感想で作者を傷つけない方法
感想で作者を傷つけてしまわないだろうか。
読者はいつだって、そのことを心配している。
応援したいという気持ちがなければ、感想を書こうなどとは思うはずもない。
どんな悪口に聞こえる感想だとしても、実際はそんな気持ちなどない。
だけど、言葉というシステムは不完全だから。
思わぬ不具合が発生して、その結果誰も幸せにならないことがある。
つまり作者を傷つけたくないと思ったのなら「感想など書かない」という選択肢が正解ということになる。
つまりお前らは、感想を書くな。
ああ……結論を、書いてしまった。
いいたいことは、要するにそれだけだ。
だけどいつだって大切なのは、結論ではなくその過程にある。
あるいは結論とは、それで終わりではない。
結論が出て、だからこそどうするのかが、問われるのかもしれない。
ということで、もう少しだけ蛇足の話をしたいと思う。
例えば……一言「面白かったです」と書いたとしても。
恣意的な捉え方をすれば……
面白かった。過去形ということは、面白くもないということなのか?
肯定的なコメントをわざわざ残す……それは作者への「期待している」という気持ちの表れか?
やめろ、そんなもの背負いたくない! 自由に書かせてくれ、感想は、指摘点だけにしてくれ!
本当に面白いと感じたなら、具体的に何が面白かったのかをかくはず……
それがないということは、からかっているだけ……だな? まったく、馬鹿にしやがって。
と、なるかもしれない。
いや、ならないか? まあそれは良い。
だけどじゃあ、無言で……つまり、コメントなど書かないというのが、作者を傷つけない方法なのか?
いや、それは違う。
確かに、コメントを書かなかった個人に責任は、なくなるだろう。
だけどそれは、罪悪感を希釈した。それだけのことでしかない。
作者とは面倒な生き物だ。
肯定的なコメントに嫌悪を抱く。
否定的なコメントに憤怒を抱く。
そして、コメントがなければ、それはそれで不快を抱く。
はいはい、どうせ私は、コメントする価値もない存在ですよ。
……いや、まあそもそも、読者の側に作者を気遣う義務などないわけだけど。
善悪でいうならば、百パーセント、作者の側に非があるのだろうけれど。
でも、そういうことなのだ。
私は読む専門だから、作者には特に興味がない……
その気持ちはなんとなくわかる。
だって私は書く専門だから、読者の気持ちに興味がないし。