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最強S級冒険者帝国に復讐する  作者: 古詠


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3/10

3話 裁判

嘘だろ……なんでこんなことが起きてやがる。

なんでこんなに近くにいる。

それより皇子は無事なのか……いや、この状態だ。無事なわけがない。

あぁ、まずい。最悪だ。どうする……というか、龍はまだ生きてるのか。

「あぁ……最悪だ」

どう報告する? 生き残りが俺一人なんて、くそ……!

とりあえず帝都に行かなくては――いや、待て。皇子の亡骸はこのままでいいのか? 持ち帰るべきか?

通信用の宝珠は……いや、燃えかすだろうな。

馬も死んだ。なら走るしかない。

俺は魔力を全身に巡らせ、走り出した。

帝都のどこに報告する? ……いや、一旦冒険者協会だな。急げ。

どのくらい走ったかはわからない。

ただ、到着が馬より早かったのは確かだ。

「協会長いるか? 緊急だ、急げ!」

焦っているのが自分でもわかる。

「ヴェダ、どうしたんだ。そんなに焦って」

くそ……どう報告すればいい。わかりやすく、端的に。

「皇子の護衛依頼で龍種の直系に遭遇した。俺以外全滅。このことを城に伝えろ」

前のおっさんが目を見開く。

当然だ。皇子が死んだんだ。そして俺以外全滅。

……死刑かもな、俺は。

「わかった、城に伝える。だが……お前は大丈夫なのか」

だよな。俺もやばいと思ってる。

だが諦めるしかない。顔も割れてるし、逃げたらカイナがどうなるかわからない。

「そこの受付嬢、もし死刑か終身刑が決まったら、俺の貯金を全部カイナに渡せ」

さて……騎士どもが来るまで、ゆっくりしているか。

―――――――――――――――――

あれから数分後くらいだろう。

騎士が俺を取り押さえに来た。

はぁ……これで終わりか。

「なぁ、騎士さんよ。俺は死刑か? それとも終身刑か? ……どっちでもいいか」

あぁ、くそ。まだ死にたくはないな。

まだカイナと一緒に暮らしたい。美味いものを食べて、一緒に遊びたい。

周りの視線が痛ぇな。

「おい、しっかり歩け」

厳しいな、この騎士は。

「へいへい」

後悔しても仕方がない。

だが、やっぱり苛立ちを覚える。

もし俺らが龍を無視したら、やられていたのはこいつらなのに。

まぁ……皇子が死んだ以上、俺を無罪にするわけにはいかない。

ここで俺を許したら、皇帝は“甘い”って思われるだろうしな。

どれだけ龍と戦おうが関係ねぇ……結局は終身刑ってところか。

まったく……辛いね。

―――――――――――――――――

さて、小さな牢屋にぶち込まれたわけだが……

あいつら、俺を舐めてるのか?

この牢屋、なんの細工もしてない。逃げようと思えば簡単に逃げられる。

「カイナ、今頃どうしてんだろ。飯食ってるかな……いや、俺のこと、周りに聞いたのかもしれないな」

胸がざわつく。

落ち着け……考えることは山ほどある。

一旦整理しよう。

まず、皇子は死んだ。これは確定だろう。

だが気になるのは――なぜ馬車は戻ってきた?

ザレフにしっかり頼んだはずなのに。

わざと戻ってきた? ……いや、それはないと信じたい。

それなら、わざわざあんな戦力を集めない。

……結局、全員死んだが。

はぁ……わかんないことばっかりだ。

疲れた。もう寝よう。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「おい起きろ」

あ? 朝からうるさいな。

「なんだよ、こんな朝に予定もないだろ」

昨日の疲れとか傷とか、あんまり癒えてないのに。

「裁判だ」

は?

「待て、今なんて言った。裁判? 早すぎないか?」

あまりにもおかしいだろ。

「皇帝陛下は今回のことを重く受け止めていらっしゃる。黙ってついてこい」

怪しすぎる……まぁいいか。もう腹を括ったことだ。

「はいはい」

騎士に連れてこられたのは、石造りのでかい謁見場みたいな場所。

「なんだ、意外と広いじゃないか」

目の前には皇帝ジゼル。

その横に上皇が座っている。

皇帝が声高らかに言う。

「これから、被告人ヴェダの裁判を始める」

さて、ここからは聞き流すだけだな。

皇帝の傍にいた歳をとったじいさんが一歩前に出る。

「被告人ヴェダは、皇太子殿下に最も近いのにもかかわらず、殿下の命を優先せずに龍討伐を行った」

へぇ……そんなふうになってんだな。

「帝国の宝である皇太子殿下を優先して守らず、殺害してしまったことは、帝国法第2条一項に基づき、死刑とする」

はぁ……まぁそうだよな。

でも、やっぱり少し悔しいな。

「だが!」

勢いよく俺の顔が上がる。

「被告人ヴェダは帝国最強のS級冒険者。仮に死刑にしてしまった場合、帝国の損失は計り知れない。よって、ヴェダの死刑は血族であるカイナに移行する」

は?

ちょっと待て。

おかしいだろ。

やめろ、それだけは。

「待ってくれ! それだけは、それだけはどうかやめてくれ!」

頼む……唯一の家族を奪わないでくれ。

「勝手に喋るな」

皇帝が立ち上がって俺に言う。

「決定事項である。良いではないか。代わりに妹が命を落としてくれるのだぞ」

体から力が抜ける。

立ち上がる力すら出ない。

俺は絶望の中、倒れ込んだ。


楽しんでください

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