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第10話 入部初日

 結局、昼休みは居眠りして、道中の肩に頭を乗せて頬ずりと言う。

不覚にも、恥ずかしい事をしてしまった。


 昼休みに、顧問の先生に入部届けを出そうと思ったが。

その一件でウヤムヤになってしまう。



 ・・・・・・



 そんな恥ずかしい昼休みも済み。

午後の授業に突入した。


 午後は、取り立てて特別な事も無く、平穏無事に過ぎて行く。


 そして、ホームルームも終わって、放課後になった。


 これから僕達は、昼休みに出しそびれた、入部届けを職員室に提出すると、図書室へと向かった。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 「カラカラカラ」



 図書室の扉を開けると、中に入る。


 図書室の中は、当然静かで、テーブルには数人の生徒が座っていた。



 そんな図書室の中を、静かに進む。


 そして、カウンターの横の扉を開けようとしたら。



 「あれ、ひょっとして、新入部員?」



 と、カウンターの方から声が聞こえた。


 そちらの方を見ると、一人の、セーラー服の生徒が座っていた。


 その生徒は、お下げ髪をした、何の変哲もない女子生徒の様である。


 がしかし、この学校だから、対象生だろう。


 上靴の色を見ると、その人は2年生であった。



 「ひょっとして、先輩もですか?」



 僕の隣にいた、道中がそう尋ねた。



 「そうだよ〜、中で部長が待っているから、早く入りなさいな〜」



 カウンターで座っている先輩にそう言われて、僕達は準備室へと入った。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 「いらっしゃい〜」



 準備室に入ると、部長こと、美山洋子先輩が出迎えてくれた。



 「すいません、入部届けを出してきたので遅れました」


 「いいよ、いいよ、折角(せっかく)、入ってくれたのだし」



 そう言って、ニコニコしていた。


 そうして、準備室の中を見渡していると、テーブルに一人のセーラー服を着た、ボブカットの生徒が座っていた。


 それに気付くと、部長が。



 「あっ、そうそう、今、座っているのは、3年の副部長、川流(かわながれ) 玲子(れいこ)って言う娘なの」


 「はじめまして、副部長の川流です、ようこそ読書部へ」



 ニッコリ微笑みながら、そう言って川流先輩が僕たちを歓迎してくれた。


 川流先輩も、外で何も言われないと、恐らく女子としてしか見えないだろう。


 いやそれどころか、女の子としても美人と言って良いレベルである。


 この学校の対象生は、一部を除いて、美人としてカテゴライズされる外見の人間が多い。


 それは、本物の女性よりも、女の子らしくありたいと言う意識が強いのも、一つの理由かもしれない。



 「どうも、始めまして、山成優一と言います」


 「始めまして、道中美咲です」


 「始めまして、池野瀬知と言います」


 「3人共、よろしくね」



 僕達3人は、それぞれ自分の名前を言うと、川流先輩がそう返した。



 「あれ、今は、3人ですか?」



 準備室を見渡した池野が、そう尋ねた。


 そう言えば、確かに準備室の2人と、表の1人の計3人だよな。



 「うん、そうだね、今日は」


 「ウチは、活動に出るのは自由だから、毎日必ずと言う訳じゃないけど。

幽霊は一応いないし、部員は図書委員と兼任してるから、必ず2、3人は部にはいるよ」


 「そうそう、その辺りはウチの部は自由だから」



 ああ、なるほど、この部は活動がギチギチに決まってなく、割にフリーダムなんだな。

まあ、ぶっちゃけて言えば、活動と言っても本を読むだけだからねえ。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 「あれ、山成くんと道中さんだっけ?

二人は、何だか仲がいいね」


 「へっ?」


 「だって、並んで立っているし」



 川流先輩から、そう言われて、自分の周囲を見た。


 僕と池野とは、少し距離があるけど、道中とは、ほとんど並んでいた。



 「ひょっとして、入学早々、付き合ってるの?」



 今度は、部長がそんな事を言った。


 その言葉を聞いて、僕はビックリした。



 「そそそ、そんな、たたた、ただの友達ですよ・・・」



 僕は、狼狽(うろた)えながらも、(ども)りつつ、そう答える。



 「・・・・・・」



 しかし、隣の道中は顔を真っ赤にさせて、(うつむ)いていた。


 ちょっ、ちょっと、そんな態度だと、変に誤解されるよ〜。



 「へえ、そうなの〜」



 見ると、部長と川流先輩が、生温かい笑みを浮かべている。


 それどころか、隣の池野も同様の笑顔を浮かべていた。



 ”僕には、そんな趣味は無いんだよーーー!”



 僕は心の中で、絶叫していたのであった。 



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