番外編1 食堂でイチャイチャ
今回は第三者視点で話が進みます。
告白してから、しばらく経った、ある日の昼休み。
優一と美咲は、いつもの様に、食堂に食事に来ていた。
見ると、今日の二人は、隣り合って座っている。
「はい、優一くん」
「うん、ありがとう、美咲」
美咲がそう言うと、優一に何やら、可愛らしい包に包まれた物を渡していた。
見ると、それは、弁当箱であった。
優一は、包を解いて、少し大きめの弁当箱を開けた。
「ありがとう、僕の好物が入っているよ〜」
「うふふっ、彼氏の好物を把握しているのは、当然だよ♡」
優一が弁当箱の中を見て、美咲にお礼を言った。
どうやら美咲が、優一に手作り弁当を作ってきたようだ。
そんな二人は、見ている人間が、胸焼けがしそうな雰囲気である。
実際、周囲の人間も二人を見て、お腹一杯な表情になっていた。
・・・・・・
「はあっ、今日は瀬知が休みだね」
「まあ美咲、しかたないよ。
でも、初めてじゃないかなあ、二人きりになるのは」
いつも一緒である池野は、今日は風邪で休みである。
それで二人が、いつも以上にイチャついている訳なのだ。
「あっ、チョット待って!」
優一が、弁当箱の中のベーコンアスパラを摘もうとしたら、美咲に止められた。
「ん、どうしたの?」
優一が尋ねようとしたら、美咲が優一の弁当箱のアスパラを箸で摘んだ。
そうして、摘んだアスパラを優一の口元に突き出し。
「はい、あ〜ん」
と言ったのである。
最初、躊躇していた優一も、意を決し、口を開けた。
「あ〜ん」
そう言いながら、突き出されたアスパラにパクついた。
「どう、味は・・・?」
「うん、美味しいよ」
「良かった・・・♡」
作ったオカズが気に入ってもらった事に、美咲は満足して思わず笑顔になる。
それを見た優一は、その花が咲くような笑顔に見惚れてしまう。
「でも、美咲は料理が上手だね。
本物の女の子でも最近は料理どころか、包丁でリンゴの皮を剥けないなんて、珍しくないからね」
「えっ、そうかなあ・・・。
私は、こう言うのが好きだし、好きな人には美味しい物を食べてもらいたいから・・・」
「折角だから、自分で作った料理を味わったら。
こんなに、美味しいんだから、もっと自分に自信を持った方が良いよ」
そう言って今度は、優一が美咲の小さな弁当箱から、同じアスパラを箸で摘んだ。
そうして、箸で摘んだアスパラを、美咲の口元に突き出した。
今度は逆に、美咲が、意を決してアスパラにパクついた。
「あ、美味しい」
「ほら、お世辞じゃないだろ」
そう言うと、優一は自分が貰った弁当箱からオカズを摘んで、それを口に入れた。
「あっ・・・!」
美咲はそれを見て、間接キスをした事に気付いた。
「優一くん・・・、それ間接キス・・・」
「はっ!」
優一は、美咲から言われて気付いたのである。
美咲は、自分がしている時には気付かないのに、人がしている時には目敏かった。
それから二人は、お互いに向かい合ったまま、俯きながら黙り込んだ。
二人共、キスまでした経験があるが、やはり、まだ初々しいので、そんな事でも気になるのだ。
・・・・・・
しかし、その言葉を聞いて、周囲が何やら不穏な空気に包まれた。
中には、箸が折れる音や、壁を殴る音すら聞こえる。
しかも、それは男子だけでなく、セーラー服を来た対象生も例外ではない。
その生徒たちの心には、嫉妬の感情が湧き起こっていた。
そして、その生徒たちは、心の中で、ある呪詛の言葉を叫んでいたのである。
”「「「「「「「「「バカップル、爆発しろ〜〜!」」」」」」」」」」”




