2.『生誕・白竜の祝福』
「………たま…ご?」
「(コク)私に任せてくれたらいい。大丈夫、卵が出来たらそれ以上何もいらないから」
「卵…(卵で合ってるのか…、いやでも、それってそういうお誘い…だよな?)なんで俺に? その…そういうのは好きな人と…」
「初めて見た時から思ってた、あなたとの卵が欲しいって」
(マジかぁ…、いやまぁ、こんな美人のお誘いを断るとか…据え膳なんちゃらだよな。い、命の恩人だし…)
「大丈夫。すぐに終わるから」
(すぐに…終わる…。それはそれで俺のちっぽけなプライドが傷付くんだけど。いや、まずは…)
「あの、卵…なんですか?」
「卵で合ってる。私はドラゴン…竜種だから。今はスキルで人族の姿をしているだけ」
「な、なるほど…」
(なるほどじゃないし!? 竜種って、最強の種族って言われてるあの竜種? その最強種族が、人の姿で俺と子…じゃない、卵作りをしたいと?)
「私は人族が好き。でも誰でもいいわけじゃない。いつか他のドラゴンと番になったとしても、卵は私が欲しいと思った人族と作りたかった…」
「それで俺にお願いを?」
「王都で初めてあなたを見た時に思った、この人だって。王都を離れるのを見たから付いて行った。『森の恵み』で働いてたからあなたを見に行った。声を掛ける勇気は持てなかったけど…さっきも心配で遠くから見てた」
よく言えば一目惚れ、悪く言えば…控え目なストーカーだった。そのお陰で命拾いしたのも事実であり、ましてやそれが美人とくれば邪険にする男はいないだろう。
「自分から言うものではないんですが…、卵じゃなくて…番にしようとは思わなかったんですか?」
本当に自分から言うものではない。侑人の心臓には毛でも生えているのだろうか。
「あなたは、…先に死んじゃうから。ドラゴンと人だと寿命が違い過ぎるから。死ぬのを見て悲しくなるのは…嫌。卵が孵ったら、その子とずっと一緒に居られるから…」
「それで卵が欲しかったんですね…」
(まぁ、気持ちは分かるけど…こっちはこっちで用事が済んだらサヨナラってのも不義理だよなぁ。でも悲しい思いさせたら意味無いし…でも…)
「…俺には目的があります。その目的の為に勉強したり、魔術を使えるように訓練もしています。だから…街に帰ってその続きをしたいんです」
「うん…」
「でも俺とシルヴィアさんの間に、その…卵が出来たら、放っておけなくなると思うんです。シルヴィアさんだけに押し付けたくないですし」
「うん……」
「命を救われて、怪我も治してもらって、お願いを聞いてあげたい気持ちもあって。…う~ん、優柔不断な事言います。俺にも卵を一緒に育てさせて下さい!」
「う…うん?」
「ずっと一緒にいたら、俺が先に死んでしまうのが悲しいから嫌という気持ちも聞きました。でも、俺も任せっ放しにしたくないんです。無事に卵が孵って、成長を見届けたら俺は街へ帰ります。それまで一緒に育てさせてくれませんか?」
「………」
「もしかしたら、その方がもっと悲しい気持ちになるかもしれないですけど…中途半端な事言って申し訳ないですけど、お願いします」
(はぁ~、ほんと優柔不断。…分かってても断れないし。100か0か、もっとキッパリどっちかにした方が良「ガシッ」カッタ~カナ~!?)
「断られると…思った。悲しくなるかもしれないけど、私も一緒に育てたい」
侑人の優柔不断な申し出は、シルヴィアに受け入れられた。
「じゃぁ早速作る。早い方がいい…ううん、私が早く欲しい」
「ちょ!ちょっと待って!? 心の準備が!?」
グイグイ責める美女! タジタジになるおっさん! ご飯がすす…いや、なんでもない。
「ほ、ほら、外だし? まだ明るいし?」
「外でも明るくても問題無い。大丈夫、あなたは何もしなくていい」
侑人、完全に日和っていた。据え膳なんちゃらはどうした。
「手を握って、さっき怪我を治した時みたいにじっとしてて」
「は、はい…。………? あの、卵ってどうやって作るか聞いても…?」
「…言ってなかった。卵は2人の間に出来る。あなたに魔力は無いみたいだけど、私がさっきしたように魔力を満たすから、多分大丈夫。魔力を介したその生物の情報が卵になるから」
「そ、そうだったんだ。あはは…、勘違いしてたのが恥ずかしいな…」
「勘違い? …あぁ、交尾?」
「交尾とか言わないで!?」
美女の交尾発言。…窘めはしたが、耳に残って離れない侑人だった。
シルヴィアが交尾という言葉を知っている通り、ドラゴンも交尾をして卵を産む。それが通常である。
今回侑人と魔力を介して行う卵の作成は、特定のドラゴンが生涯で一度だけ行うものであった。自分の後を継ぐ、強い個体を作るためだ。
説明を受けた侑人は、レアな行為に喜べばいいのか、チャンスを逃してしまったと悲しめばいいのかと、先程日和っていた割になかなかピンク色の思考をしていた。
とりあえず、服を脱ぐ必要は無いと分かったので、僅かに力の入っていた腹筋を緩める事にしたのだった。
「交尾はまだした事ない」
「こ…、他の人には言わない方がいいですよ?」
「? …分かった」
油断も隙も無い突然のカミングアウト。恥じらいを知らないお嬢様というイメージが付いてしまいそうだ。
交尾という言い方はともかく、子孫の為の繁殖行動と認識しているシルヴィアと、親愛な男女の営みと認識している侑人との齟齬は大きい。
「卵を産む…とは違うか、卵を作るのに気をつける事とか、何かした方がいい事ってないんですか?」
「私が知ってるのは、生物の情報を卵に送る事。私とあなたの情報を」
「こう…、俺とシルヴィアさん2人の…卵になる訳ですし、俺の事は侑人って呼んで下さい」
「………、ユ…うぅ、恥ずかしい…」
交尾未経験のカミングアウトは平気らしいが、侑人の名前を呼ぶのは恥ずかしいようだ。
☆
侑人はまず、親交を深める事にした。今までどんな生活を送ってきたか、どんな物が好きか、こんな怪我をした事があるなど、脈絡も無い情報の交換だったが、お互いの事を殆ど知らない2人の会話は弾んだ。
シルヴィアが人族を好きになったきっかけが、勇者オーカ・アカギとの出会いからだという事。戦い合ったわけではなく、共闘したわけでもなく、素材を求めてやって来た勇者と、短時間ではあるが話をした事があったという。
700年前に召喚された人物であるオーカ・アカギ。会った事があると言われれば年齢が気になり、侑人が「言いたくなければ」と前置きをして聞いてみれば、シルヴィアは数秒考え…空中に目を走らせて「2000歳を越えてた」と伝えた。
ステータスを確認したらしい。そして、年齢を言う事に恥ずかしさは感じないようだ。
シルヴィアが黒い鎧を着ていた理由も伝えられた。人族の男が必要以上に近寄って来るので、その対応だったとの事。今の姿…とんでも美人の姿で居れば、それはそうだろうなと侑人は納得した。
過剰に言い寄って来る人族にうんざりして、竜達の住む谷へ戻った事。それでもやっぱりと思って、人の姿で人族の住む街へ度々出掛けた事。それを繰り返すうちに、シルヴィアの特徴的な白い髪とは真逆の黒い鎧の姿になってみた所、言い寄って来る男が居なくなった事も伝えられた。
「鎧はすごく、効果的だった。最初はいちいち着てたけど、面倒になったから『変化』のスキルで鎧の姿に変身するようになった」
「便利だね。あぁそっか、実際に着てたわけじゃないから、ヘルムをつけたままでもご飯食べられたんだ?」
「そう、『変化』を部分的に解除して食べるの。今度はユ…ユートの番」
「ん~そうだな。初めてマギカネリアに来た時、ホーンラビットに襲われてさ」
「ホーンラビット…まだいたんだ」
「数が少ないって聞いたのは倒した後だったけどね。俺ステータスも無くて弱いからさ? もしホーンラビットが強かったら、その時に死んでたと思うよ」
「死んだらダメ、もしそんな事になったら…私がホーンラビットを絶滅させる」
「俺がホーンラビットにやられたなんて、その時は分からないじゃん」
「…確かに」
侑人は侑人で、シルヴィアに対して敬語を止め、自分が勇者オーカと同じ国からやってきた事を告げていた。王都で会った時はこの世界に来て初めての長旅であったとか、ステータスが無くてもゴブリンに勝てただとか、シルヴィアに助けられた時は知人の出産祝いに果物を取りに行っていただとか、どんな話もシルヴィアは真剣に聞いていた。
次に何を話すかがパッと浮かばなくなったのを頃合いに、程よくお互いの事を知れたと思った侑人は、卵について話をしていく事にした。
「そう言えば、卵を作る時って人の姿のままでいいの?」
「………、多分出来る…と思う」
「本来はドラゴンの姿でやるものなの?」
「うん、ドラゴン同士で作るのが普通だし、わざわざ『人化』した姿でやる意味も無いし、本来の力を出し切れない…かも?」
「ならドラゴンの姿でやる方がいいね。一生に一度なんだし、ちゃんと出来なかったら嫌だしね? …そもそも俺が魔力無くて、足を引っ張る気がするけど」
「ユートじゃなきゃダメ。今は他の人族と作りたいなんて思えない、ユートだけ」
「あはは…、俺の何がそんなに良かったんだろうね? 普通の人間だよ? …魔力は無いけど」
「…分からない。強い人族を求めてるって自分では思ってたけど、初めてユートを見て…う~ん、ダメージを受けた?」
「ダメージって…。俺の故郷の言い方なら、息が止まったとか、雷に打たれたとか言ったりするけど」
「! 雷…そんな感じ。凄い、私の事なのにユートの方が私の事を分かってる」
「いやいや、よく言われてる言葉を言っただけだから」
ちなみにシルヴィアは、実際に雷に打たれた事があるらしい。「なんか、すごくビリッとした。あと音が大きかった」とのこと。…さすが最強種である。
「それで…、ドラゴンの話か。ドラゴンと人族が卵を作った事って、これまでにあるの?」
「…私の知る限り、初めて。基本的に、ドラゴン同士で作ってるはずだから」
「そっか、ありがと。初めての事をやるのって怖いからね。無事に産まれるように、元気に育つように、しっかり願いを込めてやろう」
「うん…、絶対に成功させる」
「…シルヴィアさん、卵を作る事が目的じゃないよ? 元気な子になるようにって…気持ちを…持って…」
(…どの口が言ってるんだか。中途半端な事をしようとしてるのに…)
「…ユート?」
「あぁ…、ごめん。ちょっと考え事してた」
(卵を…子を作る以上、日本に帰る事は諦める。一緒に居られないとしても、この世界で生きよう。…よし!)
「シルヴィアさん、どんな子に育ってほしい?」
こっそり決意を固めた侑人は、明るい口調でシルヴィアに問いかけた。
「え…、どんな…って言われても」
「真っ直ぐな性格になって欲しいとか、強い子になって欲しいとか、甘えて欲しいとか、シルヴィアさんに似た美人になって欲しいとか、男か女かとかさ」
「美!? そんなっ…あ、あの、全部かな!?」
(…全部だと男の娘になっちゃうよ)
美人と言われたシルヴィアは、中々のテンパり具合を見せた。
「ごめん、落ち着いた…。美…美人って、言ってくれたし、雌がいいかな」
「雌って言い方も…いや、ドラゴンだしオスかメスかでいいのか…。真っ直ぐで強くて、美人な甘えん坊。他にどんな子に育ってほしいって思う?」
「………、いっぱい浮かんじゃうけど、元気な子になってくれるのが一番」
「そうだね。卵から孵って育てていくうちに、教えていく事もあるだろうしね」
「うん、任せて」
「…すぅ~ふぅ~、それじゃ…願いを込めて、やってみよう?」
「うん!」
「ドラゴンの姿になったら…遠くからでも見られちゃうかもしれないね。他の場所に移動する?」
「結界を張っておくから大丈夫。ドラゴンの姿になっても外からは見えないし、中にも入って来られない」
「それなら安心だね。お願いするよ」
「分かった」
シルヴィアが魔術を発動させた。一定以下の強さの者に対して中に居る者の存在を誤魔化し、中に入らせない結界を張る魔術、『キープアウト』。
それを聞いた瞬間、侑人の脳裏に立入禁止と書かれた黄色いテープが思い浮かんだ。実際には文字もテープも出てきていない。
半円形の膜に包まれた空間は、外からは何の変哲もない川があるようにしか見えない。結界の中から外は認識出来るが、膜越しになるので視界は若干悪い。
「『竜化』」
結界を張り終わったシルヴィアは『竜化』と唱えた。
シルヴィアの体が光に包まれ、そのシルエットを大きくさせてゆく。徐々に光が弱まると、ドラゴンの姿へと変わったシルヴィアの姿があった。
西洋の竜といった形態をしていて、頭部には角があり、鱗はシルヴィアの髪の色と同じ輝きを持った白。目の色も人の姿をしていた時と同じ水色をしている。
2本の後ろ足で立ち、前足と後ろ足共に硬そうな爪を持っているが、その爪に侑人が思っていた程の鋭さは見られなかった。背中の翼は『竜化』した直後は広げていたが、既に折りたたまれている。
尻尾の先まで白く、全長はその尻尾を含め5mといったところか。
地球では空想上の生物であり、マギカネリアに生きる者でもまず出会う事の無い上位種のドラゴン、生ドラゴンである。
変身を終えたシルヴィアは、フシュルル~と息を吐き出し、侑人を見ている。
「………」
「………、何か…言ってほしいかも」
シルヴィアの発した声は人の姿の時とは違い、マイクを通したようなエコーがかって聞こえた。
侑人が無言だったため、怖がらせているのかもしれない、目を開けたまま気絶しているのかもしれない、やっぱり人の姿のままの方が良かったかな、という考えがシルヴィアの頭をよぎっていた。
一方の侑人は、ドラゴンの姿となったシルヴィアに対して、生物としての圧倒的な存在感のようなものを感じていたが…怖さは無かった。呆けたまま、芸術品のような美しさだという想いを抱いていたのだが、声をかけられて我に返った。
「あっと、ごめんね。凄く綺麗だったから。…触らせてもらってもいい?」
「! い、いいけど!?」
見惚れていた侑人は、正直に思ったままを伝え、更に欲望を口にした。テンパりながらもシルヴィアがお触りの許可を出したので、侑人はシルヴィアに近づいてそっと触れた。
「うわ~、鱗1枚1枚が輝いて見える。結構ツルツルしてるんだね。それに爪ってもっと鋭いものだと思ってたよ」
「っ! ~~っ!? 鱗はっ、そのドラゴンによる…っ! 爪は攻撃する時っ、魔力で覆うっ、意識をすれば…っ! それで鋭くなるっ」
「ご、ごめん。くすぐったかった?」
「だ、大丈夫」
大丈夫ではなかった。
侑人はシルヴィアの左側に回り込み、…サイズ差があるので目の前にあった後ろ足を撫でたのだ。
そこは人で言えば大臀筋寄りの外側広筋。…簡単に言えば、お尻に近い太ももの外側へのお触りである。相手がドラゴンの姿でもセクハラかもしれない。
シルヴィアもシルヴィアで、触られた瞬間はくすぐったいと思った。しかし撫でられると、ゾクゾクとした感覚が体中を駆け巡った。
我慢していなければ「ひやああぁぁ~!?」と声が漏れ、身体をクネクネさせてしまっていたかもしれない。下手をすれば尻尾が侑人を吹き飛ばしていただろう。
「ありがとうシルヴィアさん」
「こ、こちらこそありがとう」
「…うん?」
「…あっううん、なんでもない」
撫でられた事に何故かお礼を言ってしまったシルヴィアであった。
☆
「それじゃ…どうしよっか。手を繋いでみる?」
「うん、やってみる」
移動した侑人はシルヴィアと正面から向き合い、手を伸ばして握り合った。
「体勢辛くない? 楽な姿勢になる?」
「大丈…ううん、ちょっと体勢変えてみる」
「了解」
「…うん、これでいい…かな? 始める?」
「始めよう、精一杯願いを込めるよ。よろしくねシルヴィアさん」
「よろしく…ユート」
若干伏せるような体勢になったシルヴィアと、改めて手を繋いだ侑人。侑人も胡坐をかいていて楽な姿勢を取っている。
2人は目を閉じ、シルヴィアが魔力を高める。先程は2人を包むように発生していた薄霧だったが、今は2人の体だけを覆うような濃い膜となっている。侑人の感じる圧迫感は、治療時の…濃霧状の時より増しており、体の表面を中と外から見えない力が押し合っている感覚を覚えた。
これが魔力なのかな?と考えが浮かんだが、今は卵に集中しなければと思い、侑人は願いを込めた。
元気な子になるように、自分のような魔力無しにならないように、シルヴィアに似た美人になるように、優しい子に育つように。
思いつく限り願いを込め、その後は語り掛けるように思い浮かべた。
(元気に産まれておいで。母さんも、と…父さん…も、待ってるよ。…父さんは、君より先に死んじゃうと思う。弱いし、寿命も短いからね。だから、シルヴィア母さんとずっと一緒にいて、守ってあげてくれな?)
「『生誕・白竜の祝福』」
シルヴィアの声がしたその時、閉じている瞼の裏まで真っ白に染めるほど強い光が侑人とシルヴィアの間に発生した。
卵が出来たのかと思い目を開けようとした侑人だったが、光が強すぎて薄目を開けるのが限界だった。その光は徐々に弱まり、やっと開いた目に入ってきたのは、縦に20cmを超える大きな卵だった。
侑人とシルヴィアは手を繋いだままで、卵はその繋いだ2人の手の上の方に浮いている。
「「………」」
シルヴィアは無事に出来上がった卵を見つめていた。侑人はそのシルヴィアを見ていた。
侑人が繋いでいた手を離し、シルヴィアの前足に外側から添えるように触れ、その手を卵に近付けていく。
会話は無くてもその意図は伝わり、シルヴィアは卵をそっと両手で受け止めた。侑人からは大きく見えていた卵も、ドラゴンの前足に受け止められれば相応な大きさに見える。
「………、ちゃんと出来た…かな」
「うん、ちゃんと出来てるよ。おめでとう」
「良かった。…ユート、卵持ってて」
「ん? いいよ」
侑人はシルヴィアから卵を受け取り、その重さを感じた瞬間、なんとも言えない感情が湧き上がった。
卵という、人間の生態には無い形だが、確かにそこにある命に沸き上がったのは愛おしさか感動か。侑人は渡されたままの形で持っていた卵を、赤子を抱くように優しく抱えた。
「…ありがとうユート。私も卵を抱っこしたい」
「ん、してあげて。気をつけて」
シルヴィアは『人化』で人の姿に変わっており、卵を抱く侑人の姿を見て自分も抱っこをしたくなったのだった。
卵を作り上げたシルヴィアも、侑人と同じ気持ちかそれ以上の想いを持ったのかもしれない。
「………、かわいい」
愛おしさのようなものは確かに感じた侑人だったが、さすがに卵のかわいさまでは分からなかった。このドラゴン、レベルが高い。
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