R-11
魔素の森、死霊やデーモン系の敵がプレイヤー達を待ちうけている高Lvフィールド、そこに4人の男達が走る。
黒いトランクスが駆け、青いブリーフが跳ね、赤いボクサーが舞い、白いふんどしが走り抜ける。
「くそっ後ろあと何匹だブリーフ!」
「だめだ、一匹も引き離せない」
普通なら木々が邪魔してモンスター達は追いつけない、だがこのフィールドのモンスターは足が速い。
このままでは追いつかれる。
「リリカっ巨大樹はまだかっ!」
ほかの木が邪魔で巨大樹が見えない、頼みの綱は案内人だけだ。
「もう直ぐ、あと5分ほど」
あと5分、きついな。
後ろだけじゃない横や下手をしたら前にも沸いて出てくる。
それを避けていたら後ろに追いつかれてしまう。
「のわ~~」
ふんどしがこけてしまった!
だめだあれはもう助からない・・・
「皆の衆、拙者のことは気にせずいくでござるよ、ここは拙者が引き受けた!」
「「「ふんどし!」」」
【挑発】Lv1 範囲10mにいるモンスターの注意を引き付ける、効果小
「武士道とは、死ぬ事と見つけたり」
そう言って腕を組みその場に立ち止まるふんどし。
モンスターにひき殺された・・・0、1秒すら足止めできてねー・・・
「「「この役立たずが!」」」
「まったく意味がないだろう、せめて横に動くとかしろよ」
「これだからナリキリは・・・」
「まったく役立たずだったよふんどし君はっ」
ボロクソだった。
「見えたよ!あれが巨大樹木の入り口だよ」
リリカの指差す方を見る、あった確かに巨大な木の下に移動する為のゾ-ンが見えた。
俺たち3人はそのまま突っ込んだ!
巨大樹のなかもまた迷路だった、どうやら巡回がいるみたいでうかつに進めない。
「さてどうする?」
「うーん、出来れば巡回のパターンを覚えてから動きたいな」
「あっはは~ん僕は君達に従うよ~」
つまり何も考えてないんだな。
30分ほど巡回のパターンをみたがかなりのランダムで見極める事は出来そうに無い。
ならばあとは出たとこ任せか、道案内のリリカがいれば、最低でも突き当たりにはいって死亡だけはない、ならあとは行くだけだ!
「いくか・・・」
「だな」
「OKだよっ!」
「「トライアングル・サクリフィス始動」」
俺たちはボクサーを先頭にしてリリカを追いかける。
さすがボクサー無駄に運動神経がいい、だがさすがにもう限界が、モンスターが20匹近く襲ってきた。
リリカが右に曲がる、おれは思わず
「ボクサー左だ!」と叫んでいた
「OK」
そのままモンスター達を左の通路に引き連れて消えていくボクサー。
お前の屍を乗り越えていく俺を許してくれ。
「お主も悪よの~」
とブリーフ
「いやいや黙って右に曲がるお主も負けてはおらんよ」
「「ふはははははははは」」
ゾーンが見えた、モンスターは2匹、示し合わせたように相手の正面にいるモンスターに石をぶつけてヘイトを取り合う、出来た隙間を滑り込みゾーンに飛び込んだ。
そこは広い空間だった、奥に見えるゾーン恐らくあれがゴール、リリカはなにも言わずゾーンへと消えていった。
「最後だなブリーフ」
「だな、しっかし凄くリアルだな・・・あのケルベロス」
ケルベロス・・・地獄の番犬、その名に恥じない大きな体に3つの頭、そう、俺たちの目の前には、ゾーンを守るように配置されたケルベロスがいたのだ。
「ブリーフ、お互い両端にいって進まないか?あのケルベロスにはもう小細工は通用しないと思う、なら、どちらかが襲われている間に一人がゴールする・・・これなら後は運だ、どうだ?」
「いいぜ、最後は運天武もいいもんだ」
俺たちは両端に渡り、石を上に投げつける、落ちた時が合図だ!
カツン
ダッと俺は走り出す、ブリーフは少しだけ送れて走り出した。
判っていたよ・・・お前がそうする事は、だが俺の勝ちだ!
ケルベロスは迷うことなくブリーフのほうに動き出す。
今までのAIでは2方向にいた時はどちらを襲うか迷う事が多かった、だがケルベロスは俺に見向きもせずブリーフを襲う。
「なにっ!」
くくくっ馬鹿め・・・俺は1つの確信を持っていた、動物系のモンスターは見た目が旨そうなプレイヤーを優先して襲うとな。ギガンテスバードがいい例だったぜ、ブリーフお前は霜が乗っていて旨そうに見えるらしいぜ?モンスターにはな!
どうやらブリーフも気づいたかだが遅い。
「ふはははははっ囮は任せたぞ!」
俺の勝ちだ!そう思った。だが奴は・・・
「死なば諸共だあああああああ!」
そのまま止まらずにケルベロスの口にダイブしやがった!
勿論一撃で死ぬ、そしてヘイトは勿論俺に来る。
ブリーフううううううう!
「ちくしょおおおおおおおおおおおおおお!」
ケルベロスが凄いスピードで追いかけてくる!
あと10m、なぜかこんな時に今までの思い出が頭をよぎる。
あと8m、ボクサー
股間を俺の目の前で振り寄って来た出会い、股間を蹴り上げた時の熱いまなざし。
あと5m、ふんどし
最後の最後までまったく役に立たなかった、なぜ居たのかさえ今では不思議に思う。
あと3m、ブリーフ
崖を登っている時に起きた最大の不幸、あれは俺の一生もののトラウマになった。
あと1m、ケルベロスに追いつかれる、右前足を振り上げる
「ろくな思い出がねええええええええええええええ!!」
俺は最後の力を振り絞ってゲートに飛び込んだ!
後1話どうか最後までよろしくお願いします




