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女子高生がRPGの世界で生き残る方法  作者: 柚緒
世界にさよならとこんにちは
6/22

story.06 行き倒れの格闘家



「誰も仲間になってくれない……」



 町へ出ていろんな人に話しかけて話しかけて話しかけまくった。が、誰一人として私のパーティに入ってくれる人はいなかった。さっきも綺麗な魔法使いのお姉さんをパーティに誘ったが、やっぱりフラれてしまった。



「お前、そこらの村人Aよりステータス低いからな。仕方ねぇだろ」



 落胆するハルに僧侶の冷たい一言がさらに追い打ちを掛ける。なんでもハルはMPもHPも限りなく低くて、伝説の剣がなければ即死なのだそうだ。彼女はそれを聞いた途端、全身から血の気が引いた。


 誰か私よりレベルが高くて強い人にパーティに入ってもらわないと、あのエルフの女の子を助けられない。



「あああどうしよ」

「また話しかけまくるしかないだろうな」

「私の精神的ダメージが計り知れないんだけど!」

「だったら諦めろ」

「ぜ……絶対やだ!!」



 酷なことを言ってくる僧侶を振り切り、ハルはまた歩き出した。歩き出して―――――道に人が倒れているのを発見した。真っ赤な中華服に似た服を身にまとい、黒い髪の襟足を後ろで三つ編みにしている。地面に突っ伏しているため顔はわからないが、たぶん男の子だ。



「そ…僧侶くん…!人が倒れてるよ!!大丈夫ですか!?」



 ハルはそう叫びながら慌てて駆け寄り、倒れている彼の肩を揺らした。すると彼はううーんと小さく呻いて、少しだけ上半身を起こし蚊の鳴くような声で言った。



「く……食いもんを……食いもんをくれ……」

「え……?」

「は…腹が減って…死にそう……」



 どうやらお腹がすいて倒れていたようだ。ハルは取り敢えず僧侶の力を借りて男の子を木の側まで運んで凭れさせ、今日町で買った林檎と水を渡して様子を見た。すると彼はものすごい勢いでハルの手からどんどん林檎を引ったくって食べ始めた。



「うめぇ…!三日ぶりの食いもんだ…!!」

「そ、そんなに急いで食べなくても…なんかいっぱい飛んできてるし……」



 食べかすやら唾やらがひゅんひゅんこっちに飛んできてハルは苦笑いしながら少し距離を取る。そんなこともお構いなしに、男の子は次から次へと林檎を口に運んだ。やがて腹が少し満ちてきたのか、食べるペースが遅くなったので話しかけてみた。



「私、ハルって言うんだ。あなたは?」

「リュウ。ハルちゃん、林檎ありがとな。ハルちゃんは俺の命の恩人だな!」



 そう言ってリュウと名乗った少年はニカッと笑んだ。その曇りのない笑みはとても好感が持てた。あどけなさから年も恐らくハルと変わらないだろう。ハルはなんだかほっとして、つられて笑っていると、隣にいた僧侶が静かに告げた。



「……お前、格闘家だな。」

「おう。37レベルの格闘家だ」

「37レベル……っ!?」



 それを聞いて思わず立ち上がってしまったハルは、驚いて目を丸くしながらこちらを見上げるリュウの手を勢い良く両手で握りしめ、ずいと迫った。



「私のパーティに!!入ってください!!」

「え……お、おう……?」

「本当に!?本当に入ってくれるの!?やったぁー!僧侶くん、ついにパーティメンバー見つかったよ!」



 ハルがきらきらと目を輝かせながら僧侶を見れば、彼はまた深い溜息をついた。どうやら本当に見つけるとは思っていなかったらしい。どうだと言わんばかりにドヤ顔を浮かばせてみせるハルだったが、完全にスルーされてしまった。



「…リュウとか言ったか。パーティに入ってくれるのはありがたいが、今のパーティの奴らのことはいいのか。そのレベルじゃ、どこかのパーティには入ってんだろ」

「ああ、いいんだよあんな奴ら。」



 リュウはさっきの笑顔が嘘のような憂い顔を浮かべ、今まであったことを少し憤り気味に話し出した。



「だってあいつら酷いんだ。俺が腹を空かせて倒れてるってのに、見向きもせずに行っちまったんだぜ!?」

「いや…それただ単に気づいてねぇだけじゃ……」

「えぇ!?最悪だねその人達!!」

「だろ!?だからもういいんだあんな奴ら!!」

「………」



 僧侶が何か言いたげな視線を送ってきたが、ハルはリュウの話に夢中でそれどころではなかった。一通り自分を置き去りにした彼らのことを愚痴ったあと、リュウはまた笑いながらその赤くて珍しい瞳を細めて告げた。



「ま、暫く世話になるぜ、救世主さま」

「あれ…?なんで私が救世主って……」

「その剣。伝説の剣だろ?他の冒険家も噂してる」



 リュウはハルの腰に差した剣を指さして明るくそう言った。確かにこの剣、でかいから目立つ。僧侶は腰に手を当てながら、呆れたようすで口を開いた。



「…だから誰もパーティに入ろうとしなかったんだろ。」

「え?なんで?」

「救世主のパーティなんざ、危ないことに巻き込まれるに決まってるからな」

「えええ!?そうなの!?」

「俺はそっちの方が面白くていいけどなー」



 危ないことって具体的に何なの!?と聞きたいのはやまやまだったが、聞いてどうにかなることでもないのでハルは顔面蒼白になりながら僧侶を見つめた。彼はそんな彼女を一瞥したあと踵を返した。



「無駄話してる暇あんなら特別クエストとっとと行くぞ」

「あ!そうだった!あの子待ってるもんね」

「えーなになに?特別クエスト受けんの!?やった!!俺受けてみたかったんだよなー」



 不愛想だけど優しい僧侶に、格闘家の大食らいリュウ。なかなかに個性的な仲間が集まり始めた。特別クエストをクリアしたらあのエルフの女の子を助けられるし、レベルも跳ね上がるかもしれないし、一石二鳥とはまさにこのことだ。



「(もっと強くなって、早く魔王を倒して元の世界に戻らないとね……)」


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