出会い
こんなとき、なんて言えばいいのだろう。
呆気に取られる私をよそに傘に打ちつけられる雨粒が、文字通り水を差す。
登校中の私の目の前に突然現れた人は、私とそっくりというか、私そのものだ。遭遇したら死ぬという、なんとかかんとかだ。
「おどろいた? 」
私は私におどけた様な表情で問いかける。
「あなたは……私なの? 」
私は私に、質問に質問で返す。
「さぁ……」
不敵な笑みを浮かべた私は、気がつくと居なくなっていた。
なんだったんだろうか。もしあれが本当になんとかかんとかなら私はもうすぐ死んじゃうのかな。
歩きながら、さっきの出来事について考える。
「楓おはよう!」
うしろから突然声をかけられて、おどろきながら振りかえる。
「なんだ、灯か。もうびっくりさせないでよ……」
海浜灯。私と同じ角道中学2年2組のクラスメイトだ。
彼女は私よりちょっと背が低くて笑顔は太陽のように眩しくて可愛らしい。だけどかなりの阿呆。
「どうしたの楓?なんか元気足りてないよ?」
変なところだけ鋭いのがちょっとむかつくけど、それでも私の変化に気付いてくれるのは嬉しい。
「そうかな?実はさっきとても変な事があったの。」
「変な事って……?」
「うん。ええっとね……あれ……思い出せない。」
「あははっ!変なのは楓じゃん!」
灯の笑顔がむかつくが、それ以上にほんの数分前の出来事なのにまったく思い出せない事に対してとても怖いというか果てしないというかそういう感情を抱いた。
「ほら、さっさと学校行くよ!」
「うん。」
私たちは足早に学校へ向かった。




