飼い猫が思うこと。
僕は猫。飼い猫だ。
毛色は黒色らしい。自分では見たことが無いから、ご主人の言葉が正しいのならば、きっと黒色なのだろう。
僕はいつも暇を持て余している。猫だからね。
何時、何処でもゴロゴロしているだけ。よくよく考えてみると、つまらない生活を送っている。
だが仕方が無い。これが人間に飼われているということだ。
だからと言って、野良になりたいとは思わない。
生きていける自信がしないからね。
だって、エサを自分で捕らなきゃいけないんだよ?
どうやって?って言いたいね。
現役の野良猫はすごいと思う。だってさ、自分で寝床を確保して、毎日エサを捕って生活している。
それだけでも大変なのに、運が無いと車に跳ねられて死んじゃう奴もいる。
外の世界は恐ろしいね。
僕は飼い猫だから、寝床の心配も、エサの心配も、車に跳ねられる心配も一生しなくていい。
だけどね、僕だってそれなりの代償は払ってると思う。
僕は生まれた時から、”自由”という代償を支払っているんだ。きっとね。
この代償は大きい。でも、その代わりに生まれて死ぬまでの安全を僕は手に入れた。
自由か安全か。どちらが魅力的なのかは猫それぞれ。
僕は、今のこの単調な世界もいいと思っている。
僕専用の毛布にくるまり、ご主人やその家族、友達、色々な人間を観察するのもまた一興。
僕は、日々野良じゃ経験しえないことをしているんだ。そう思うと、何だか野良猫に優越感を感じたりする。
確かに自由もいい。
でも、具体的に自由って何?
外で生活すること?人間に縛られないこと?
そうだよ。自由って、猫それぞれじゃないか。
僕だって、いつも自由だ。家の中で何をしようが僕の自由。
寝ていようが、ご飯を食べようが、高い所へ乗ろうが、ご主人に甘えようが、全て僕の意思。
僕の自由。飼い猫だろうが、野良猫だろうが、それぞれの意思次第で自由は手に入る。
だが、安全を手に入れられるのは飼い猫だけだろう。
野良猫にとって、安全は絶対的ではない。
やっぱり、僕は飼い猫でよかった。
臆病な僕には、飼い猫としての自由が丁度いいんだ。