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第2話 知り合ったキッカケ

 僕は、道中の甘い匂いにドキドキしながら、一緒に歩いている。


 校門をくぐった所で、声を掛けられた。



 「おーい! 美咲、山成、おはよ〜」



 声のする方を見ると、セーラー服を着た、ポニーテールの生徒がいた。


 この娘?は、池野(いけの) 瀬知(せしる)と言う、キラキラネームの娘?である。


 この娘?も、僕達と同じクラスであるのだ。



 「おはよう、瀬知」


 「おはよ、池野」



 道中と僕が、そんな池野に返事を返した。


 池野も全く見えないが、やはり元男である。


 池野も、やはり、全くの女顔で、スタイルも道中ほどではないが、かなり良い。


 僕は池野が加わった事で、注意が分散された為、道中を過剰に意識せずに済んだ。



 「じゃあ、一緒に行こうか」


 「うん、行こう」



 道中が誘うと、池野もそれに応じる。


 最近は、校庭で池野と合流することが多い。


 こうして僕は、道中と池野を一緒に教室へと向かった。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 玄関に入り、下駄箱で上履きに履き替えると、一階の廊下を歩く。


 そうして歩くと、向こうに僕達の教室が見えてきた。



 ”1年C組”



 これが僕達のクラスである。


 三人が一緒に教室に入る。



 「おはよう」


 「おはよ」


 「おはよ〜」



 教室に入ると、三人に周囲から挨拶がくるので、道中、池野、僕が挨拶を返えした。


 そうやって挨拶を返した後、三人が席に着く。


 僕達の席は、教室の左側に窓があり、その窓側の列が女子(と言う扱いの)の列である。

その窓側の列の一番後ろに池野、その前に道中、道中の隣が僕の席だった。


 僕は席に着くと、ある事を思い出していた。

それは、道中と仲良くなった、キッカケに付いてである。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 ・・・・・・



 それは入学式の翌日であった。



 「遅れる、遅れる〜!」



 僕は、寝坊して遅刻しそうだった。


 最初の日は、授業は無いがオリエンテーションがある。


 流石に、初日に遅刻とは、カッコ悪いので急いでいた。


 そうやって急いでいると、曲がり角の所で誰かにぶつかった。



 ”ガーン!”



 「きゃん!」


 「痛っ!」



 真っ正面から、盛大にぶつかった。


 僕はぶつかった反動で、後ろに尻もちをつく。



 「いたたたた」



 僕は、ぶつかった鼻の頭を押さえながら立ち上がった。


 幸いにも、 どうやら鼻血は出てないようだ。



 「もお、痛いよお〜」



 ぶつかった相手が文句を言う。


 僕は、ぶつかった相手を見た。



 「!」



 相手は、セーラー服を来て女子学生で、僕と同じように反動で尻もちをついていた。



 ”白だ・・・”



 しかし、来ている制服のスカートが短い所為(せい)か。

・・・スカートの中が見えていた。



 「きゃっ!」



 僕の視線を感じたのか、女の子がスカートの前を押さえながら、女の子座りをした。



 「・・・見た?」



 女の子がジト目で僕を見ながら、そう言ってきた。


 僕は、その言葉を聞くと、必死になって首を横に振る。



 「ほっ、良かった」



 僕の言葉を信用したのか、安堵の声を出した。



 ”ごめんなさい、シッカリ見ました”



 僕は、心の中で彼女に謝る。 



 ・・・・・・



 僕は地面に女の子座りをしている娘に、いつまでも地面に座らせる訳にも行かず、彼女に手を差し出した。



 「ねえ、いつまでも座り込んでいないで、早く立たないと汚れちゃうよ」


 「うん」



 彼女は、僕の言う事を聞いて、差し出した僕の手を握った。



 ”うわっ、柔らかいなあ〜”



 僕は、何年ぶりかで女の子の手を握った。


 その手は、記憶にあるよりも、とても柔らかく心地良い。



 「よいしょっと」



 そう言いながら、女の子が僕の手を持って立ち上がる。


 すると、彼女の顔が僕の前に近づいた。



 ”えっ!”



 目の前のある、女の子の顔を見て僕の心臓は跳ね上がった。


 パッチリだけど、少し垂れた目が優しげな印象を与えている。

そして、通った鼻筋に、赤みを帯びたツヤツヤした唇。

それらがバランス良く配置された小顔。


 こんな可愛い娘は、始めて見た。


 僕は、いつも間にか、女の子の手を握ったまま、彼女の顔を見詰めていた。



 「・・・ねえ、はずかしいから、離して欲しいんだけど」


 「はっ! ご、ごめん・・・」



 女の子に言われて、僕は慌てて手を離す。



 「あっ、そう言えば、時間が無いんだ!」



 そして僕は、自分の状況を思い出した。



 「ごめん、遅刻しそうだから急ぐね!」


 「あっ、チョット待って・・・」



 僕は、女の子にそう言うと、カバンを持って学校へと急いだ。


 僕は、イキナリのアクシデントで時間を喰ったので、更に急ぐ。



 「はあ、はあ、はあ、はあ」



 後ろから誰かの気配がする、振り向くと先ほどの女の子が僕の後を付いてきた。



 ”あれ、こっちの方向に、他に学校があったのかな?”



 僕は後ろに付いてくる、女の子を見てそう思った。


 僕はそう思うと、後は、タダ間に合うことだけを考えていた。



 ”校門が見えた・・・”



 僕は目の前に校門が見えると、ひたすら、それに向かって走ることだけを考える。



 ”はあ、間に合った!”


 「キ〜ンコ〜ン、カ〜ンコ〜ン」



 僕が校門をくぐると、それと同時に校舎から鐘が聞えてきた。



 「はあ、はあ、はあ」


 「はあ、はあ、はあ」



 僕は校庭をくぐった後、膝に手を付いて息を荒くしていた。

しかし僕の後ろに、荒い息が聞こえる。


 その方向を見ると、さっきの女の子が同じように膝に手を付いて、荒い息を出していた。



 「えっ! 君は・・・」


 「だから、同じ学校って言おうとしたのに・・・」



 ”ガーーーーーーン!”



 ・・・可愛い女の子だと思って、心奪われていた娘は、実は男だった。


 僕は、その事実に、呆然としていた。


 その後、その娘は僕の後を付いてくるので尋ねてみたら、同じクラスである事が判明したのだ。


 それを聞いて、僕は二重に驚く。



 ・・・・・・



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 僕は、道中と初めて出会った時の事を思い出していた。


 この学校の事を思い出していたら、最初の時点で、何となく気付いていたはずだけど。


 朝、頭が廻らない上、慌てていたのでそれどころでなかったし。

この学校の特殊性なんて、入学したばかりで理解し切れてないから、すぐにピンとこなかった。


 それに、こんな可愛い、本物の女の子みたいな娘?が、多いとも思わなかったのもある。


 初めて出会った時に心を奪われていた僕は、それをキッカケに仲良くなったが。

しかし、その後、しばしば道中に心を乱される様になっていった。



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