「これは重そうですね、それ程巨人族の友人は怪力なんですね?」
ギーラが黒い円錐棒を見上げながら話す
「ええ、かなりの怪力で昔の父のパーティーでは父を含めメンバーは良く助けられてたみたいです、良く父がお酒を飲むと自慢してました」
店員が少しだけ懐かしそうに話す
「そうなんですね、形からして叩きつける為の物ですかね?」
「はい、そうです馴染みのドワーフが作ったらしくて私には作れませんね」
「へええ~ドワーフですか、それに小さな傷や凹みがあり年代を感じますね」
ギーラは巨人族ドワーフの名前を聞いて少し驚いて答える
「ええ、年代を感じますよね」
「ウン、コレ、モッテモ、イイカ?」
ギーラの横で話しを聞いていたトラが店員に尋ねる
「ええどうぞどうぞ、ですが物凄く重くて私ではビクとも動かせません、その巨人族の父の友人も両手で扱ってたみたいなんで気を付けて下さいね」
「ウン、ワカッタ、キヲツケル」
そう言われトラが右手で掴み重さやグリップの感触を確かめ少し笑うと軽々と持ち上げて数回振り回した
「へええ~、凄い怪力ですね信じられませんね、凄いな~」
店員が驚きながら言う
「ウン、コレ、イイ、ギーラ、ホシイ」
トラが気に入ったのか素直にギーラと店員に聞く
「あっ、どうぞどうぞ私も忘れてましたし、それに他の人は扱えませんからね、どうぞ持っていって下さい」
店員が即答で譲ってくれると言い
「いや、それは悪いので少しだけでも受け取って下さい」
ギーラはお金の入った布袋に右手を突っ込みコインを握りしめそれを店員に渡す
「えええ、こんなに頂けるのですか何か悪いです・・・・・」
「どうぞ相棒が気に入ってるので少ないですが気持ちです」
「すみません、残り物のガラクタをお売りしたみたいで・・・・・あっ、そうだ投擲武器で良いのがあれば無料で持っていって下さい」
「じゃ~すみませんお言葉に甘えて遠慮なく」
ギーラ申し訳なく言いながら2本同じタイプの投げナイフを頭を下げながら貰う、それから店員と少し談笑してトラを見ると巨大な円錐棒を無言で馴染ませるように無言で振り続けていた
「では、そろそろお世話になりました」
「はい、宜しければまたいらしてくださいね」
店員に声をかけ武器屋を出て前の道を歩いて次の目的地の防具屋に向かっていると
「ウン、ギーラ、アリガトウ、コレ、ウレシイ」
右手に持つ黒い円錐棒を肩に担いでギーラに見せながら
「気に入るのが合って良かった、トラお似合いやね」
「ウン、トラ、ニアウ、エヘへ」
ギーラに褒められて黒い円錐棒が気に入ったのか笑顔のトラと防具屋と道具屋に行き装備と道具を整えて奴隷屋に向かう