番外編4 夏のプールで
今回でこの物語を終了します。
それから季節は流れて、夏。
今日は体育の授業があるのだ。
夏で、体育の授業となれば、当然プールである。
と言う訳で、今から着替えに移動している所である。
この学校は、その特殊性から、男子と対象生が一緒に体育の授業を行っている。
なので、僕と美咲は、一緒にプールに向かっているのだ。
・・・・・・
「じゃあ、ここで」
「うん、わかったよ」
僕と美咲は、一緒にプールまで来ると、脱衣所の前で分かれる。
・・・・・・
そして、更衣室にはいると、僕は、着替えを始めた。
「おい、優一」
「うん、何?」
着替えていると、隣で騎士が僕に話し掛けてきた。
「いや、楽しみだな、体育の授業」
「何で?」
「トボけるなよ、夏、プールとなれば、水着だろ。
この学校は、男子と対象生が合同で授業を受けるだろ。
なら、当然、水着姿が拝めるだろ」
「でも、対象生だろ・・・」
「何を言うか、俺もここに入る前はそう思っていたけど。
でもな、対象生の方が、下手な本物の女子よりも、意外とプロポーションが良い事に気付いたんだよ。
そう言うお前こそ、道中と付き合っているだろ?」
「ま、まあ・・・」
僕と騎士がそんなバカ話をしていると。
「あ〜〜ん!」
と、隣から、色っぽい声が聞こえてきた。
その声を聞くと、この部屋にいる、全男子の動きが止まった。
「いや〜〜ん、そんなに揉まないでよ〜!」
「えへへっ、オッパイが大きいなあ、姉ちゃん」
「あんたはオヤジか!」
「ちょっと、あん、やっ!」
その声を聞いて、何人かの男子が、前かがみにながら腰が逃げていた。
僕もその声を聞いて、何だかドキドキして来た。
「はああっん、ダメ、瀬知、そんなに揉まないでよ〜!」
「あれっ? 菜美、シリコンが入っているのに全然分からないよ。
私も、入れようかなあ〜」
どうやら、瀬知が参宮さんの胸を揉んでいる様だ。
二人共、何やってるんだか・・・。
「うん、くっ、痛いよ〜」
「ごめん、ごめん、美咲。
あんまりにも揉み心地が良いから、力を入れ過ぎちゃった」
えっ、美咲が胸を揉まれている?
美咲の声を聞いて、僕は一瞬、心臓が飛び出すかと思った。
そして、僕の脳裏には、美咲の、あの大きな胸が思い起こされた。
僕の頭の中には、セーラー服や、白い上品なワンピース姿の美咲が写った。
そして、その大きな胸に意識が集中する。
「・・・」
僕は、美咲の声を聞きながら、悶々としていたのであった。
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そんな事があったが、男子は全員着替えを済ませ、プールに出て来た。
しかし、対象生は、まだである。
対象生は着替えに時間が掛かる上、脱衣所で、何やらしていたので、更に時間が掛かっていたのだ。
先に出てきた男子は、全員プールサイドに集まっている。
「まだかな、まだかな〜」
「何してるんだよ?」
「いや、対象生が出てくるのを待っているんだよ」
「お前なあ・・・」
僕が、騎士に呆れていると、脱衣所から賑やかな声が聞こえる。
「ねえ、ねえ、どうかな? 小さくない?」
「大丈夫、大丈夫、キッチリ収まっているよ」
見ると参宮さんが、隣の娘に水着を見てもらっている。
参宮さんは、水着の胸を押さえている。
水着の胸元が小さいかどうか、確認している様だ。
「お〜い〜!」
そう言いながら、小さく手を振る娘がいた。
その娘は、僕を見ると駆け寄ってきた。
「ゆ・う・い・ち・くん♡ どうかな〜?」
美咲がそう言って、僕に近づく。
美咲は、典型的なスクール水着であるが、下手な本物の女の子以上のプロポーションをしているので、とてもセクシーである。
大きな胸、細い腰、それに反して大きなお尻。
どう見ても、元男だとは思えない体だ。
そんな美咲を見て、僕は再びドキドキしてしまった。
他の男子連中は、先ほどの脱衣所での騒ぎを知っているので、参宮さんと美咲を特に見ていた。
中には、再び前かがみになり、腰が逃げている人間もいた。
「お〜い、君たち〜!」
プールの外から、僕達を呼ぶ声が聞こえるので、見ると、体育の先生がいた。
しかし、この先生は、今からやる授業の担当では無かった。
「ここの担当の先生が、急用で出来なくなったので、自習になりました〜」
「「「「「えっーーーー!」」」」」
先生の言葉に、全員から驚きと抗議が混じった声が発せられた。
「はあ、どうする?」
「折角、着替えたから、プールで遊ぶか」
「そうだな、水着の対象生もいる事だし」
そんな声がクラスメートの中から、聞こえて来た。
「ねえ、優一くん」
「ん、何?」
「一緒に、あそぼ♪」
「うん、そうしようか」
僕の近くにいた、美咲がそう言って僕を誘ったので、僕もそれに、応じる。
「さあ、いこう美咲」
「うん♡」
そう言うと、二人でプールの中に入った。
それから僕達は、夏の学校のプールで、二人仲良く遊んだのであった。
これで、この物語は終わります。
いつもながら、この様なチラシの裏を見て下さりまして、ありがとうございます。
それでは、皆様のご健康と、ご発展を願いまして、この物語を終了とさせて頂きます。




