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第19話 やっぱり女の子だ

 一夜が開け、朝になった。



 時間になり、ベッドから起きた僕は。

身を起こしたままの状態で、しばらくボンヤリしていた。



 ”結局、昨夜は余り眠れなかったなあ。

はあ〜、学校に行って、どんな顔をして道中に会えば良いのか・・・”

 


 そんな事を思うと、足が重いけど、学校には行くしかない。


 僕は重い足に気合を入れると、学校へ行く支度をした。



 ・・・・・・



 登校していても、いつもだと途中で声を掛ける、道中の姿を見ない。



 「まさか、今日は来ないのか・・・?」



 そんな事が頭に浮かぶと僕は、落ち着きなく周囲を見回しながら、登校していった。



 ・・・・・・



 そうやって歩いている内に、いつの間にか、学校の校門付近にやって来ていた。



 「お〜い!」



 そして、いつもの如く、池野の声が聞こえる。



 「あれ、今日は山成、一人だけ?」


 「うん、今日は合わなかったよ」



 僕がそう言うと、池野が首を(かし)げていた。


 そんな池野と一緒に、学校へと向かった。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 「ねえ山成。

あなた、昨日、美咲に何したのよ?」



 昼休みになり、昼食を食べた後、池野に捕まれ強引に、校舎裏の人気の無い所に連れ込まれた。


 朝、学校に付いて、結局、それから道中は学校に来たが。

終始、俯いていて、何だが声を掛け辛い雰囲気を漂わせていた。


 道中が、そんな感じなので僕は勿論(もちろん)、池野すら話をしてはいない。


 当然、道中から、話をして来る事は無かった。


 午前中は、ずっと、こんな調子なのである。


 そして昼休みになると、道中は終鈴が鳴ると同時に、弁当を持って急いでドコかへ行ってしまった。


 流石に、タダ事では無いと池野は思い、それで僕を連れてきたのである。



 ・・・・・・・



 「・・・そう言う訳だったね」



 昨日の事を僕から聞いた池野は、そう言って僕の事を冷やかに見た。



 「私、前々から思っていたけど。

あなたは、美咲が元男だと言う事に、妙にこだわっていたよね」


 「・・・うん」


 「それ、どうしてよ!」



 池野が、僕の事を問い詰めていた


 それは、自分自身でもそう思っていた事だ。



 「元とは言え、男同士だと思うと・・・、僕はそう言う趣味は無いから」


 「・・・そう言う事なのね、もう美咲には、棒や玉は無いんだよ!」



 ・・・何か、とても凄い事をサラリと言った、池野。



 「うん、頭では分かっているけど、でも、体が拒否するんだ・・・」


 「じゃあ、思い出して、美咲の体はどう見える? 男の体なの?」


 「・・・う、うん」


 「そう言えば、遊園地に言った時、美咲を抱いたよね」


 「あ、あれは偶然で・・・」


 「そんな事はどうでも良いの、で、その時の美咲の体の感触は、どうだったの?」


 「そ、それは・・・」


 「美咲の声は、匂いは、握った手の感触はどうなのよ?」



 池野の言葉に、道中に出会ってからの事を思い出していた。


 初めて出会った時、本物の女の子と勘違いした事。


 いつも、道中の甘い匂いにドキドキしていた事。


 道中のヒンヤリしているけど、小さくて柔らかい手を握った事。


 偶然、抱き締めた、道中の体の思ったより柔らかい体と、その心地良い感触に、驚いた事。


 それらの事を一つ一つ、思い起こして行くと。



 ”ああ、道中は女の子なんだな”



 と言う思いが、素直に心の底まで()み込んで行った。



 「女の子だった・・・」


 「そうでしょ、ならどうするの?」


 「うん、道中・・・、いや、美咲に返事してくるよ」


 「なら、早く行ってきなさい!」


 「うん、分かったよ」



 僕は、池野にそう言うと、美咲を探しに駆け出した。



 ・・・・・・



 「バカ、やっと気付いたか・・・」



 ホント、気付くのが遅いよ。



 「後は、上手くやりなさい」



 山成の背中に向けて、小声でそう言った。



 ”美咲が(うらや)ましいな、あんなに思われてて”



 私は、駆けていく、山成の背中を見ながらそう思っていた。



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