泡沫
『昔々、大きな大きな王国がありました。色々な人々が豊かに暮らす王国には、心優しい王様が居ました。王様は不思議な力を持っていました。それは、人々の考えを聞いてあげる力でした。王様はその力を正しく使い、国をどんどん豊かにしていきました。
けれど、次第に王様は疲れてしまいました。人々は、いいことばかり考えているわけではありません。時には悪事を働き、嘘をつき、人を妬みます。そうした想いがじわじわと王様を苦しめていきました。すると、次第に王国は元気がなくなっていきました。他の国では激しい戦争が起きていました。王様の弟は、このままでは王国が滅びてしまうと考えました。
弟はいいことを思いつきました。王様の力を奪い、その力で自分が国を治めようとしたのです。しかし、うまくはいきませんでした。王様の力は、王国の力。力が認めなければ、使うことはできなかったのです。王様を殺してしまった弟は、次にお姫様を、王宮のみんなを追い出して、自分が王様になりました。
王国は帝国に名前を変えて、長い長い戦争を始めました。逃げ延びたお姫様は、自分の子供達に、この出来事をずっと伝えていくことを決めましたとさ』




