表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
53/65

双璧

 轟いた二発の銃声。それが、それぞれ別の方向から発されたものだと理解したヴィルヘは、絞り続けていた引き金を緩める。


 指示の途切れた『玩具兵』達もそれぞれ動きを止め始める。『歌劇団』、『玩具兵』共に消耗は激しい。本来ならぶつけるべきでない相手に、『歌劇団』は健闘を続けた。正直、期待以上だ。それとは逆に、アテナとクロノスと別れた後合流した、隣でへばっているルーシーを叱咤する。


「指揮権を持つ人間が指示を出さないでどうする――奴ら逃げるぞ!」

「へ……? あ、! 総員、完全制圧してくださいまし!」


 待っていたと言わんばかりに、急激に統率力の鈍った『玩具兵』に、容赦なく『歌劇団』が攻撃。一瞬のスキを見せた『玩具兵』は次々に倒れ伏していく。


「……どうやら、向こうも終わったらしい」

「よくお分かりに?」

「……聞き馴染のある銃声がな。クロノスの物だ、アレは」


 誰が撃ったか、までわかる程ヴィルヘの技術はないが、直近で聞いた銃声くらいなら聞き分けられる。それも、自分達の危機を救ったものなら猶更。だが、この状況でならば、その射手もおおよその推測はできよう。等倍射撃で何とか当てていたクロノスでは、狙撃手の相手は無理な話。おそらく、ノアで間違いない。


「……愛ですわね?」

「違う。それと私は既婚者だ」

「新しい恋と言うのも、悪くはなくって?」

「……招集しろ、()()達と合流するぞ」

「あら、素直じゃないこと」


 ◇◇◇


「……ああは言ったが、まさか本当に『梟』を落とすとは」


 と、感嘆しながら小首を傾げたヴィルヘ。正直、その前の話はノアには知りえない事なので、とりあえず誉め言葉として受け取っておく。


 とは言え、驚愕に値するのはそれを成した本人でも同じだ。歩兵が狙撃手を倒す。よくよく考えれば随分と無謀な話だ。命知らずと言った方が正しいか。ともかく、思いがけず『七核』の数を減らすことができた。そこだけは素直に喜んでもいいだろう。


「まあ、今回は相当キツかったけどな。そうだドニ爺、ノアに補給してやっといてくれ」

「そうじゃの、儂の出番はこれぐらいじゃしの」

「まあおじ様ったら、あんなに凛々しく戦ってらしたのに?」

「老骨でもそれぐらいはできんようじゃな」


 カッカと白い歯を見せて笑うドニは、ノアからマガジンを受け取りながら肩を竦めて見せる。


「とはいえ、位を見ても彼は五位。まだ三位と一位が残っています」


 緩んだ空気を引き締めるように、アテナが釘を刺す。和むのはいいが、油断は禁物だ。だが、もうこれ以上の奇襲を受けることはまずないだろう。『鷹」が城で待つと言った以上、彼らは待ち続ける。獲物が罠にかかることを待つように。


「まあ、そのための『歌劇団』だ。……まだ行けそうか?」

「もちろんですわ! ……と言いたいところですが、流石の彼らでもここまでの負傷となると……。ですが、少数精鋭ということでしたら、申し分ない人数になりますわ」

「なら、変更はなしだ」


 皇帝、『七核』と言えど、何も本当に城の中だけで待つわけでもない。無論、歓迎のあいさつはあるだろう。それも、必要以上に圧が高い歓迎が。


「つっても俺たちだ。真正面からの突破だ。どうせ位置も目的もバレてるんだ。今更コソコソしたってかわりゃしねえ」

「ですね。『鷹」も言ってました。もう、ここは――」

「――罠にかかってやる、ですわ!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ