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番外編3 モテモテ優一くん

 それからしばらく経った、ある日。


 いつもの様に、僕は学校に行き、教室に入ると机に座った。



 「はあ〜」



 しかし、今日は、気合が入らなくて、溜め息が出てしまう。


 その原因はと言うと、今日、美咲が休みだからである。


 今日の朝、携帯のメールに”ごめんね優一くん、風邪で休むから”と入っていたのだ。



 「はあ〜」



 僕が再び溜め息を付いていると。



 ”ギュウ!”


 「わあっ!」



 イキナリ、後ろから首に抱き付かれた。



 「なあに〜、(いと)しの彼女が休みだから、たそがれちゃって」



 瀬知が突然、僕に抱き付いてきたのだ。



 「せ、瀬知、イキナリ何をするんだよ!」


 「ん、いやね、彼女が休みで落ち込んだ、優一くんを慰めているのよ〜」



 そう言いながら、僕の後頭部に胸を押し付けた。



 「ちょ、ちょっと、当たってるって、当たってるって」


 「うふふ〜、ワザと当ててるのよ。

どお、私のオッパイの感触は、柔らかいでしょ〜」



 そう言いながら、自分の胸をグリグリと僕の頭に押し付ける。


 瀬知は、パッドや手術ではなく、ホルモン療法で自然に出来た胸である。

しかし、その割には、美咲ほどでは無いが、結構大きい。


 瀬知は、その胸を、僕に押し付けていた。


 そうやって、瀬知は、先生が来るまで、僕に抱き付きながら胸を押し当てていたのだった。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 ・・・・・・


 それから一時間目が終わった、休憩時間。


 僕は瀬知が、また(から)んで来るのを警戒して、廊下に避難していた。



 「ふうっ」



 廊下の窓に肘を付いて、外を眺めていると。



 ”むぎゅっ”



 後ろから、誰かに抱き付かれた。


 ”また瀬知か”と思い、後ろを見ると。



 「どうしたの、山成くん〜♪」



 抱き付いていたのは、おかっぱ頭が特徴である、クラスメートの参宮さんだ。


 彼女とは、美咲や瀬知ほどでは無いが、対象生の中では結構仲が良い。


 そんな彼女が、僕に抱き付いてきたのである。



 「ど、どうしたの急に?」


 「へへへっ、美咲が休みだから、山成くんが寂しそうにしていると聞いて、慰めにきたの」



 そう言って、僕に抱き付く力を強めた。


 そうすると、背中に、柔らかな感触がする。



 「どう私の胸は、残念ながら、美咲や瀬知と違って、手術でシリコンを入れてるけど、その代わり大きいよ〜」



 そう、大きさでは美咲以上の大きさの胸を、僕の押し付けてきた。


 しかも感触だけでは、美咲たちの物とは全く変わらない。


 しかし、どうして対象生は、みんな胸に、そんなに(こだわ)るのだろうか?



 「どお、どお、大きいでしょ〜♪」


 「そ、そんなに押し付けないでー!」



 休み時間中、参宮さんは瀬知同様、僕に抱き付きながら、胸を押し付けていたのであった。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 ・・・・・・


 それから時間は過ぎ、放課後。


 僕は今日、一人で準備室に向かっていた。


 瀬知は、今日は用事で部活には来られないそうだ。


 そうして、図書室に入り、準備室の方に歩くと。

ドアをノックした後、それから入る。



 「失礼します〜」


 「あれ、今日は、一人だけ?」


 「はい、美咲は風邪で休みで、瀬知は用事があるとかで」


 「へえ、そうなの」



 僕が挨拶すると、部長が一人なのを怪しんで尋ねたので、僕はそう答えた。


 僕の、その答えを聞くと、部長の目が妖しく光る。


 部長の表情を見た、川流先輩が、その途端に微妙な顔になった。


 そうして僕は、準備室に入ると、テーブルの前の椅子に座る。


 それを目敏(めざと)く見つけた部長が、座ってた椅子から立ち上がると、僕に近づいて来た。



 「ふふふっ」



 そして、微笑みながら座っている、僕の膝の上に横座りで座った。


 僕の膝の上に座ると、部長は、僕の首に腕を廻したのだ。


 しかし、そうすると部長が、後ろに倒れそうになるので、僕は慌てて部長を抱き止める。



 「部長、何してるんですか!」


 「優一くん、この間屋上で、美咲を脚の間に入れてハグしたでしょ」


 「ギクッ!」


 「美咲がその時、何だか舞い上がっていたから、問い詰めたら白状したわ」


 「はははっ・・・」



 そんな事までバレていたのか・・・。



 「だから、私がキミの膝の上に乗っても良いでしょ。

今日は、美咲もいない事だし」


 「・・・」



 部長・・・、それが狙いだったのか・・・。



 「ダメですよ、降りないと・・・」


 「そう言いながら、キミも私の事ハグしてるじゃない」


 「だって、そうしないと、部長が落ちるからでしょ!」



 僕と部長は、そんな事を言い合っていた。


 すると部長は、僕の首に廻した腕に力を入れると。



 「あああっ〜!」



 僕の顔が、部長の胸に引き寄せられる。


 そして、僕は部長の胸に、顔を埋められた。



 「どお〜、私のオッパイは、柔らかいでしょ〜」


 ”モガモガモガ〜”



 僕は部長に抗議しようとしたが、部長の胸に阻まれて声が出ない。


 またか・・・、対象生の胸に対する執着は、すごい物があるなあ。


 準備室の中には、二人の他に、川流先輩、菊水先輩、竜川先輩などがいるが。

先輩方は、止めるどころか、面白そうな物でも見るように、僕達を見ている。


 しかし、中学時代までは、女子に全く相手にされてなかったのに。

高校に入って、とうして対象生の娘に、絡まれるのだろう。


 何だか、複雑だなあ・・・。


 そんな事を思いながら僕の顔は、部長の胸に埋められていた。


 そして、僕は部活の時間一杯、部長から絡まれてのであった。



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