二話 龍
龍相手にしたくない。
なぜかって、めんどくさいからだよ。
それなのにこのジジイは……あぁ、くそ。
「ちなみに聞くが、龍が現れたら撤退でいいんだよな」
そうであれ。そうじゃなきゃダメだ。
「いや、足止めか討伐だ」
この人ちゃんと考えてるのか?
護衛しながらの足止め?
「無理だろ。龍の強さわかってる? 飛ぶ災害だよ?」
わかってないだろ、龍の強さ。
「だから皇帝はお前を指名した」
あぁ、なるほど。
「龍殺しの二つ名を持っているからか」
確かに龍は殺したことがある。
だからこそ言える。あれはめんどくさいの塊だ。
「一人で龍を殺すのと、誰かを守りながら龍を殺すのは違うぞ」
龍なんて二度と相手にしたくない。
「だが今回の外交は必ず成功させなければならない」
覚悟の決まった目をしてやがる。
チッ……やるしかないか。
「皇帝陛下に言っといてくれ。二度と陛下の指名依頼を受けないと」
ザレフは少し笑い、
「わかった。伝えておこう」
はぁ……龍に出くわした時の対処、考えておかなきゃな。
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馬車の上で護衛して半日。
周りは静かだし、魔力探知に引っかかるものは現状ない。
しばらくは何もなさそうだな。
さて、龍に会った時どうするか考えなきゃな。
まず、見つけたらそのまま討伐しにいくのはなしだ。
下っ端の騎士どもには龍の攻撃は防げない。
ならどうするか。簡単簡単。
俺が魔力の膜で守ればいい。
龍の攻撃一発は防げるはず。
よし、方針は大体決まったな。
龍を見つける。
馬車を魔力の膜で覆う。
できるだけ馬車から遠い位置で龍を迎え撃つ。
「はぁ、疲れた。よし寝るか」
魔力探知だけは切らないように意識しながら寝よう……。
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ッッッ!
「ザレフッッッ! 南側上空! 化け物が来た! ザレフは馬車を遠くに移動させろ!」
俺はすぐに馬車を魔力の膜で覆う。
その後、魔力を体に巡らせる。
『身体強化』
そのまま龍に向かって走り出した。
刀に手をかけながら跳ぶ。
カキィン。
やっぱり、なんもしないと切れないか。
その瞬間、龍の尻尾が目の前に来た。
即座に刀で受けたが、地面に叩きつけられた。
「あぁ、くそ……」
回復薬、もうちょい買っとけばよかったな。
今さら後悔しても遅いか。
ふぅ……集中しろ。
魔力を一点に集めて、一気に解放する。
『魔力爆発』
「やっぱり鱗にはダメージなさそうだね。だけど翼にはダメージ入ったんじゃない?」
飛ばれているのは厄介だからな。
空から引きずり下ろすとするか。
魔力を刀に集中させ、空に向かい――
抜刀。
無数の魔力の斬撃が龍の翼をボロボロにした。
龍が落下しはじめた。
着地した瞬間を狙い、走り出す。
「やべぇ! タイミングミスった!」
龍が着地し終えたタイミングで俺は龍のところについた。
目の前には巨大な尻尾が出迎えてくれる。
「無事か、ヴェダ!」
目の前に来た尻尾をザレフが弾いてくれた。
そして一歩下がった。
「助かった、ザレフ」
ふぅ……危なかった。
さて、ここからはどうやってあいつにダメージ与えるかだな。
翼はもうボロボロ。
ダメージ与えるなら中からだが、あの鱗砕いた方が早そうだ。
「ザレフ、今からあの龍の鱗を砕く。援護してくれ」
「了解した」
反応が返ってきて、すぐに動き出す。
確実に砕くため、しっかり魔力を圧縮しながら近づく。
途中、何度か攻撃されたが、ザレフが全て弾いてくれた。
「いける!」
そう思った瞬間、龍の口に魔力が集まっていく。
やばい!
「ザレフ! 下がれ!」
ザレフが反応したと同時に、彼は炎に包まれた。
離れていても感じる熱気。
切り替えろ。悲しんでる場合じゃない。
ブレスが終わった瞬間、これをぶち込む。
今っ!
龍の腹に向け、魔力を高速回転させた掌底を叩き込む。
『螺旋』
捻れるような跡と共に、龍の肉が見えた。
ここで終わるな。
魔力を即座に一点に集中させる。
自爆覚悟の――
『魔力爆発』
凄まじい轟音と共に、俺は吹き飛ばされた。
龍はどうなった?
飛びそうな意識を押さえつけながら回復薬を飲む。
体が軽くなる。
龍は倒れている。
勝った。
ふぅ……馬車の音が聞こえる。
先程の轟音が心配で来てくれたのだろう。
しかし、今ってこんなに暗い時間だったか?
目を見開く。
まずい、疲れで体が動かない。
その瞬間、馬車と騎士は炎に包まれた。
楽しんでください




