若い頃調子に乗って食べ放題に行きまくってたら病気になったけど、死んだらその頃に戻っていたので、今度は気をつける
私は今、死んでいく。
死因は心臓病、糖尿病、腎臓がん、肝臓がん、太りすぎ等、どれかはわからない。
若い頃、食べ放題に行きまくったことが発端だったことには間違いがない。
そもそもフードファイターの彼氏と付き合ってしまったことがいけなかったのかも……。
とにかく週に一度は食べ放題のお店へ行っていた。
毎回すべての料理を制覇していた。毎回腹八分目をおおきく超えて二十分目ぐらいまで食べていた。彼氏と二人まとめて出禁になった店も数しれず──
彼氏は平気な顔をしていたが、私は食べ放題が終わったあとは、しばらく何も食べられないほどパンパンに身体の中が食料で詰まっていた。
だからお昼に食べ放題に行ったあとは、平気な顔をして夕食を取る彼氏に付き合ってお酒だけ飲んだ。
ばかなことをしたものだ。あれから約二十年。私は取り返しのつかない身体になって、今、自宅のせんべい布団の上で死んでいく。
走馬灯が見える。
からあげが──ラーメンが、焼肉が、お寿司だけじゃなく色んな食べ物が回ってる。
最期までこんなものを見てしまうなんて──私の人生は一体なんだったんだろう。
幸せだったか? と聞かれれば、幸せだったかもしれない。少なくとも、彼氏と一緒にいた頃までは。
胃袋がおおきくなりすぎてしまったせいで食費も半端なく、病院に行くお金もすべて食費で消えてしまった。
お腹すいた……。
さようなら、さようなら──
今、私は醜い脂肪のかたまりとして──
はい、死にました。
……
死んだはず──だよね?
おかしいな? なんで意識があるんだろ?
そう思いながら、目を開けてみると、昔住んでたアパートの部屋で、目の前には懐かしいフードファイターの彼氏の笑顔があった。
「起きたか、アケミ? 新しいランチバイキングの店がオープンしたんだ。今から一緒に行かね?」
自分の身体を見ると、細くなってる……。肌もピチピチだ……。
二十年前に戻れたんだ!
もう、同じ過ちは繰り返さない! この彼氏とも早いこと別れなければ、自分の健康を害するフードファイトの旅にまた連れ出されてしまう!
「エスカルゴもあるらしいぞ」
「行く!」
私は健康体に戻ったのだ。
またお腹いっぱいを超えて食べられる。
食べられる喜びに、私はすべてを忘れた。




