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神のみぞ知るセカイ




―――結論に言えば、オレは最強の魔神となった。




以下テンプレと言いたくなる様な感じだ、普通に生きて、平凡に普遍に存在して、気が付けばトラックに衝突してお陀仏、仏さんの仲間入り。



オレの死を嘆いてくれる奴なんて一人くらい居るものだと思っていたが、案外そんな事は無かった。



いやぁ、まったくもって変化の無い死に様だ、親は保険金が入って喜んで、学校の有象無象の奴らは爪弾きが一人消えようが誰も気がつきはしない、ただ汚職教師が泣く真似をしてお亡くなりになった事を告げるだけさ。



まあ、結局は価値観の問題だよ、例えば世界的有名人が死んだとして、熱狂的なファンはその死を悲しんだり、嘆いたりするだろう、けれど興味の無い人間は、六十億の命からたったの一つ途絶えたとしか認識しない。



オレは誰にも必要にされなかった、邪魔者として扱われた、そんな人間が死ねば、誰が涙を流してくれるか、誰がオレに祈りを捧げるか、答えは言うまでも無い。



「で、結局ここは何処でどういう場所よ、神様?」



そうしてオレ自身の最終地点、人型以外が全て真っ黒という特異な性質を持つの亜空間に、垣間見える黒色以外の物体は二つ。


ひとつは間違いなくオレ自身で、もう片方の物体はなにやら数センチ宙を舞う齢八十を越えたジジイだ。



その漫才コント顔負けな綺麗に整った一本ハゲ頭に、汚ねぇ程に蓄えた髭、それとは対照的に小奇麗な白い服、こんな現状でなければまずこのジジイは精神科の患者であろうと予測される。



オレがこのジジイと神様と呼んでいるのは、この状況下、あまりにも人離れした行い(宙に浮く)をしている為に、顔つきや服装、頭の天辺に浮いている電球に似た輪を見たその印象から、敬愛と保険をかけてそう呼ばせてもらった。



あともう一つ、強いてあげるのであれば、このジジイが自分自身を神様だと頭イッてる事を申しあげていたからである。


最早疑いようが無い、ここは多分異世界へ行く前に訪れるという神様の審議的な、能力を分け与えるぞ的な、そんな空間に違いない。


毎日"ラノベ作家になろう"という一般人投稿サイトで余り余った異世界シリーズで費やしてきたこの知識がきっとそうに違いないと囁いている、いや言っているのだ。



「此処か?ここは、言うなれば"審議の間"、次に貴様が向かうべき、新たな世界へと転生するべき所を決定する場所じゃよ、貴様は前の人生は不遇なものでな、余りにも可哀想だから、こうして異世界へと行く権利を与えたわけじゃ」



よし、何か当たってた、これで勝つる、きっとオレみたいな不遇な人生を送ってきた奴が結局最強の能力を与えられて異世界で無双する訳ですねめっちゃ分かります。


あー、でも本当にこんな場所あったんだね、二時創作とかそんなのは異世界モノ多すぎてどれが一番ありそうな展開でどれが一番無いわと思える展開なのか探してたけど、成る程こう言う展開なのか、ためになったわ。





―――さて、そうした結果があって、オレが過ごした生前の人生が、異世界に渡り報われるのかと言えば、答えは"ふざけるな"だ。





異世界へと行く権利を与える権利をくれる位ならば、オレは生前前まで戻って、また人生をやり直したい。


両親が優しくて、友達が居て、誰かを好きになって、大人になって、結婚して、仕事に満足して、そうして子供を作ってその子供を養う幸せが欲しかった。


その子供が大人へと育ち、その子供が巣立ってまた新しい子を宿し産んで、孫を見て、笑顔のままこの世から去りたかった。


不遇だと?可哀想だと?そう思うのならもう一度やり直させろ、オレに幸せを寄越せ、今まで苦しんできた十七年間を帳消しにする様な幸福を返せ。



―――返してくれ。



「貴様の居た世界は二度とは戻る事は出来ない、これは鉄則であり絶対だ」



あぁそうですか、そりゃ仕方が無い、俺はもう二度とあの世界には戻れないと。


昔の人は、神は万能であると言っていたが、まるで矛盾が生まれちまう。


まあ、神様が無理だと言えば、無理なんだろうが、仕方が無いよな、本当に仕方が無い、憂いな感情を押し殺し、涼しい顔で神様を見つめる。



「では聞こう、貴様はどの世界に行きたい?」



「何処でもいいさ、次に生まれて来る時は平凡に……いや、いっその事最強にしてくれよ、圧倒的な力を持つ、絶対王者な感じにさ、うん、そうだな、言うなれば魔王、いや、どうせなら"魔神"がいい、神様(アンタ)が万能だと聞いた事がある、ならばオレは万能になりたい」



そうなれば、オレは誰かに愛されるだろうか?


絶対的な力を持てば、必ずしも、オレの力を欲してくれる人間が入るのではないんだろうか?



「了解した、では、貴様はこれより魔神として振舞うがいい」



―――そうして身体は彷彿する、体温が高くなって、身体のうちの全ての細胞が変化する。



身体は何処にも変わった形跡は無い、けれど、明らかに体の内全てが無敵になるように思えた。


そうして新しく変化したオレは、案外見かけは前とは少しも変わらない。



「ありり、ちょっと神様、これ失敗したんじゃね?」



「馬鹿を言うな、既に貴様は魔神レベルへと変貌した、これを見るがいい」



そうして渡されたのは、一つのスタンドミラー。


黄金色へと施された木製の手鏡には、少しばかり肌黒くなった自分自身の顔が垣間見えた。



「之は情報を映し出す手鏡、今現在、貴様のステータスが隣に表示されている事は分かるだろう」



と、神様はそう言うと、確かに全ての体が映し出されている状態で、その隣に数字やアルファベットもご丁寧に並んでいる。





【参加番号】十二番(トゥエルブ)

【名前】千条(せんじょう)有真(あるま)

【能力値】

筋力S100敏捷S100耐久S100精神S100魔力S100幸運S100

【恩赦スキル】

全科万能:EX

神の祝福により授かった全てに置いて万能という結果を残すスキル。

・このスキルを持ち合わせる限り、全ての行動は自らが想像する理想的な結果を残す。

・このスキルは呪詛ランクA以上で無ければ無効にする事は出来ない。



【呪詛スキル】

魔神狂気:A

魔神が持ち合わせる、理性を踏破した自然的に生まれたスキル。

・このスキルは祝福ランクA以上のスキルでなければ解く事は出来ない。

・このスキルを持ち続ける限り、保有者は理性を失い、本能のみで闘争を続ける。


【詠唱神機】




"切り裂け。撫夜":B


"現状翻せ。棄戦":D


"絶命せよ。未銘":EX






「え、ちょっと待って、魔神狂気?ちょっと理性失わせてどうすんのさ」



「魔神とは、本来は狂気でしか無い物だ、それに理性があれば、私利私欲として扱われる事は道理、故に、魔神は悪でなければならず」



言いたい事は分かるが、言ってる意味が分からない。


よーするに、あれでしょ?魔神は理性もったら駄目って事?


じゃあやだ、オレはそんなのにはなりたくない。変えてくれ。



「それは無理だ。その姿に変貌した瞬間、貴様は既に転生を終えている、故に、貴様が異世界へと渡った直後、貴様は破壊をもたらす正真正銘の魔神と化す」



「いやいやちょちょちょ!!オレはそんなのになりたいわけじゃねぇ!!変更だ、それが出来なければその狂気だけでも取り消せ!!」



神様は汚い顎鬚をさすりながら、ならば、と後付けて、再び手元から一つの包帯を取り出した。


それは、包帯と呼べるかどうかも分からないほどに古く、絵柄、もしくは解読不可能な文字が描かれている。



「"封印符術"、ランクをE-へと変貌させる神直伝の包帯である」



それを一巻き解けば、意思を持ち合わせたかのようにうねり、オレの方向へと飛んでいく。



指先、手足、服の隙間を通って胴体全体、首元は勿論、顔にも包帯が絡まり、そして浸透していく、口元や目鼻がかろうじて巻かれていないので、食べる事や目を開ける行為は行える。



「あっりがてぇ神様、これでオレは理性を失わないで済むんだよな?」



左様とうなずく神様、よっしゃ、これでオレは異世界チート無双が出来る。


そうして最後にスタンドミラーを見合わせる。


服装は最早全裸に近いが、下半身に巻いた白い布(先程奪ったジジイの服後何故か目を離せば服を着ている)、体全体に巻きつかれた包帯が微妙なアクセントとなっている。



「―――時期に貴様は、異世界より召喚されるだろう、その時、まず始めに出会った者にこう告げるがいい、『我は十二番目に召喚されし魔獣、十二番目(トゥエルブ)』とな」




何だよ、十二番目って、まるで何かの製品番号みたいじゃないか。



「然り、貴様以外にも他に、十二人の人間が異世界に渡り歩いたことも有る、覚悟しろ、奴らは貴様以上に狂気に満ちている」



「へーへー、なるべく、出くわさない様に気をつけるは」


大して興味がないので其処はスルー、今は自分の状況のほうが大事なのだ。


そうして突如鳴り響く先刻の鐘。


それが俺の、この世界に留まる最後の時間だと知る。


下半身から光となって消え出す、どうやら本当にこの世界とはサヨナラしなければならないらしい。


でも、最後にひとつだけ言いたい事がある。


そう、あのジジイ、神様が与えてくれた"封印符術"というものだが、先程服装をチェックした際にステータスが見えた。


その時、ありえないものが見えたので、一つだけ、物申したいのだ。



「ステータスもオールE-じゃねーか!!」



そうしてオレの視界は暗転し、世界はくるりと一変する。






【参加番号】十二番(トゥエルブ)

【名前】千条(せんじょう)有真(あるま)

【能力値】

筋力E-敏捷E-耐久E-精神E-魔力E-幸運E-

【恩赦スキル】

全科万能:EX

神の祝福により授かった全てに置いて万能という結果を残すスキル。

・このスキルを持ち合わせる限り、全ての行動は自らが想像する理想的な結果を残す。

・このスキルは呪詛ランクA以上で無ければ無効にする事は出来ない。

全科万能:E-

神の祝福により授かった全てに置いて優秀という結果を残すスキル。

・このスキルを持ち合わせる限り、全ての行動は優秀と言う結果を残す。




【呪詛スキル】

魔神狂気:A

魔神が持ち合わせる、理性を踏破した自然的に生まれたスキル。

・このスキルは祝福ランクA以上のスキルでなければ解く事は出来ない。

・このスキルを持ち続ける限り、保有者は理性を失い、本能のみで闘争を続ける。

魔神狂気:E-

魔神が持ち合わせる、理性を踏破した自然的に生まれたスキルと呼ばれた何か。

・このスキルは祝福ランクA以上のスキルでなければ解く事は出来ない。

・このスキルを持ち続ける限り、保有者は理性を失い、本能のみで闘争を続ける筈だが別にそんな事は無かった。


【詠唱神機】



"切り裂け。撫夜":E-


"現状翻せ。棄戦":E-


"絶命せよ。未銘":E-





【特異スキル】

NEW

封印符術:EX

神の持ち合わす神器の一角、これを巻きつけた者は呪詛、祝福ランクEXの無効でなければ解く事は出来ない。

・このスキルを持ち合わせる限り、このスキルを除いた全てのランクはE-へと変貌する。

・このスキルは他の呪詛や祝福の効果を無効化する。




―――結果から言えば、オレは、最弱の魔神へ変貌していた。







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