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第14話 まるでデート?(前)

 それから数日後、本格的な連休に入った。


 今日は、約束していた日であった。


 道中と池野と、遊園地にいく日である。


 そう思い、合流場所の駅前で二人を待っていると。



 「あ、来た来た」



 約束の時間数分前で、道中がやって来た。


 道中は、首周りが開いた、白い膝丈のワンピースを着ていて。


 足には、白のパンプスを履いて、道中らしい清潔な印象を受けた。


 道中は、一旦、止まって手を小さく振ると、小走りで僕に駆け寄って来る。



 「待った〜」


 「ううん、まだ早い位だよ」



 と、何だか恋人みたいな会話をした。


 その事に気付くと、僕は少し頬が熱くなる。


 そんな事を思っていると、言いにくそうに道中が。



 「・・・昨夜、瀬知から携帯に電話があって。

何でも、急用が出来たとかで、“来れなくなる”って」


 「え、そうなの? 言い出しっぺがねえ」


 「何だか、家の用事みたいだよ」


 「まあ、それならしょうが無いか」



 急な、池野のキャンセルに少し呆れた。



 「じゃあ、どうしようか・・・」



 僕が、そう言うと。



 「折角、用意したのだから、二人で行かない?」


 「まあ、そうだな・・・、折角だし、行くしかないか」



 道中がそんな事を言ったので、僕も賛成した。


 しかし、僕は、そう言ってから、気付いた。



 ”道中と二人きりって、それ、まるでデートみたいじゃないか・・・”



 僕はその事に気付くが、もう中止出来る訳で無く。

そのまま二人で行く事になった。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 <前の日の夜>



 ”チャンチャラララン〜♪”



 ベッドの上で、ゴロゴロしていたら。

突然携帯が、鳴り出した。



 「はい、もしもし」


 ”「あ、美咲、私よ」”


 「瀬知、どうしたの?」


 ”「うん、明日の事だけど、前に言った通り、私は来ないから」”


 「うん」



 明日、優一くんには、瀬知と私の3人で遊園地に行く約束をしていたけど。

瀬知は、私に気を使い、明日は2人きりにする為に、来ないと言った。



 ”「ねえ美咲、折角、私がお膳立てしてるのだから。

上手くやりなさいよ〜」”


 「うん」


 ”「それじゃあ、健闘を祈るから、じゃあね〜」”


 「うん、じゃあね」



 と、二人で話した後、携帯を切った。



 ・・・・・・



 「ふう〜」



 携帯を切ると、溜め息が出て来た。



 「明日は、デートだよね・・・」



 優一くんを騙す形にはなるけど、明日はデートである。


 そう考えると、胸がドキドキしてきた。



 「あ、こんな時間だ、早く寝なきゃ」



 時計を見ると、もう遅いのに気付き、電気を消すと急いでベッドに入った。


 早く寝ないと思うけど、明日の事を考えると、ナカナカ寝入る事が出来ない。


 私は、明日の事を考えながら、ベッドの中で悶々(もんもん)としていたのだった。



 ・・・・・・



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 「(ガタゴト、ガタゴト)」



 僕と道中は、バスに乗っていた。


 目的の遊園地に行くには、バスに乗って行かないといけない。


 そうして、二人でバスに乗っていると。



 「(ガタン!)」



 突然、バスが跳ねた。


 遊園地に続く、この道は、連休を(また)いで工事をしている途中で。

今は連休中で、工事を休んでいる。


 だから道がデコボコしていて。

石に乗り上げると、イキナリ跳ねて上がってしまう事がある。


 連休中だから、当然、車内は混んでいる。

だから、二人が立っている所で、石に乗り上げると。



 「うわっ!」


 「キャッ!」


 「(ぽすん)」 



 道中が、僕の方に倒れ込むのだ。


 道中は小さく悲鳴を上げると、僕の胸に倒れ込む。


 込んだ車内で、密着していると。

いつもの様に、甘い匂いがしてきて、落ち着かなくなっている所に。

道中が倒れ込むのである。


 慌てて、道中を抱き止めると。



 「(ぷにっ)」


 「(えっ!)」



 抱き止めた、道中の体の柔らかさに驚く。


 女の子の体は、柔らかいとは良く聞くが。

元男の道中でも、そうなのか・・・。



 「ごめんなさい、チョット待って・・・」



 僕に抱き付いた道中は、急いで離れようとするが。

履き慣れてないパンプスと、ガタつく道のおかげで、ナカナカ離れられない。



 「(ガタン)」


 「キャッ」



 ようやく離れられ様とした時、また、石に乗り上げた。


 そうすると、先ほど以上に、道中が強く抱き付く。


 すると、反射的に、僕も道中を強く抱き止める。


 そんな状況が、遊園地に着くまで、何度となく繰り返された。


 僕は、そんな状況に、胸の動悸が止まらなくなり、顔が熱くなっていたのであった。



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